日本人の海外永住が増え続けている。生活拠点を移した永住者の数は2023年時点で前年比3%増の57万4727人となった。ここ20年ほど増え続け、新型コロナウイルス禍があっても右肩上がりの状況だ。
さらに、総合旅行プラットフォーム「エアトリ」が1195名を対象にしたアンケートによると、既に海外移住している(したことがある)と答えた人が10.7%、海外移住に興味があると答えた人が70.2%と「いずれは海外に住みたい」「いずれは海外で仕事をしたい・挑戦をしたい」と考えている日本人が多いという結果になった。
そんな状況の中で、海外移住や挑戦に興味はあるけど、未だ実現出来ていない約70%の潜在層に向けて今、世界に通用する人材になりたい・なってほしいというニーズに応えるかたちで、英会話スクール事業をはじめ、留学事業や国際交流イベントなどを展開する株式会社ワンコイングリッシュの創業者であり、代表取締役の兒嶋裕貴に話を聞いた。
グローバルを知り、日本を知る人材が日本をアップデートする
— 複数の事業を立ち上げていますが、事業内容と各事業に共通していることを教えてください。
日本人の英語学習を支援する株式会社ワンコイングリッシュと、企業の海外進出支援をする株式会社Resorzという会社があります。ワンコイングリッシュでは1時間500円の国内最安値クラスの英会話レッスンを提供しています。Resorzでは海外ビジネスに必要なものが全部揃った海外ビジネス支援プラットフォーム「Digima〜出島〜」や、約4,000人の来場者がある「海外ビジネスEXPO」などを運営しています。
ワンコイングリッシュとResorzに共通している軸は「開国」です。ワンコイングリッシュは日本人の個人の開国、Resorzは日本企業の開国。企業と個人の両軸に、国外に出る後押しをするサービスを提供し、日本を変えていきたい。そんな思いで事業を経営しています。
— 「開国」とは、具体的にどのようなことを指しているのでしょうか。
歴史を見てみると、日本は鎖国・開国を繰り返し、成長してきています。開国することで、日本はアップデートされてきたと思うのです。
今は鎖国ではありませんが、日本は未来のためにアップデートが必要な時です。また外に出ていく必要がある。だからこそ私が「ハイブリッド人材」と呼んでいる、日本を知り、グローバルを知る人材をどれだけ育てていけるのか。それが日本の転換点になるという心意気でいます。
— ワンコイングリッシュの創業に至った経緯を教えてください。
以前の私は日本の常識のなかで生きるドメスティックな人間でした。中学、高校、大学と、受験戦争のど真ん中で少しでもランクの高い学校に入ることを目指し、目には見えないプレッシャーのなかで生きてきました。一方でそれがとても嫌だったのです。いつまでこのプレッシャーは続き、いつまで自分を型にはめなければいけないのかと思っていました。
転機は17歳のときに父親が急逝したことです。手を握りながら事切れる瞬間に立ち会い、強烈に死を意識しました。さっきまで意思のあった人が、肉の塊になる。死とは何かを自分に刻み込むような、いわゆる死を身体化した経験は、自身の考え方に大きな影響を与えることになります。いつか同じように自分も死ぬのだと思ったら、自分に嘘をつかず、自分らしさを貫いて生きたい。そのために自身に根付いている日本的な価値観をぶっ壊したいと思いました。同時に、海外の常識にも興味が湧きました。日本と同じような価値観で世界は回っているのだろうかと。
その後、日本では経験できないことを求めて60カ国以上の国を巡りました。
グローバル経験を積むなかで、徐々に自分自身のドメスティックな思考に変化があったからだと思います。世界を見たことで日本を相対的に見ることができた。日本と他国それぞれのいいところ、よくないところを体感し、その上で今ある常識にとらわれる必要はないと思えたのです。
— 会社を経営する上で大事にしている考え方や哲学があれば教えてください。
なぜその事業をやっているのか。その「想い」をもっとも重要なものとしています。何かをジャッジしなければいけないとき、特に辛い時こそ原点に立ち返るようにしています。単純に儲かる儲からないで判断をしていない。もちろん儲けることは大事で、正しいことですが、それだけで判断することはありません。
我々は意義のあることをやっているという腹落ち感が大事です。自己満足かもしれませんが、夢を語って事業を成り立たせる、自分はドリーマーでいいと思っていますし、ドリーマーでいたいと思いますね。
また、本質を考えることも大事にしています。「本質と流行」と言っていますが、本質とは、変わらないものや残るもの。どこの国にいっても変わらないし、100年前からあるもの。これは大事です。それに対して、流行は、時代や環境によって変わります。たとえば「約束を守ること」は100年前も100年後も、どこの国においても大事なことですが、「ネクタイをすること」は流行です。100年前にはネクタイをしていないし、気温が40度の国でネクタイはしません。流行を知ることは大事ですが、流行でジャッジするのではなく本質で決めること。これは意識しているように思います。
※インタビュー全文は以下のURLへ
https://company.onecoinenglish.com/interview/kojima
<経歴紹介>
兒嶋 裕貴 Kojima Yuki
早稲田大学商学部卒業。ライフワークとして現在までに世界約60カ国
200都市以上へ渡航。サイト売買(M&A)サービスの立ち上げや、ベトナム・ホーチミンでのオフショア開発企業立ち上げに参画後、日本の開国を目指し2009年に株式会社Resorzを設立。20,000社を超える企業、地方自治体や大使館、政府の海外ビジネスを支援。
2014年に日本人のグローバル化を目指して、良質な英会話レッスンが誰でも気軽に受けられる、60分500円の英会話スクール「ワンコイングリッシュ」を設立。
幅広い海外ビジネスの知見と50カ国籍以上の人材マネジメント経験から、各省庁や海外政府機関、自治体、金融機関などに向け講演を行う他、日経産業新聞や金融業界紙でコラムの執筆、外国人材受け入れサポートを行う、一般社団法人国際連携推進協会の理事としても活動。2020年からは経済産業省中小企業庁「新しい担い手研究会」委員に就任。
<会社概要>
会社名:株式会社ワンコイングリッシュ https://onecoinenglish.com
代表者:兒嶋 裕貴
所在地:〒102-0083 東京都千代田区麹町5-3-23 日テレ四谷ビル8F
資本金:550万円
設立:2014年8月8日
事業内容:英会話学校運営・日本語学校運営・国際交流会運営・留学事業
店舗所在地:新宿校・渋谷校・横浜校・五反田校・池袋校・吉祥寺校・飯田橋校・銀座校・上野校・三軒茶屋校・オンライン校
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