2回目の開催となるリモワ デザイン プライズは、初回と同様に「モビリティ」をテーマとして参加学生が作品を作り上げています。発表作品には発想力、持続可能性、時代を超越した価値があることを求めながらも、学生一人一人が自由な解釈で作品を作り上げることを推奨しています。今年は、このプライズに参加するデザイン学校がさらに増え、ドイツ全土の主要大学からも学生が参加しています。
今年のはじめに21人のセミファイナリストがデザイン業界のさまざまな分野から集まった7人の審査員と出会い意見交換を行いました。最終選考に残った7つのプロジェクトは、2ヶ月間にわたる指導を受けた後実地研修に進んでいます。
ファイナリストの一人、Fengfan Yang はSusanne Granerの指導を受けた作品を発表しました。彼女は、パブリック空間の家具デザインにおける課題を解決することを目的に、型破りなテーブルシステム「HANG ON」を発表しました。このデザインは、従来のテーブルの構造を再考し、プロダクトデザインの新しい形式言語を創り出し、新たな景観美を創造するための素晴らしい作品といえるでしょう。
ザール芸術大学からは、Regine Leibingerの指導のもと、Luise KempとDean Weigandが参加し「UN-NORM 」を発表しました。この2人の若手デザイナーは、障がいがある方の障壁を取り除くことを目指しています。「UN-NORM」は 、特に車椅子の人でも簡単に手が届くように設計されたバーなど、デザインにおける包括性を優先することで、あらゆる能力を持つ人々が集うことのできる包括的で適応可能な環境を作り出すことを目的としています。
シュヴェービッシュ・グミュント・デザイン大学のDominic HahnとFranziska Dehmは、Matthias Kullaの指導の下「FLOAT MOBILITY」を発表しました。このプロジェクトは、海面上昇が問題化する現代において、安全で効率的な水上輸送の必要性が高まっていることに着目したものです。適応可能なフローティング・プラットフォームを提供することで、FLOAT MOBILITYは十分な知識と経験が必要とされる水上交通に代わる、より容易なツールとなることを目指しています。都市インフラにシームレスに統合できるように設計されており、多様な輸送ニーズに対する多用途のソリューションを提供することを目的としています。
SRHベルリン応用科学大学のDaniela Lindenbergaは、ドイツで増加するヘイトモティベーションの犯罪について、デザインの視点から考察しています。Sebastian Herknerの指導の下、彼女は、懐中電灯、カメラ、マイク、スピーカー、GPSトラッカーなどの必須ツールを備えたウェアラブル安全装置「IXO」を提案し、旅行中のユーザーの安全性を高めるようとしています。IXOは、安全性を高めるために社会的交流を記録し、身に着けている人が脅威や孤立を感じたときには警告を発することができるよう設計されています。録音記録は自動的にユーザーのモバイル・デバイスに保存され、貴重な証拠として保存することが可能です。
Angelicka BarbieとSarah Eckerleinは、Nina Sieverdingと Anton Rahlwesの指導の下「EPILEPSENSE」を発表しました。この作品、てんかん患者の日常生活をサポートすることに重点を置いています。このデバイスは、脳波を測定するための電極が内蔵されたヘッドメッシュを有し、特に発作が多く発生する側頭葉を慎重に測定します。さらに、バイタルサインをモニターするブレスレットを備えており、発作をより正確に検知して、より良い管理と安全性を提供することを目的としています。
同じくアンハルト大学のJanne Kreimerは、Andreas Murkudisの指導の下、不安に対処するための暴露療法と現代技術を組み合わせた革新的な「RO 」を開発しました。TPUコーティングされたナイロン生地で作られ、ソフトロボットを搭載したこのベストは、指圧ポイントに優しい圧力を与えます。ツボの位置は体型、年齢、性別によって異なるため、ROはボディスキャンを採用して3Dモデルを作成し、アルゴリズム制御によってツボの場所を捉え、正確なターゲティングを実現しました。
Benjamin Wilsonの指導を受けるポツダム応用科学大学のPascal Schwientek とJasmin Kapplerは、「Strollect」を発表しました。これは、ゴミ収集を促進するためにデザインされたレンタル・トロリーです。レンタル自転車と同様、利用者はゴミ拾い用の道具を簡単にレンタルでき、指定されたステーションで返却することができます。アプリ内のイベントは社会的なつながりを促進し、地元の観光スポットで利用できる「ベネフィット・ポイント」で参加報酬を獲得することができます。各トロリーにはグリッパーが装備されており、これはゴミの回収を容易にし、資源の持続可能性に対する意識を促進することを目的にしています。回収されたリサイクル品は利用者によって分別され、STROLLECTの従業員によって集められ、パートナー企業によって処理されます。
今年の受賞プロジェクトの発表は、ベルリン・デザイン・ウィーク期間中の2024年4月29日にベルリンで行われます。 同賞の審査員団は、7組のファイナリストが発表したプロジェクトから受賞者1名を選出し、その受賞者には20,000ユーロが贈られます。また、特別賞としてファイナリスト1名に10,000ユーロ、残りのファイナリストにはそれぞれ5,000ユーロが贈られます。
2024年リモワ・デザイン・プライズの審査委員は以下の通りです
Alexandre Arnault, Chairman at RIMOWA [Honorary]
Hugues Bonnet-Masimbert, Chief Executive Officer at RIMOWA [Honorary]
Susanne Graner, Head of Collection and Archive at Vitra Design Museum
Sebastian Herkner, Designer at Sebastian Herkner Studio
Matthias Kulla, Director Design Management Sportscars at Porsche
Regine Leibinger, Co-Founder of Barkow Leibinger
Andreas Murkudis, Founder of Andreas Murkudis
Nina Sieverding & Anton Rahlwes, Founders and Editors at the thing Magazine
Benjamin Wilson, Director of Communication at Braun
RIMOWA 公式サイト:https://www.rimowa.com/
【RIMOWA / リモワ】
リモワは、高性能なプレミアム ラゲージで世界をリードするブランドとして広く知られています。1898年の創業以来、高い品質と革新性に富んだ製品づくりを真髄とし、1937年にはアルミニウムを、2000年にはポリカーボネートをスーツケースの素材として取り入れました。製品の開発から熟練工による精巧を極めた製品づくりのほとんどを、創業地であるドイツ、ケルンで行っています。2017年1月LVMHグループの一員となりました。2021年にはデイリーユースのソフトバッグコレクション「Never Still」を発表し、モビリティブランドとして進化し続けています。
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