ディズニー映画『ピーター・パン』の悪役であるフック船長は、なぜピーターを憎み続けているのか。そして、なぜこんなにも女心が理解できる人物なのか。ピーターのせいで左手をワニに食べられ失ったからだという理由だけでは語れない因縁も、恋する乙女の機微がわかる理由も、彼の生い立ちに隠されていました。
5月30日(木)に発売した「ディズニーヴィランズ もうひとつの『ピーター・パン』 キャプテン・フックの誕生」は、ディズニー映画の悪役[ヴィラン]たちの秘められた過去を紐解くシリーズの3作目。本作品でスポットライトを浴びるのは、ディズニーヴィランズのなかでもファンの多いフック船長です。
ディズニー映画『ピーター・パン』では、ずる賢く残忍な悪役として描かれるフック船長。一方で自分を狙うワニに怯える姿もあり、なぜか憎めない愛嬌を感じさせる人気キャラクターです。
ほかのディズニーヴィランズもそうであったように、フック船長にも悪役となる経緯がありました。フック船長はなぜ、ピーター・パンと幾度となく剣を交える関係になったのでしょうか。
鉤爪の義手になる前のフック船長は、ジェームズと呼ばれる青年でした。本作品は、彼を主人公とするお話です。
イギリス上流階級の名門校に通っていたジェームズは、ある出来事により人生が一変します。自分の力で生きていく必要に迫られ、いつまでも子どものままではいられなくなった彼は半ば強制的に自立することに。
物語のなかには、ピーター・パンも登場します。いつまでも子どもらしい無邪気なピーターと、若くして大人のように生きなければならなかったジェームズ。ジェームズの視点から見たピーターは、勝手気ままで人をからかい、無神経な行動を取る憎らしい存在だったのでしょう。
ひとりの力で生きていくことになったジェームズは、酒場で出会った女性・シェリーに誘われて海賊船で働き始めます。後に新入りとして船に加わった謎の女性・リエラとも出会い、それぞれが共通の目的に向かって冒険を繰り広げます。
なんといっても見逃せないのが、ジェームズの恋愛模様。シェリーとリエラ、魅力的な2人の女性の間で揺れ動く姿は、数ある見どころのひとつです。
『ピーター・パン』でも、ティンカー・ベルの女心をよくわかっているフック船長と鈍感なピーターとの対比は印象的。フック船長はジェームズ青年だったころに恋愛を知り、“恋する心”を経験してきたのです。
本作品には、ネバーランドの正体やティンカー・ベルとの初対面シーン、フック船長に忠実な乗組員スミーとの絆など、興味深いポイントが満載。読み終わったら映画『ピーター・パン』の世界の解像度がぐっと上がり、映画におけるピーターやフック船長のふるまいに深く納得できるようになるはずです。
6月6日にグランドオープンする東京ディズニーシー®「ファンタジースプリングス」は、『ピーター・パン』の世界を題材とした新エリア。フック船長の海賊船など映画の世界が広がるネバーランドを訪れる前に、ぜひ読んでおきたい一冊です。
■書誌情報
書名:ディズニーヴィランズ もうひとつの『ピーター・パン』 キャプテン・フックの誕生
著:ローリー・ラングドン
訳:岡田好惠
対象年齢:小学中学年から
定価:920円(税込)
ページ数:192ページ
カバー付き・総ルビ
2024年5月30日(木)発売予定 ※発売日は店舗によって異なる場合があります
講談社刊
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