お手本のような騎乗フォームの武豊騎手。しかし、だから武豊騎手を買えというのが、本書の趣旨ではない。馬券で勝ちたいなら、武豊騎手とほぼ同じレベルの数値の騎手(いわゆる隠れた名手)に乗り替わった際に、狙い撃て!ということ。過剰人気になりがちな武豊騎手より、乗り替わりで人気が下がったときこそ妙味が生じるのだ!
本書では、ベテランから若手まで、その隠れた名手15人をセレクト。そこには意外な名前が! なるほど、このジョッキーなら配当がつくはずだ!
さらには、「戦術力」も〝JRA非公式データ“(要するに著者自身の観察・解析による)として
●スタート(出遅れ率・アオリ率・脚質傾向・雁行逃げ率・Hペース率・マクリ率)
●道中(掛かり率・コーナーロス率・内回し率・外回し率)
●勝負処(早仕掛率・遅仕掛率・進路傾向・モタレ率)
●不利全般(被不利率・躓き率・接触率・挟まり率・包まれ率・詰まり率)
――すさまじいまでに数値・順位化。だから「騎手の優劣」がハッキリわかる。騎手から馬券を買う人はもちろん、競馬ファンすべてが刮目するデータが揃っている!
前述のVIP15人のほか、72人の騎手の「技術力・戦術力の数値」を名鑑形式で紹介(ある程度の騎乗数がある、短期免許の外国人騎手も含む)。
実際に著者がVIP騎手への乗り替わりで狙い撃ちした高額配当(なんと、わずか1カ月で1千万円を超える払戻!)を例に馬券活用法もしっかりコーチング!
あなたの騎手観、競馬観を変える、史上初・唯一無二の騎手名鑑が、ここに誕生!
●著者より
VARは、サッカーW杯カタール大会の日本VSスペインにおける〝三苫の1ミリ〟で有名になった、ビデオ・アシスタント・レフェリーの略称に由来する。何度も繰り返してレースVTRを再生し、小刻みにストップして静止画にし、それこそミリ単位で細部にわたるまでチェックしたので、このように命名した。
詳細は本編に譲るが、「追える・追えない」「鞭の使い方の巧拙」などの技術力、「ポジション取りの上手さ」「仕掛けのタイミングの良し悪し」などの戦術力が、すべて数字で示されている。
この情報を持っているのは私だけ。もちろん、完全なる〝JRA非公式データ〟である。
私は乗馬経験こそあるものの、もちろん競馬のレースへの騎乗経験はない馬乗りのシロウトである。そんな人間が好き勝手に「この騎手は上手い」「この騎手は下手」と論じているわけだから、面白く感じない方は多いだろう。
騎手本人たちにしても、「なにもわかっていない」と反論したくなる点は多々あるはずだ。
だから私は、ある程度批判されることは覚悟している。
しかし、これだけは強調しておきたい。【ジョッキーVAR】の評価はあくまで私見であり、それが正しい・合っていると主張するつもりはこれっぽっちもないということだ。
騎手に対して、誹謗中傷をしたりクレームをつけたりする意図もいっさいない。ましてや、日本競馬界の発展のために提言をしたいわけでもない。
ただただ、私自身が馬券で勝つこと、そして読者の皆さんも勝ち組に導くことだけを考えている。ひとりの競馬ファンが自らの基準にもとづいて予想をし、自己責任で馬券を買っているのだから、誰からも文句をいわれる筋合いはないだろう。
そもそも、騎手の技術や騎乗ぶりについて批評するファンに対し、「馬に乗ったこともないくせに」といったたぐいのことを口にしたり、心の中で思ったりする騎手(や競馬関係者)はいかがなものかと思う。
騎手は商品を提供する側で、馬券を買う我々ファンは客の立場。馬に乗ったことがあるかどうかは関係ない。客を納得させ、満足させる商品を提供する(プレーを見せる)のがプロの仕事なのだから、それは禁句中の禁句といっていいだろう。
プロ野球の選手が連続三振を喫してファンにボロクソにいわれたら、「プロのピッチャーの球を打ったこともないくせに」と反論するだろうか? そんな報道は、一度も目にも耳にもしたことがない。競馬の騎手もそれは同じで、「馬に乗ったこともないくせに」は、著しくプロ意識が欠如した感覚といわざるを得ないだろう。だから私は、信念に従って馬券を買い、遠慮なく騎手を批評させていただくスタンスをとり続けている。
■書籍概要
書名 ジョッキーVAR!騎手名鑑
著者 川田信一
定価 2090円(税込)
発売日 2024年5月28日
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