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　新海特別主幹教授は1979年に、分子に光で刺激を与え、その構造や性質を制御して特定の分子やイオンを自由に取り出すことに世界で初めて成功し、現在、世界中で活発に研究が行われている「ナノテクノロジー」の原点を築き上げました。現在は、九州大学高等研究院特別主幹教授・同名誉教授及び九州先端科学技術研究所最高顧問として、分子情報科学を基盤とした機能集積化学に関する研究活動を展開するとともに、次世代を担う若手研究者の育成に尽力されています。

　新海氏に石けんリサーチセンター長に就任いただき、シャボン玉石けんは今後ますます日本国内はもちろん、世界の科学技術や社会に貢献する「石けんの価値の深化・創造」を目指してまいります。

■ 新海征治氏のプロフィール

1944年、福岡県生まれ。1967年、九州大学工学部卒業。1972年、同大学院工学研究科博士課程修了。工学博士。九州大学教授、九州先端科学技術研究所長、福岡市産学連携交流センター名誉センター長、崇城大学教授などを歴任。現在、九州大学高等研究院特別主幹教授・同名誉教授、九州先端科学技術研究所最高顧問。2024年4月1日より石けんリサーチセンター長。世界で初めて分子機械を開発し、ナノテクノロジーの基盤構築に貢献した。2004年紫綬褒章、2017年瑞宝中綬章などを受賞。2018年には文化功労者にも選ばれた。1993～2010年の18年間において論文の被引用件数に基づく化学世界ランキングでトップ10（2003年には第8位）。2024年4月1日現在までに発表した論文は1,026報。論文の被引用数に基づいて算出されるh-indexは124に及ぶ。

■新海征治氏の就任コメント

　2024年4月より、石けんリサーチセンター長を拝命致しました新海征治です。

この石けんリサーチセンター（以下、センター）は、シャボン玉石けん株式会社と北九州市立大学、九州工業大学との共同研究協定により2011年に設立され、前任の当センター長・九州大学高等研究院特別主幹教授の國武豊喜先生ご尽力のもと、石けんを産学連携の枠組みを活用しながら、基礎と応用の両面の視座から科学的に研究する機関として発展してまいりました。

　現代社会においては、人工合成物や非天然由来物質を多用することで、豊かな生活が築かれて来ました。しかし、一方では工場廃液、ゴミ処理、マイクロプラスティックなどの点で社会問題を引き起こして来ました。この相反する課題を解決する概念として提唱されているのが、皆様もご存知の“SDGs”です。シャボン玉石けん株式会社が生産している“無添加石けん”は添加物を一切加えずに製造された製品で、まさにSDGsの問いかけに対する回答の一つであると考えています。

　石けんの起源は約１万年前とも言われますが、意外にもこれまで学術的にはほとんど研究されて来ませんでした。当センターは無添加石けんの研究拠点として、石けんの成分研究に取り組み、さらに界面活性剤の環境への影響調査や、石けんを使用した抗カビ剤・石けん系消火剤など石けんの新たな分野への応用にも取り組んでまいりました。一方、新海はこれまで九州大学や科学技術振興機構の国家プロジェクトで分子認識化学、分子集合機能、生体関連機能、蛍光センサーなどの分野を研究対象としてきました。これらの知識と経験を生かし、今後はより一層、石けんの高付加価値化、石けんによる環境保全への貢献に関する研究に力を入れて行きます。微力ながら一意精励してまいる所存です。多くの皆様のご支援とご理解をお願い致します。