2024年2月、株式会社ワクフリ(以下、ワクフリ)の社外取締役に就任した塙 達晴さん。塙さんは身近な人や組織を助けられる人になりたいとの思いで、今までキャリアを築いてきました。社外取締役に就任された背景や想いについて、ワクフリ代表取締役の髙島卓也氏とともに話をお聞きしました。
プロフィール
塙 達晴
株式会社MIMIGURI コンサルティング事業部 ユニットリード
株式会社ワクフリ 社外取締役
一般社団法人いと経営学舎 代表理事
福岡県宗像市出身。大学卒業後、トヨタグループにて自動車ディーラーの収益向上や財務体質の改善に向けたコンサルティング業務に従事。 その後、経営大学院を営む株式会社グロービスに入社。法人向け経営人材育成のコンサルティング業務に従事した後、マネジメントや講師業を経験。 現在は、株式会社MIMIGURIにて、コンサルティング事業部のユニットリードとして様々な業界の企業経営を支援している。
髙島 卓也
株式会社ワクフリ代表 取締役
株式会社カクナル 取締役
一般社団法人IT顧問化協会 副理事 福岡県IT×女性活躍会議委員
1983年長崎県波佐見町出身。使命は「社会の溝を埋め世の中を変革させる」。
九州の大手税理士法人や事業再生コンサル企業を経て、2014年に独立し、2017年に株式会社ワクフリ設立。業務変革やDXの専門家として、多くの企業の変革に携わっている。2021年にはDX人材を育成する教育事業を開始。
また企業の人事組織DXを手掛ける株式会社カクナルへ社外取締役として就任、福岡県IT×女性活躍会議委員にも就任など活躍の場を広げている。
多くのDX関連のイベントやセミナーに登壇している他、Biz Hint、NHK「おはよう日本」、ダイヤモンドオンラインなど、メディアにも多数出演。
ー社外取締役として、実際に行っている業務とはどんなことでしょうか?
塙:大きくは、髙島さんと壁打ちをしながらワクフリの経営方針の策定と経営管理の支援を行っています。会社の経営状況、事業成績の数値の確認や将来的に目指したいこと、組織のみんなのポテンシャルが発揮できるようにするにはどうしたらいいんだろうか、採用をどうすべきかなどの話もしています。また、事業推進会議のオーナーを持っていますが、経営のアジェンダをマネージャーのみんなと分かち合いながら、次にどう進めていこうかということを一緒に考える場も作っています。
ー塙さんは今までどんな仕事に携わってきたのですか?
もともとは金融・財務関連の領域に身を置いていたのですが、財務に反映される前の”人”の領域に関心を持ち始めて、法人企業向けの育成のコンサルティング業務を経験しました。一方で、経営課題と向き合う中で”育成”の問題だけではなく、KPIの設定や評価項目の設計がバッティングする構造など構造的な課題が紐づいているケースがほとんどであることに気付いていきました。要は、人だけ育成しても組織としては変えられない状況がある、ということですね。そこで、現在は、株式会社MIMIGURIで、経営・組織コンサルタントとして、またUnitのリードとしても仕事をしています。経営にまつわるテーマを横断的に扱いながら、一人ひとりが暮らしやすく、社会的な価値も創出できる組織づくりを模索しています。
ー社外取締役になってからワクフリで働いた感想はいかがでしょうか
実はもともと2年ほどワクフリに関わっていたこともあり、特段変わったことはありません。
違和感なくジョインできているのは、ワクフリがめざしている世界観と個人としてめざしていることが近しい距離にあることが関係しているかもしれません。今年4月にコーポレートサイトをリニューアルしたのですが、サイトを作る過程でワクフリのミッションを髙島さんと整理していきました。現在ワクフリは「社会との溝を埋める」というコーポレートミッションを掲げているのですが、こちらは個人的な想いともアラインするところがありました。どうしても組織をつくる以上、分業体制をひく必要性や、それに伴い役割や肩書きなどの記号化していく力学が働きます。その結果、あの人はxxx職だから…など、その人の人柄ではなく記号から推測されてしまうことで分断が生まれ、相互に共感ができなくなっていってしまう。それは寂しいなという感覚があったので、髙島さんとワクフリのミッションを整理していく中で、近いところをめざしているなという感覚がありました。
また、”社外”取締役ではあるものの、ワクフリのメンバーから近い距離で仲間として認めてもらっているように感じていて、それはシンプルに嬉しいなと感じています。普段は社内メンバーとはチャットワークで連絡を取り合い、週1回のマネージャーとの打ち合わせ、月次の経営会議で皆さんと顔を合わせています。
ー塙さんが働く上で大切にしていることを教えてください。
塙:株式会社は、経済性を追求するという側面があります。けれども、そこばかり追求してしまうと人間が暮らしにくくなってしまいます。経済性の観点からは評価しにくかった人間関係の豊かさなど、目に見えないものを大事にしたいですね。そのため、主担当している事業推進会議では髙島さん・マネージャーのみんなが、「これを言ったら、自分が駄目だと思われるかな」などと感じることなく、今抱えている思いや自身の見え方を素朴に出すことができる関係性を構築していけると嬉しいです。
ーここからは、代表取締役の髙島さんにも加わっていただきます。塙さんがワクフリの社外取締役になった経緯について教えてください。
髙島:中小企業のDXや業務の変革を行う際にワクフリが環境だけ整えても、最終的に人が育っていないとその後の運用などがうまく進まないことを痛感していました。人材育成の必要性を感じて、そのための事業を作ろうとしましたが、商品設計に関するノウハウがなかったのです。そこで、パートナーとして一緒に考えてくれる人を探していたときに、塙さんの存在を知りました。塙さんは既に、経営大学院を営むグロービスでの経験や企業内育成に関する経験もお持ちだったので、相談をしたことがはじまりでした。
ワクフリがどういうことを打ち出して、サービスに昇華させ、どのようなスキームで作るのか。そもそもワクフリがなぜ育成の事業にチャレンジするのか。塙さんにも加わってもらい、ワクフリのミッションから整理していきつつ、育成事業に関するコンセプトを整理していきました。一緒に仕事をしていく中で、塙さんはワクフリのことを本当に理解してくれていると感じました。その後、事業に関することだけではなく、経営全般について相談するようになったことや、社内のメンバーからもすごく信頼を集めていたこともあり、社外取締役として加わっていただこうという思いに至りました。
ーお二人が互いにリスペクトしているところを教えてください。
髙島:塙さんはぼくよりも年下ですがこちらが年齢のことを気にすることもなく、経営的なレベルというよりも1人の人間として接してくれることがとてもありがたいです。塙さんには何でも相談できますし、塙さんは何事も自分ごとと捉えて親身になって考えて一緒に仕事をしてくれることを尊敬しています。
塙:髙島さんは経営者として非常に柔軟性が高いなと感じています。目的を踏まえつつ、そこにたどり着くまでの道筋については臨機応変に変えながら進まれていっているのが印象的なところです。目先の収益をどう上げるかだけではなく、目的の実現のために適宜手段を問い直したり、ピボットをしていく柔軟性が素敵だなと感じています。最近だったらアジャイルという言葉がありますが、髙島さん自身がその言葉と親和性がある気がしています。
また、「お前がついてこい」というようなリーダーシップではなく、自分の弱さも認め相手に開きつつ、相手の弱さも受け入れて一緒に前に進めていこうとされるリーダーシップが素敵だなと感じています。時には、自身としてのリーダーシップ自体を省みる時間もあり、人間らしい姿こそが魅力だと思っています。
ーこの先、お二人がワクフリで実現したいことを教えてください
。
髙島:ぼくは地方創生という言葉が好きで、都市と地方の経済格差をなくして、日本全体の国力を高めることが理想です。現状は、実態はそんなに違いがなかったとしても、「地方だから…」という固定観念があったり、それが起因して溝が生まれています。
その際たる例が、現代はITやデジタルがキーワードになっていて、デジタル化が進んでいる企業や対応できている個人がすごいというように見られがちですが、その溝を埋めにいきたいのです。パソコンを苦手とするベテランの人たちをリスペクトしないような論調をときに目にしてしまうときがありますが、個人的にはあまりそういった論調が好きではありません。その方達が社内で支えてきてくれたことや過ごしてきた時間をリスペクトした上で、今の時代に合わせて一緒に業務のあり方を模索していくなど歩み寄れたらいいですね。
そのためには、働いている人たちのマインドを変化させるような、新しい人材とベテランの人材をつなぐプログラムが必要になるかもしれません。そういったことを視野に入れつつ、いろんなことにチャレンジしていきたいです。
塙:髙島さん同様ですが、業務・とりわけデジタルをキーワードに支援していくところは目下やっていることですし、そこは変わらずやっていきたいです。加えて、事業承継という話もよく出ますが、地方企業の次の時代を支える経営体制構築などの支援はしていきたいなと感じています。事業はその町や地域の暮らしを支える存在でもありますし、歴史的に残ってほしい企業もたくさんあります。一方で、事業承継先を見つける場所はどんどん増えてきていますが、承継は簡単ではなく形の見えない資産をいかに承継していくのか、といった課題も残っているんじゃないかなと考えています。ワクフリは、個々の会社でブラックボックスになっている業務を紐解き再設計するところに強みがあります。これにより例えば、特定の社員人物の頭の中にしか残っていないノウハウなどの知的資産の承継ができたり、CRMなどの業務インフラ構築に伴い顧客との関係性を承継していくことなどができる、といった貢献ができるのではないかというところに個人的に興味を惹かれています。
ーこれから一緒に働いてくれる人には、どんなことを求めますか?
髙島:自分のことを主張できることは大事にしつつ、相手の立場で物を考えられるかどうかはワクフリとして大事にしたいですね。仕事で何かうまくいかなかったときに内省したり、できるだけ物事を俯瞰したりしながら、相手の事情を汲めるような文化を作っていきたいなと思っています。さらに自分が取り組んでいる仕事は、組織の中の一部であるということが意識できるかはとても大事ではないでしょうか。仕事をしているメンバーやお客様へのリスペクトがあったうえで会社のミッションが達成でき、「社会の溝」が埋められると信じています。
塙:大前提として、ワクフリがあるという意味合いを共感してもらえているかどうかは大事かなと思います。ワクフリは中小企業でまだまだ安定しているとは言えません。そのため、常にミッションに向けて新しいことをやり続ける必要がありますし、自分たちが変化をしていくのは当たり前のことです。ミッションに向けて、新展開なことが毎日あるなかで前に進む楽しさを感じてもらえる方が環境的には合うのかなと思います。また、ワクフリのお客様の多くは、デジタル化が進んでいなかったり苦手意識を持っていらっしゃる企業様もいらっしゃいます。ワクフリとしてこれまで大事にしてきたのは、相手の事情や声にいかに耳を傾けて、親しみやすくあるかということです。そのため、デジタルという手段側ではなく、クライアント企業様の人や組織を主役に、リスペクトを忘れずに進められる人が仲間になってくれたら心強いです。
株式会社ワクフリ 会社概要
所在地: 福岡県福岡市博多区博多駅前2-1-1 福岡朝日ビル2階 fabbitGG博多駅前内
代表者: 代表取締役 髙島 卓也
設⽴: 2017年12月
URL:
https://wakufuri.com/
事業内容:業務改善支援・DX人材育成支援等