「ギャラクシー賞」は、放送批評懇談会が放送文化の質的向上を目的に1963年に設立した権威ある賞で、テレビ・ラジオ・CM・報道活動の4部門に分かれ、ドラマやドキュメンタリーなど優れた放送作品や関係者に贈られるものです。このたび、報道活動部門で東海テレビが制作したキャンペーン「かわるPTA」が優秀賞を受賞しました。作品の内容は下記の通りです。
【報道活動部門 優秀賞】
キャンペーン「かわるPTA」
戦後まもなく全国各地の学校につくられたPTAは、任意の団体にも関わらず入会や活動の強制があるなど、多くの問題を抱えている。その姿は共働きの増加など社会の変化に見合わなくなってきていて、子育て世代の悩みは切実である。夕方のニュース番組「ニュースONE」を中心にその課題を多角的・継続的に取材するとともに、時代にあったPTAの姿を模索する当事者たちの取り組みを伝える。さらに地方自治体を継続的に取材する立場を生かし、人手やお金の面で保護者に大きく頼ってきた教育行政のあり方についても問題提起する。
PTA問題は2000年代から新聞等で断続的に取り上げられてきたが、本キャンペーンは、テレビでは初めて、かつ唯一の本格的なシリーズ報道である。SNS等の普及による問題の可視化や、コロナ禍による活動の見直しの機運を捉え、現場にカメラを入れてPTA役員や保護者のリアルな悩みの声を継続的に伝えるほか、PTAの「外注」や「解散」といった新しい現象もいち早く取材している。
PTAは任意団体のため行政による実態把握は十分でなく、放送エリアである東海3県の県庁所在地の全部で500あまりのPTAの会長に宛てて独自のアンケートを実施した。「強制」の実態や運営上の課題などを聞き取りまとめたほか、多くのPTAが会費を使って学校の備品を多数購入し、いわば「第二のサイフ」となっている実態を明らかにした。
また、ニュースで撮りためた映像に追加取材も加え、CM作品(公共キャンペーン・スポット)を制作しSNSなどでも公開している。
キャンペーン「かわるPTA」として、2022年10月から23年9月までに、10本の長尺VTRでの特集を含む、20本以上のニュースを放送した。各回の放送には大きな反響が寄せられたほか、インターネット上でも積極的に発信し、全国のPTA関係者・当事者の注目を集めている。
PTAが多数の学校の備品などを購入している実態を、独自アンケートをもとにした調査報道で明らかにした。名古屋市では教育委員会が全校調査を実施するに至り、市も把握していなかった「5年間で約1億8000万円分」の寄付が判明した。この「第二のサイフ」問題は他のメディアも報じ、名古屋市内のPTAでつくる団体では、寄付のあり方についての勉強会が開かれた。問題提起は全国に広がりつつあり、主に保護者の側から、状況の改善に向けた動きが進みつつある。
関連URL :