異なる時期/異なる作家/異なる状況による絵画が混在する空間を、画家・O JUNが創り上げる実験的な展覧会「絵のある部屋」を、6月12日から7月13日までvoid+で開催します。
《サービスルーム》と名づけられた部屋では、公開制作を実施。作家も制作時期も異なるすでに完成された数枚の絵が置かれた部屋で、O JUNが新たな絵の制作を進めることで、多様な背景を持つ絵画が空間を満たします。
また別の部屋で発表するのは、心を捉えて離さず、繰り返し描いてきた事象・事物をテーマとした自身の新作です。自ら制作するなかでの”反復”や”なぞり”が、新たな作品とどのように連続し、あるいはどのような変化をもたらすのかを探求し、紙やキャンバスの作品に落とし込みます。
そうして画家により生み出された異質な空間は、鑑賞者の感覚をどう導くのか——ぜひご覧ください。
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<展覧会概要>
■タイトル:O JUN 個展 「絵のある部屋」
■会場:void+ 東京都港区南青山3-16-14 1F
■会期:2024年6月12日(水)-7月13日(土)
■12:00-19:00
■主催:Azone+Associates / void+
■定休日:日・月
■お問合せ:info@voidplus.jp
■協力:ミヅマアートギャラリー
<オープニングレセプション>
■2024年6月15日(土)18:00-20:00
<Liveパフォーマンス>
■6月15日、22日、7月6日 、13日(17:00-30分程度)
<アーティストトーク>
■7月13日(土)18:00-19:30
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<ステートメント>
今回は、自分で、あるいは誰かによって描かれた絵、もしくは複製画がある状況を「絵のある部屋」として提示してみようと思います。
《サービスルーム》では、誰かがすでに描いた絵とともに、私の絵が描かれていき、制作途中のまま展示されます。そうすることで鑑賞者に、絵画のさまざまなシチュエーションやコンディションを、同時かつ同一の空間で体験してもらいたいと考えています。
もう一つの空間に展示する私の新作は、普段から描いているいくつかのモチーフで制作していて、そのモチーフに特に意味はありません。ただ、私が繰り返し描く行為=“反復”や” なぞり”が、作品の変化や連続性にどう関与しているかという問いが、制作のテーマになっています。
ところで《サービスルーム》という名前についてですが、私は“サービス”という言葉を、今日までごく狭い範囲で使っていて、じつのところ英語のserviceの意味と解釈はとても多義的で奥深いようなのです。
⻑い人の歴史のなかで、時の都合と事情を含ませることで広くなったのかもしれませんが、その意味するところは、貢献、助け、供給、礼拝、奉仕、点検、公共事業、兵役なんてい うのも……! 私はこの中のせいぜい二つか三つの意味で”サービス”を解釈していたようです。
”実態のないこと・ものに身を尽くすこと”という意味もあって、絵を描くということはそれに近い意味だという気もするのですが、だからといって、世のため人のために描いているわけではありません。
いっそ、上に列挙したぜんぶの混合混成という解釈は成り立たないだろうか? それこそ私の都合で言っているように聞こえそうですが、実感としては絵を描く行為はそれに近い ことのように思うのです。ただし、かかるサービスは人でも神でも物でもないことに向けられる……いまの私の“料簡”はここで袋小路、路頭に迷っています。
まあともかく、“サービス”は、美術や芸術をぼんやりでいいから照らす言葉であってほしい。なので《サービスルーム》での公開制作を通じて、私の描く動力である”サービス精神 “を遺憾無く発揮してみようと思っています。
お付き合いいただけましたら幸いです。
O JUN
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<プロフィール>
1956年東京生まれ。1982年に東京藝術大学美術学部絵画科油画専攻修士課程修了。制作を続ける傍らスペインやドイツに滞在し、80年代後半からはパフォーマンス、90 年代後半からは多様なメディウムを使った作品を発表。大胆な余白を用いた抽象とも具象とも取 れないドローイングなど、数々の名作を世に送り出してきた。