「文字」はわたしたちの言葉を伝達する媒体として欠かせないものですが、日本語においてゴシック体や明朝体が存在するように、文字にはそれぞれの言語ごとに異なるスタイル=書体が存在します。
本書で紹介するのは、そんな文字にカタチを与える「書体デザイン」を生業にする人たちです。
近年、書体デザインの世界では、異なる国や地域のデザイナー同士が協力し、複数の言語・文字で統一的なスタイルをもった多言語書体を開発する動きが活発化しています。
地域固有の文化を尊重しつつ、国際的に通用するデザイン手法やコミュニケーション能力を駆使して、個人デザイナーであっても世界的な企業と協働している多言語フォントデザイナーたち。
本書では、欧州、中東、アジアなど、ラテンアルファベット圏以外の国を拠点に活動する14組の独立系書体デザイナー/ファウンドリーの書体見本とインタビューを収録し、世界で通用する発想法や手法、デザイン哲学を紹介します。
彼/彼女らのグローカルな視点や思考法、制作手法には、デザイン以外でも役立つ思考や発想が詰まっているでしょう。
【目次】
はじめに
アイデア392号 特集「タイプデザイン・ナウ 独立系タイプファウンドリーの実践」—イントロダクション—
【Chapter 1】独立系タイプファウンドリーの実践
・Hypertype/ミンジュ・ハム
・山田和寛/nipponia
・Detail Type Foundry/神村誠+神村さち
・Śirin — Kwan/シリン・グンクロイ
・Trilingua Design/アドニアン・チャン
・Naïma Ben Ayed Bureau/ナイマ・ベン・エイド
・Briefcase Type Foundry/トマス・ブルーシル、ペトラ・ドチェカローバ、ラデック・シドゥン
・justfont
・debakir/カジャック・アペリアン
・ラディム・ペスコ/RP Digital Type Foundry
・Grilli Type
・NaN
・Kowloon Type/ジュリアス・フイ
・Maliikātype/シュエ・ティエンメン
【Chapter 2】テキスト編:タイプデザイン・ナウ
・座談会:わたしたちとタイプデザイン つくる人・つかう人の現場から
登壇:神村誠、野口尚子、有馬トモユキ、山田和寛 構成:長田年伸
・つくり手たちを支援するプラットフォームづくり
インタビュー:トラヴィス・ケッヘル、リジー・ゲルシェンゾーン(Future Fonts)
・デジタル時代の欧文書体デザインと近況
文:大曲都
・書体デザインの基礎知識
あとがき
【編集者・監修者プロフィール】
アイデア編集部(あいであ・へんしゅうぶ)
1953年創刊、クリエイターのための世界のグラフィックデザイン誌。
山田 和寛(やまだ・かずひろ)
株式会社nipponia代表。1985年生まれ東京都出身、2008年多摩美術大学卒業。松田行正率いるマツダオフィス/牛若丸でブックデザインを学んだ後、Monotypeで「たづがね角ゴシック」を設計。2017年にデザインスタジオnipponiaを立ち上げ独立。専門は書籍の装丁、書体デザイン、視覚伝達デザイン。女子美術大学非常勤講師。
【書籍概要】
書 名:越境する書体デザイナーたち 多言語フォントの制作プロセスと世界を見据えた働き方
編 者:アイデア編集部
監 修:山田 和寛
仕 様:B5判、200ページ
定 価:2,970円(税込)
発売日:2024年5月9日(木)
ISBN:978-4-416-62385-5
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