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全身性強皮症とは
全身性強皮症(systemic sclerosis : SSc)とは、皮膚や消化管、肺などが硬くなる自己免疫疾患です。レイノー現象 ※ をはじめとする血管障害や皮膚・内臓の繊維化、免疫異常など多くの異常が絡み合った病態です。症状には個人差が大きく、各々に合わせた治療が試されますが、根本的治療法がないため日本においては指定難病とされています。
※ レイノー現象:指の血管が収縮することで血管の内腔が狭くなる、もしくは血管内の繊維化によって血管が固くなる結果、血流が低下することによって、寒冷刺激(冷凍物に触れたり、冷たい外気に曝された時など)によって手指が白や紫に突然変化する症状を指す。全身性強皮症の90%の罹患者で起こるとされる。
SScを引き起こすメカニズムは不明ですが、頻繁なレイノー現象によって活性酸素種(ROS)が産生されます。ROSは細胞の活性化や増殖の調節が可能であり、SScでは線維芽細胞や内皮細胞が攻撃され内皮障害や内膜肥厚、線維化を引き起こしSScの病態を悪化させるなど、酸化ストレスが関与していることはよく知られています。
当研究チームは、SScマウスモデルの中でも最もヒトのSSc症状を呈することが知られているHOClモデルマウスを用いて、抗酸化サプリメントTwendee X®︎の通常量の使用(20mg/kg/d)におけるSScへの効果を検証しました。
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Twendee Xとは
Twendee X(TwX)はビタミンC、L-グルタミン、ナイアシン、L-シスチン、コエンザイムQ10、ビタミンB2、コハク酸、フマル酸の8つの有効成分からなる抗酸化サプリメントです。医薬品に要求される厳しい安全性試験(染色体異常、毒性、突然変異試験)を実施し全てクリアしています。Twendee Xの抗酸化能は下記に示すメカニズムによって、ヒトにおいては軽度認知障害(MCI)の認知症の予防に効果があることが認められています。
・酸化ストレスの低減 ・ミトコンドリア保護作用
・エネルギー産生の増加 ・オートファジー機能維持
・神経新生細胞の増加や維持 ・テロメアの伸長
・腸内細菌叢の調整 ・血中血糖値の上昇抑制
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研究概要
SScにおける酸化ストレス低減
SSc患者の血清中の高度酸化蛋白産物(AOPP)は通常健常者よりも高いことが報告されています。実際、HOCl誘導SScマウスにおいても、AOPP濃度は上昇しました。Twendee Xの投与によって、上昇したAOPPは有意に減少しました(Figure.1)。
皮膚の肥厚や皮膚及び肺の線維症の抑制
HOCl溶液をマウスに持続的に皮内注射することで、皮膚厚の増加(図2A)と皮膚および肺のヒドロキシプロリン(OHプロリン)濃度(図2B,C)が対照群(PBS)と比較して有意に高く、繊維化が見られました。同様に、HOCl誘導SScマウスの肺もOHプロリンの高濃度を示し(図2C)、肺における繊維化も観察されました。これに対し、Twendee XはOHプロリン濃度とCol1 mRNA発現は有意に抑制させ、コラーゲンの蓄積も抑制しました。特に、肺におけるコラーゲン蓄積は対照群(PBS)よりも低いレベルまで有意に減少させました。
これらの結果とともに、Twendee Xは炎症や免疫へも影響を与え、線維症などの慢性期への移行を遅らせる可能性が示唆されました。このことから、Twendee Xは人におけるSScに対しての症状緩和が期待できると同時にこれまでの研究によるTwendee Xの酸化ストレス制御がSScに対する安全で効果的な抗酸化治療薬として有望であると期待されました。
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書誌情報
DOI: 10.3390/ijms25053064
URL: https://www.mdpi.com/1422-0067/25/5/3064
論文: Fukka You, Carole Nicco, Yoshiaki Harakawa, Toshikazu Yoshikawa, Haruhiko Inufusa.
The Potential of Twendee X as a Safe Antioxidant Treatment for Systemic Sclerosis.
Int J Mol Sci. 2024 Mar 6;25(5):3064.
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組織概要
ルイ・パストゥールの理念に基づき、ウイルス性疾患や癌や難病などに関し、医学内部の専門性の境界にとらわれず、とくに各人に内在する自然免疫力の増強の観点から、基礎的・臨床的研究を行い、心身両面での、人々の病気に対する悩みを可能な限り軽減し、予防することを目標とする。
公益財団法人 ルイ・パストゥール医学研究センター
所在地:〒606-8225 京都市左京区田中門前町103-5
理事長:吉川敏一
HP:http://www.louis-pasteur.or.jp
抗酸化研究室HP:https://antioxidantres.jp
<主席研究員 犬房春彦について>
公益財団法人 ルイ・パストゥール医学研究センター 抗酸化研究室 主席研究員
岐阜大学 科学研究基盤センター 共同研究講座 抗酸化研究部門 特任教授
日本認知症予防学会 エビデンス創出委員会 実行委員、日本脳サプリメント学会 理事
略歴
1982年近畿大学医学部卒業。1988年近畿大学医学部大学院外科学系卒業(医学博士)。専門は消化器外科で腹腔鏡手術、癌転移の研究。近畿大学を退職後、2007年より医療財団TIMA establishmentの主席研究員としてアルコール代謝、糖・脂質代謝、酸化ストレスの研究を開始。2013年岐阜大学 科学研究基盤センター 共同研究講座 抗酸化研究部門の新設にあたり、特任教授に就任。現在は酸化ストレスと抗酸化配合剤「Twendee X」に関する研究を行う。 2020年3月より公益財団法人 ルイ・パストゥール医学研究センター 抗酸化研究室 主席研究員。
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