自然由来の乳化剤でUVカットスプレー剤を開発

自然由来の乳化剤でUVカットスプレー剤を開発
スキンケア・化粧品・ヘア用品
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図 セルロースナノファイバーを添加した本スプレー剤の噴霧の様子
図 セルロースナノファイバーを添加した本スプレー剤の噴霧の様子

1.開発背景
当社が販売する「BiNFi-s(ビンフィス)」は、バイオマスをナノサイズのファイバー形状に解繊した極細繊維材料で、主にスラリー状態で提供しています。少量添加で優れた乳化能を示すことから、幅広い業種で自然素材由来の乳化剤として利用が進んでいます。化粧品分野では、近年、自然由来の材料への変更・置換ニーズがあり、BiNFi-sの乳化能が注目されています。

また、化粧品への別の添加効果として、乳液、クリームへ添加する際の触感の向上があります。BiNFi-sを添加すると、従来の製品と比較して、「さっぱり」、「すっきり」とした軽快な触感が得られます。これは、従来の増粘剤が肌を面で覆うような触感なのに対し、ナノファイバー形状のBiNFi-sは、肌に線や点で触れるような、ほど良い密着性があるためと考えられます。

これらのユニークな機能を活かすことを目標に、当社は、東洋エアゾール工業と共同で、BiNFi-sを添加したUVカットスプレー剤の開発に取り組みました。その結果、従来の製品よりも化成品由来の乳化剤の使用量を低減でき、さらに噴霧ガスを人や環境への負荷が小さい窒素ガス(N2ガス)に置き換えることができました。

2.BiNFi-sを添加したUVカットスプレー剤の特徴
本開発品は、BiNFi-sが持つ乳化・分散安定性を生かし、さらに良好な触感・スプレーパターンを持つ、水中油滴(O/W)型*2のスプレー剤になっています。

水中油滴(O/W)型乳化で処方が可能
紫外線の防護作用のある薬剤は親油性が高いものが多く、油中水滴(W/O)型*3の処方になっていました。一方で、BiNFi-sを乳化剤として併用すると、水中油滴(O/W)型の処方が可能となり、その結果、従来の化成品由来の乳化剤の低減や、W/O型にはない「べた付かない」触感が実現します。

N2ガスで噴霧が可能
一般的なUVカットスプレー剤の噴霧ガスは、LPガスが大半ですが、BiNFi-sを添加したスプレー剤では無害なN2を噴霧ガスに置換できました。そのため、スプレー剤使用時の人や環境への負荷低減が期待できます。
一方で、N2ガスの場合は、使用量に伴い缶内ガス圧が下がりやすい傾向があります。しかし、本スプレー剤では、缶内ガス圧が初期の0.75MPaから0.3MPaまで下がった時でも、噴霧粒子径もスプレー径(範囲)ともに、実用上の大きな差はなく、良好な噴射状態でした。

自然由来の乳化剤でUVカットスプレー剤を開発

3.今後の予定
BiNFi-sの原料であるバイオマス由来の原材料の需要は、サスティナブルの観点から、今後も拡大が見込まれます。今後も、両社でBiNFi-sを添加した本スプレー剤の早期の製品化を進めるとともに、BiNFi-sのもつ乳化、触感改良以外の効果(増粘や粒子の分散安定など)を提案し、化粧品、食品の業界への展開を進めてまいります。

4.用語・補足
*1 ナノファイバー
繊維を直径 100 nm以下、長さ 数µmのサイズへ微細化したもの。
*2 水中油滴(O/W)型
水相中に油滴のコロイドが分散しているものの総称。水中油滴型の例は、牛乳やマヨネーズ。
*3 油中水滴(W/O)型
油相中に水滴のコロイドが分散しているものの総称。油中水滴型の例は、バターやマーガリン。

<本件に関する報道関係者からのお問合せ先>

株式会社スギノマシン 新規開発部 開発プロジェクトグループ

TEL:076-477-2572

<会社概要>
■会社名:株式会社スギノマシン
■代表者:代表取締役社長 杉野良暁、代表取締役副社長 杉野岳
■本社所在地:〒936-8577富山県滑川市栗山2880番地
■TEL:(076)477-2555(代)
■創業:1936年3月1日
■事業:高圧ジェット洗浄装置、超高圧水切断装置、原子力発電保守用機器並びに廃炉機器、湿式・乾式微粒化装  置、ドリリングユニット、タッピングユニット、マシニングセンタ、拡管工具・装置、抜管装置、鏡面仕上工具、バイオマスナノファイバー、産業用ロボット等の開発、設計、製造、販売
■URL:https://www.sugino.com/

-以上-

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