2024年1月の能登半島地震で被災された方々には、一刻も早く安心して生活ができることを願っています。
そしてこの度、金継ぎを専門に行う私たち「つぐつぐ」だからこそできる支援プロジェクトを開始することを発表します。
つぐつぐによる被災者のための金継ぎ無償修理プロジェクト
金継ぎプロジェクトの概要
大切にしていたのに割れてしまった被災者の器を、東京金継ぎ教室つぐつぐ(以下、当教室)に通い金継ぎを学んでいる生徒と講師が一丸となり、無償*で金継ぎ修理してお返しし、被災者に少しでも元気になっていただくためのプロジェクトです。
※器の受け渡し手段は、郵送になります。金継ぎ修理にかかる材料費と作業などの費用と返送の送料は当教室で負担しますが、当社指定の住所(東京都内)へ器をお送りいただく送料は応募者の負担になります。
金継ぎは、昔から石川県でも盛んな漆芸の一部。漆(うるし)など自然由来のものだけを使って器を直すため、割れた食器など口に触れる器も安心して使い続けることができます。しかし漆の特性上、一つの器を修復するのに長い工程と手間暇がかかります。
そのため、私たちの力でどれだけの数の器の修理をお受けできるかは、始めてみなければ分かりません。被災者が大切にしていた器を、一つ一つをきちんと管理・修理してお返しするためにも、最初は月に数個という少ない数からお受けし(器の破損度にもよります)、うまく運営できるようになってきたら、少しずつ増やしていきたいと考えています。
いつから?
この記事を公開した、2024年4月より応募受付を開始します。
そして、終了予定日は未定です。
このような活動は大きな災害があった時に一時的に行うものではなく、生涯に渡り、他の災害があったときにも継続して行える持続可能(サステナブル)な支援プロジェクトとなること目指しているからです。
金継ぎ修理に携わるヒト
「東京金継ぎ教室つぐつぐ」恵比寿本店・浅草店の金継ぎ教室の中で、生徒と講師が一丸となって修理を進めます。
<金継ぎ教室の生徒にご参画を依頼した背景>
つぐつぐではプロ金継ぎ師による有料の金継ぎ修理をメイン事業として行っており、2024年4月現在、1年待ちという状況です。
有料の金継ぎ修理依頼の完成を優先しながらも、被災者への無償の支援に取り組むには、人手が足りません。
そこで2024年4月1日より、つぐつぐの金継ぎ教室に通う生徒のみなさまに、当プロジェクトにご協力いただけるかアンケートをとったところ、多くの方がご賛同され、プロジェクトを開始できることになりました。
自分の器を修理するだけでなく、誰かのために自分が学んだ金継ぎ技術を活かして貢献したい意志のある生徒がこれほど多くいらっしゃることに、感謝申し上げます。
修理は講師の監督下ではありますが、金継ぎ初心者の生徒も多く携わります。修理は生徒が主体で進行しますので、当プロジェクトでの金継ぎ修理の完成品は、プロの仕上がりにはならないことのご了承をお願いします。
プロの仕上がりは期待できでなくても、今後も長く使っていただけるように、心を込めて修復します。
応募条件
お受けした依頼を確実に修復して被災者のもとへお返しするためにも、今回とても厳しい応募条件を定めていることを、あらかじめご了承ください。
これまで金継ぎ修理を月100個以上承ってきた実績があるからこそ、責任もって修理をお受けできるための知見があるからです。
また、あくまで被災者への無償の修理であるため、被災者以外の方からのご応募はお受けできず、その審査も兼ねて応募者についてきちんと把握する必要があると考えています。
そして修理が完成する見込みの1年ほど後に、確実に修理品をお受け取りいただけるよう、住所や連絡先は事前に2箇所お伺いでき、常に連絡できる状態であることを確認しております。
応募条件全てに同意いただける方のみ、株式会社つぐつぐ(以下、当社)の金継ぎ無償修理の応募が可能です。
応募フォームの記入には約20分かかります。通信環境の良い場所で、PCあるいはスマートフォンにてご入力・送信ください。(紙や電話での応募はできません)
当社のウェブサイトには詳細情報と応募フォームへのリンクがあります。
応募前に必ず全てお読みいただきたいですが、当プロジェクトの応募条件の概要の一部を、下記にまとめました。
対象者
当プロジェクトは、「令和6年能登半島地震」で被災された方のみを対象としています。
応募はつぐつぐ所定の応募フォームからのみの受付となります。受付対応の人手不足と、できるだけ多くの器を修理することに専念するため、電話やメールでのお問い合わせはお控えください。
応募が殺到し場合、応募の受付が困難となった場合は、予告なく受付を中止します。
最新の情報は当社のウェブサイトに掲載します。
お1人様、器1点のみ、1回限りの応募が可能です。
ご応募の流れ
応募フォームを送信された翌月中に当選者を確定し、当選者への当選メールの通知をもって発表に代えさせていただきます。再度の応募はできず、電話やメールでの当選結果の質問にはお答えできませんので、ご了承をお願いします。
当選した場合、器のお送り先の住所をメールでご連絡します。
当社に器が届いてから修理完成まで、1年程かかる可能性があります。(破損度により、修理期間が変わります。実物を見て、完成予定日をご連絡します)
修理途中で進捗をお伝えすることができないため、完成の連絡があるまでお待ちください。
修理が完成したら、ご住所に変更がないか確認し、返送します。
ご依頼いただける器
今回のプロジェクトで金継ぎできる器には制限があります。
一番長い辺が30cm以内の、陶磁器に限ります。ガラス・木製品・金属製品は修理できません。
また破片が全てそろっておらず、大きな欠損がある場合、金継ぎ修理できないことがあります。
食器として安心して使えるよう、漆など自然の材料を用いて修復しますが、仕上げ色やデザインはお選びいただけず、仕上げ色は当社で決定させていただきます。
「金継ぎ」というと「金」色のみを想像されることが多いと思いますが、金以外の仕上がりになる可能性が高いことをご了承ください。
主な仕上げ法として、色漆・漆仕上げ、錫、銀、銅仕上げなどを考えています。その器にあった仕上げ色や方法を当社で決定するため、仕上げや修理方法のご要望はお受けできないことをあらかじめご了承ください。
初心者を含む、金継ぎ教室の生徒様が中心となって修理をするため、プロの仕上がりにはなりません。しかし、再び使用できるよう、そしてできるだけ綺麗に仕上がるよう、心を込めて修理いたします。
金継ぎで修理された器は、壊れる前より耐久性は劣ります。
また漆の特性上、金継ぎ後の器の扱い方や使用方法に制限があります。
(例:電子レンジ・食器洗機・オーブン不可。マグカップの取手など細い部位が破損した場合、修理後は取手だけを持ってご使用いただけず、本体を持って使用することになるなど)
金継ぎは漆芸の一部ですので、金継ぎされた器は漆器と同じようにやさしく扱っていただくことになります。
再修理はお受けできませんので、大切にお使いください。
郵送に関する注意
金継ぎ修理が完成した後の郵送返却では、緩衝材で入念に梱包して発送させていただきます。しかし、郵送会社の取り扱いが原因で破損した場合は、郵送会社の賠償責任となり、当社は一切の責任を負いかねますので、ご了承ください。
逆に、当社へ器をお送りいただく時にも、破損が大きくならないよう入念な梱包をお願いします。
器は終始郵送での受け渡しとなり、応募に当選された方だけに、お送り先住所をお知らせします。修理代と修理が完成した時の返送送料は当社が負担しますが、当社に器を送る際の送料は応募者が負担となること、ご了承ください。
発送・返送ともに、郵送は日本国内に限ります。
箱の大きさは80サイズまでに限ります(大きすぎる器は郵送時の破損リスクが高く、また修理中の器を乾かす「漆風呂」に入れることができるスペースが限られているためです)
緊急時に連絡や返送が可能な、本人以外の方のご住所の記載も必須になります。
その他のお願い
私たちは金継ぎの魅力を世界中に広め、「捨てずに金継ぎして、愛着が増して、また使える」ことをたくさんの人に知ってもらいたいと思って活動しています。
当プロジェクトでの修理実績・写真は、当社のウェブサイトやSNSなどで公開させていただきますので、あらかじめご了承ください。
そして、金継ぎ修理が完成した器がお手元に届いたら…
金継ぎ修理は当社の生徒が主体となって手間暇かけて行うため、完成後、受け取られた被災者の声を、修理に携わった生徒へお伝えしたいと考えています。
そのため、受け取ったあとに感想・メッセージを当社へお送りいただくことをお約束いただける方に優先して、この無償修理をお受けしたいと思っています。
また、感想はウェブサイトやSNSに掲載させていただきます。
私たちの今後の活動の励みになり、今後もっと修理をお受けするモチベーションになりますので、是非ともご協力をよろしくお願いします!
最後に
たくさんのご応募が想定され、実際にお受けできる確率はとても低くなるかもしれません。
しかし今後このプロジェクトがうまく進行し、ご協力いただける生徒数が増え、効率よくしっかりと運営ができるようになりましたら、より多くの方を対象にできるようにしたいと考えております。
最初は数は少なくても、当社にしかできない被災者への応援として、金継ぎを通じて被災者を支援したいと考え、このプロジェクトの開始に踏み切ることにいたしました。
お受けする限りは、絶対に喜んでいただけるよう、ご協力いただく当社の生徒と講師で、心を込めて、そして一丸となって修理に取り組みたいと思っています。
当社の理念は「金継ぎで、世界中に、感動体験を提供する」です。
私たちが今も室町時代から伝わる金継ぎ技術を継承し、たくさんの方の器を修理して感動をお届けできているのは、漆による伝統工芸・技術を大事にしてきた石川県があるからこそだと考えています。
新しいモノがあふれている今、金継ぎは、生活にないと困るものではないけれど、人を感動させる力があります。この新しいプロジェクトを通して、一人でも多くの被災者が、笑顔になって欲しいと心から願っています。
この金継ぎ無償修理プロジェクトは、当社のウェブサイトやSNSなどで公開・発信していますが、メディアの皆様のご協力と、これを知った方々の口コミなどで、石川県で必要とされる方に広く知れ渡るとうれしいです。
株式会社つぐつぐ
代表取締役 俣野 由季
関連URL : https://kintsugi-girl.com/kintsugi-for-ishikawa/