【刊行の背景】
本学文学部では、小説、俳句、短歌、詩、童話などのプロの創作者を招き、カリキュラムの充実を図っています。2005年から昨年度まで俳人の井上 弘美客員教授が俳句創作授業を担当し、「校内吟行」や「句会」を行ってきました(今年度からは、俳人で演劇研究・批評家の堀切克洋教授が担当)。
自然豊かなキャンパスのなかで誕生した作品は、毎年精選して学内向けの創作集に掲載されてきましたが、今年3月末の退職を機に、井上客員教授が再編集して約20年分、800句を一冊にまとめました。
【特別対談について】
本句集の刊行を機に、2月16日、武蔵野大学国文学会では井上客員教授とお笑い芸人「金の国」の桃沢 健輔氏が「一回性の醍醐味」をテーマとした特別対談を行いました。桃沢氏は本学文学部の卒業生で、井上教授が「NHK俳句」の講師をされていたときに3か月にわたってゲスト出演をしていたこともあります。
対談冒頭は、現在30歳の桃沢氏と30歳で俳句を本格的にはじめた井上客員教授の略歴をもとに、武蔵野大学での俳句の授業の思い出などが語られました。〈元日や二十歳の祖父は兵として〉は、十年前に桃沢さんが授業で作った句です。俳句を初めて一年ほどでこのような優れた句が生まれる「若さ」に井上先生は驚いたと当時を振り返りました。
俳句は17音というシンプルな文芸ですが、どこかで自分を追い込まなければ、人の心に響く句はできません。その点で、複数人で俳句を詠み合う句会は学生の意欲の写し鏡となります。今後も句会を中心とした俳句創作授業では、参加者同士が切磋琢磨しあい、季語を通じて日本語や日本文化の奥深さを知る機会を学生に提供していきます。
【コメント】
■井上 弘美客員教授(俳人)
俳句創作授業では、生きた季語と出合う「校内吟行」や、人と人が向き合う「句会」を学生達と共に大切にしてきました。そこから生まれた心の発信が、もう一度仲間に届き、やがて、大学からの「発信」ともなれれば、こんな嬉しいことはありません。
【関連リンク】
■ 文学部 日本文学文化学科:
https://www.musashino-u.ac.jp/academics/faculty/literature/
■ 桃沢健輔さんへのインタビュー(武蔵野で得た財産から笑いを):
https://www.mu-alumni.jp/magazine/10644/
■ ふらんす堂(本書発行元)オンラインショップ:https://furansudo.ocnk.net/product/3041
■ ふらんす堂編集日記:https://fragie.exblog.jp/33844063/
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