石田燿子のデビュー30周年を記念したスペシャルライブが12月2日、浅草花劇場で行われた。1st stage『石田燿子 30TH ANNIVERSARY SPECIAL LIVE〜BLUE MOON〜』は、『美少女戦士セーラームーン』シリーズの主題歌、キャラソンだけを歌うライブ。そして2nd stageは、30年の軌跡を辿る楽曲で構成された『〜Everything’s my treasure〜』。ここでは、『美少女戦士セーラームーンR』のEDテーマ「乙女のポリシー」でデビューした彼女だからこそできるスペシャルなライブ、1st stageの模様をレポートする。
『美少女戦士セーラームーン』のBGMが流れると、会場からクラップが起こる。1st stageは『美少女戦士セーラームーン』シリーズの楽曲をメインに据えた公演だったので、それを楽しみにしている雰囲気が、クラップからも伝わってきた。バンドメンバーが準備を整え「ムーンライト伝説」のイントロを演奏すると、石田燿子がステージに登場! 激しいバンドサウンドに負けない歌声をいきなり響かせる。数多のアーティストがカヴァーしてきたアニメ史に残る名曲だが、切なさの中に力強さを感じる石田の歌のパワーに圧倒された。
さらにシックなイントロから、フェンキーにハジけていった「I am セーラームーン」では、観客もクラップをしたり体を揺らしたり、思い思いに楽しんでいた。ステージ上でステップを踏みながら楽しそうにパフォーマンスしている石田。コーラスもふんだんに取り入れたアレンジがゴージャスでおしゃれだ。
『美少女戦士セーラームーンR』のEDテーマ「乙女のポリシー」でデビューをした石田は『美少女戦士セーラームーン』と長く関わってきたシンガーである。最初のMCで「一瞬たりとも飽きさせず、付いてきて良かったなと思っていただけるような、これからも応援したくなるようなライブにします!」と挨拶をすると、「乙女のポリシー」のカップリング曲「好きと言って」を披露。何度も登場するギターソロがロックだった。
シンセサウンドが中心の「“らしく”いきましょ」は、音楽の楽しさが伝わってくるようなパフォーマンス。リズムが心地よく、自然とクラップが起こっていた。セーラー戦士が歌うED主題歌「Moon Revenge」は、原曲のフレーズを活かした生バンドによるアレンジが素晴らしかった。
「『“らしく”いきましょ』で、“ポケベルならして”という歌詞が出てくると、毎回ポケベル?って思っちゃうんですけど、ポケベルを知らない世代もいるバンドメンバーを紹介します!」と言って、メンバー紹介をしたあとは、「セーラームーンにはバラードもいい曲がたくさんあるので、ここからはバラードを歌っていきたいと思います」と言って、「私たちになりたくて」「Moonlight Destiny」「タキシード・ミラージュ」の3曲を立て続けに披露。石田燿子の美しい歌声と、KAKO♪のコーラスによって感動的なステージになっていたし、バンドも歌に寄り添うように優しく音を奏でていたのが印象的だった。曲への感情の込め方や、声の抑揚の付け方、ロングトーン、すべてが心に沁みた。
MCではデビューからの30年を振り返る。受からないと思っていたアニメシンガーコンテストでグランプリになったことで人生が変わり、そこからこんなに長く歌い続けてこれるなんて思わなかったと懐かしく振り返る。デビュー前のステージに事務所の先輩と出演したとき、自分が歌い終わったあとに先輩を呼び込むのを忘れ、沈黙を作ってしまったあの頃から、苦手だったMCも、今ではこんなにしゃべれるように成長したと語り、それもファンの皆さんのおかげだと伝える。
続いてKAKO♪とのデュエットで、セーラーウラヌス(皆川純子)×セーラーネプチューン(大原さやか)の「eternal eternity」をヘヴィでシンフォニックなサウンドに乗せて歌うと、激しいロックアレンジとなった「ニュームーンに恋して」では、伸びやかでパワフルなボーカルを響かせる。
「終わっちゃうのがもったいない。なぜなら『美少女戦士セーラームーン』の曲は、まだまだいい曲がいっぱいあるから! リリース予定のカヴァーアルバムも楽しみに待っていてください」と伝え、本編最後のブロックは、激しいナンバーを並べる。「ラ・ソウルジャー」では激しいドラミングとテクニカルなギターソロ、「愛の戦士」ではグルーヴィなベース、踊るような鍵盤と、それぞれの楽器の見せ場だらけだ。そしてラストは、石田の美しく、そして爽やかな歌声に心から酔いしれた「セーラースターソング」で締めくくる。
アンコールでは、『美少女戦士セーラームーン セーラースターズ』EDテーマ「風も空もきっと…」をピースフルに歌い上げる。改めて、彼女が言ったように名曲が多い。
「この曲もいい曲ですね。いつかカヴァーしたいと思っていたんですけど、ようやく夢が叶いました。シンガーになりたいと思っていたわけではなく、偶然の出会いからこの世界に飛び込んでしまった…歌うことがただ好きだった16歳の石田燿子でしたが、今日を迎えることができました。『セーラームーン』でデビューだよって言われ、今思えばすごいことなんですけど、当時はやっとデビューできる! やった!という軽い気持ちで『乙女のポリシー』をレコーディングしていたんです。でも30年経って、まだまだ応援してくれる人がいたり、あの歌いいよねって、世代を超えて好きになってもらえているアニソンに巡り会えたことが、すごく幸せなんだなと思っています。私の目標は、いつまでも『乙女のポリシー』を乙女で歌うこと。いつ聴いてもみんなが笑顔になって、いつ聴いてもフレッシュで色褪せないなって思ってもらえるようなシンガーでいたいと思っているので、この先5年、10年と歌っていけたらいいなと思っています」と伝えると、最後はもちろんデビュー曲「乙女のポリシー」を、本当にいつまでもピュアでフレッシュで、元気になれる歌声で届ける。当時の振り付けをみんなでして、観客も全力で楽しんでいた。やはりアニソンは時代を超えるし、当時を知っている人は、その記憶も呼び覚ましてくれる素晴らしいものだなと再確認する瞬間だった。
石田燿子の30年の想い、アニソンへの想い、そして『美少女戦士セーラームーン』シリーズへの愛を感じる、最高のステージだった。
<SETLIST>
1.ムーンライト伝説
2. I am セーラームーン
3.好きと言って
4.“らしく”いきましょ
5. Moon Revenge
6.私たちになりたくて
7.Moonlight Destiny
8. タキシード・ミラージュ
9. eternal eternity
10.ニュームーンに恋して
11.ラ・ソウルジャー
12.愛の戦士
13.セーラースターソング
~ENCORE~
14.風も空もきっと
15.乙女のポリシー
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