トラック&フィールド種目の争いが本格化してきたパリ五輪イヤーで、世界最高峰シリーズのダイヤモンドリーグ(DL)も幕を開けました。第1戦の会場は中国の福建省アモイ。日本人選手4人が初戦から世界の強敵に挑みました。
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一番の注目は男子110mハードルの泉谷駿介(住友電工)。昨年8月の世界選手権(ブダペスト)でこの種目で日本勢初となる決勝進出を果たして5位に入り、今季はパリ五輪の参加標準記録(13秒27)を破った時点で代表に内定する状況下でシーズン初戦を迎えました。DLは昨季初出場優勝を果たすなど、常連となってきた舞台。「とてもわくわくした気持ちで臨めた」と言います。好スタートを決めて序盤から先行。最後は米国勢との競り合いでリードできずに3位となりましたが、13秒17でパリ2024オリンピック日本代表内定となりました。
今季に向けては新たにストレングスのコーチに師事し、より正しい動きでのウエートトレーニングなど専門的な取り組みにも励んできました。その成果を発揮し、昨年の世界選手権決勝を上回るタイムで早々にパリ行きをつかみ取り「とにかく参加標準を切ることだけを考えていた。代表内定に満足しないで、本番は五輪。予選と準決勝は当たり前のように通過して、メダルを狙っていきたい」と決意を新たにしました。
全体でも先陣を切って出場したのは男子走高跳の真野友博(九電工)でした。DLは昨年記録なしに終わったドーハ大会以来、2試合目。この日も2m15の1回目の試技を失敗すると「嫌な記憶がよみがえった」そうです。ただ、2回目できっちり成功させると大きくガッツポーズを見せ、波に乗って2m20、2m24を成功。2m27は1回目の惜しい跳躍で「力みも入って、自分の跳躍が少し崩れた」といい、改善できずに失敗に終わりました。4位タイでパリ五輪に向けては着実に前進していますが「今年は勝負の年。次のDLやセイコーGGPでは参加標準記録(2m33)を狙っていきたい」と意気込んでいます。
最終種目の男子100mには、京都・洛南高から東洋大の同じルートを歩んできた桐生祥秀(日本生命)と和田遼(ミキハウス)が参戦しました。桐生にとっては2019年以来のDL。屋外初戦は10秒38の7位となりましたが「初戦はスピードより、自分のレースが落ち着いてできるかどうかが目的。落ち着いてレースはできた」と及第点を与えました。1月に60mの室内日本新記録(当時)を樹立し、その後も順調に練習を積めているという28歳のスプリンターは「東京五輪は100mで代表を逃してしまったので、しっかりパリでは個人種目で狙っていきたい」と、五輪イヤーに懸ける思いを口にしました。一方で、前々日の木曜日(18日)朝に急きょ出場が決まったという和田は先輩の桐生を上回る10秒31で5位に入りました。既に2週連続でレースをこなしており、疲労は大きかったそうですが「世界のトップ選手と走るとてもいい機会。今自分がどれぐらいで走れるかを知れる大会だと思ったので、とてもわくわくして、出たいという気持ちになった」と決断。大きな経験を積み、今後の国内レースに向けても手応えを深めた様子でした。
激戦の男子100mは2019年世界選手権覇者のクリスチャン・コールマン(米国)が10秒13で優勝。この日最も競技場内がどよめいたのは男子棒高跳でした。アルマント・デュプランティス(スウェーデン)が昨年9月に樹立した自身の世界記録をさらに1cm更新する6m24に成功。そこまでも1回も失敗することがない異次元のパフォーマンスで、今季の屋外初戦から誰も寄せ付けませんでした。第1戦から多数の好記録が誕生。1週間後に行われる中国・蘇州での第2戦(27日)には、泉谷、桐生、真野に加えて女子やり投の世界女王、北口榛花(JAL)も今季初戦としてエントリー。各選手がそれぞれの思いを胸に、パリ五輪イヤーに挑み始めています。
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【泉谷駿介(住友電工)コメント】
男子110mハードル 3位 13秒17(-0.3)
パリ2024オリンピック日本代表内定
レース内容自体は悪かったです。ハードルにもう少し脚をぶつけずに落ち着いていきたかった。悪い中でもタイムがついてきたのは良かったと思います。どれぐらいのタイムが出るか分からなかったので、とにかく五輪の参加標準(13秒27)を切ることだけを考えていました。ここで代表に内定したことに満足しないで、本番は五輪。五輪までにしっかりと準備していけたらいいと思っています。
東京五輪があった3年前と比べて実力もついてきて、レースもいい感じでできています。パリ五輪では、予選と準決勝は当たり前のように通過して、決勝で勝負したい。メダルを狙えるように頑張りたいです。
この冬季練習は新たにストレングスのコーチにもトレーニングを教わりました。正しい動きでのウエートトレーニングなど専門的な取り組みをしたことがこの日のレースにもつながりました。今後も今季はDLや海外の試合がメインになります。体調面やけがなどに気を付けてやっていきたいです。
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【真野友博(九電工)コメント】
男子走高跳 4位タイ 2m24
昨年初めてDLに出たときは記録なしで残念な結果に終わりました。今回も1回目に失敗して嫌な記憶がよみがえりましたが、何とか記録を残せて良かった。一安心です。もうちょっと跳びたかったですが、とりあえずは及第点かなと思います。
2m27については、1回目で結構手応えが良く、これはいけるかなと思いました、ただそこで力みが入り、自分の跳躍が少し崩れた感じがしました。もうひと段階上を目指すにあたっては、安定性も含めて違う部分も向上させていきたいと思います。
今季は五輪イヤーで、勝負の年になります。しっかり結果にこだわっていきたい。ランキング的にはちゃんと結果を残していけば大丈夫かとも思いますが、日本の高跳びがすごくレベルが高くなっています。ランキングに入ってくる選手が3、4人いる中で、日本選手権が一番大事になります。日本選手権は絶対に外せない試合。そこで標準記録(2m33)ぐらいを跳んで優勝というところを第一の目標に頑張っていきたいです。
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【和田遼(ミキハウス)コメント】
男子100m 5位 10秒31(-0.6)
初の海外レースで、それがダイヤモンドリーグというのはとてもわくわくしました。周りのメンバーは憧れの選手ばかりで、自分は何も背負うものがありません。思い切ってレースができました。この状況での10秒31は、自分の実力は発揮できたかなと思います。
出場が決まったのが木曜日(18日)の朝でした。すぐに準備して、木曜日の夜に着きました。出雲陸上に出てからは、ここに出る想定は全くしていなかったです。でも、自分がダイヤモンドリーグに出られるとは思っていなかったので、世界のトップ選手と走るとてもいい機会だと思いました。今自分がどれぐらいで走れるかを知れると思い、とてもわくわくして、出たいという気持ちになりました。この雰囲気の中で走ることができて楽しかったです。
桐生さんとも大舞台で一緒に走れたことはとてもうれしかったです。でも日本選手権では戦わないといけない相手。今年は五輪イヤーで、もちろん自分も五輪に出るために今年の冬、一生懸命頑張ってきました。最後まで諦めずに、五輪出場は絶対に勝ち取りたいです。
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【桐生祥秀(日本生命)コメント】
男子100m 7位 10秒38(-0.6)
いいレースと言えるタイムではなかったですが、まだシーズン初戦なのでここから段々上げていけられたらいいと思っています。(屋外の)初戦はスピードより、自分のレースが落ち着いてできるかどうかが目的でした。落ち着いてレースはできたと思います。室内に出場後はもう1度冬季練習をやり、スピードを落としました。昨年も最初は10秒4~5台からスタートして、今年は10秒3台でしたので、ここから上がっていくかなと思います。
今後は参加標準記録の10秒00を切るか、しっかりポイントを稼ぐかになります。そこから日本選手権で3番に入れればいいと思っています。その三つの課題をクリアしていきたいです。タイムはもちろんここから徐々に上げていきたいですし、ポイントとしてはこういう大会でしっかり上位に入ることが大事になってくると思います。
今年はここまでけがなく順調に来ています。東京五輪は100mで代表を逃してしまったので、しっかりパリでは個人種目での出場を狙っていきたいです。
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パリ2024オリンピック競技大会日本代表選手選考競技会を兼ねて開催します!
日本一、そして日本代表内定を目指して戦う選手に是非ご注目ください。
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▼第108回日本陸上競技選手権大会 競技実施日
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