GPE学会は、グローバル化する社会に対応できる人材を教育するために、世界33カ国51大学が加盟している組織で、島根県立大学は2010年に加盟しました。国際関係学部国際コミュニケーションコースでは、世界各国の学生と多様な問題を英語で議論する「グローバル・ディスカッション」をカリキュラムに位置付けています。
開会式では島根県立大学の山下一也学長が「島根県立大学はグローバル化に対応できる人材を育成するためのプログラムを提供している。特に、国際関係学部では、外国語、文化や社会の教育を通じて、国際社会の平和的発展と多文化共生を推進できる人材を育成している。世界各国の大学間の交流を可能にするGPE学会の成功を祈念している」と歓迎の意を表しました。
また、浜田市の久保田章市市長が「長い歴史と国際貿易港のある浜田市は島根県西部の中核都市である。会議の期間中は浜田港で水揚げされた美味しいお魚をご賞味いただき、日本遺産に登録されている石見神楽を満喫して、浜田の文化を楽しんでいただきたい」と英語でスピーチいただきました。
「グローバル化」は様々な影響を与える事象です。会議では、桜美林大学の浅井亜希子教授が「国際移動と文化的アイデンティティの交渉:グローバル意識の拡大の条件」という演題で基調講演を行い、日本のJETプログラムに参加した外国語指導助手(ALT)の日本体験と帰国後の事例をもとに、グローバル意識の拡大と態度の形成のためには、教育における異文化体験と自己の再編、そしてその継続がいかに重要であるかについて述べました。
参加者の多くは日本に来るのが初めてで、石見神楽をはじめ、お茶会、よさこい、地元小学校での給食試食などの交流会が大好評で、日本文化プログラムを楽しんでいただいた様子でした。オランダから参加したHAN大学教育学部のアイリーン・ベルグレイブ教授は「ワークショップなどだけではなく、ユニークな日本文化体験ができて、今学期の最も良い経験だった」と日本文化に関心を示しました。
また、学会終了後には地元の文化を学ぶフィールドセミナーが開催され、5月23日から26日まで、国際コミュニケーションコースのエレナ・ケイン教授、江口真理子教授、メリッサ・ハントリー講師が島根の文化を紹介しました。参加者は、足立美術館、松江城、堀川遊覧船、出雲大社、石見銀山を視察し、地元のお刺身や、お寿司、出雲そばなどを堪能しました。フィールドセミナーのガイドを務めた国際コミュニケーションコースのハントリー講師(アメリカ出身)は「島根県の史跡を訪れることで、島根県の独自性を強調したかった。島根県には全国的、世界的な規模で古くから語り継がれてきた物語がある。島根県民が誇りを持って自分たちの生活をこの歴史と結びつけ、学会参加者にもこの歴史を体験してもらった」と話しました。
また、島根県立大学でのGPE学会開催を企画した国際コミュニケーションコースのケイン教授(イギリス出身)は「この学会を日本で初めて開催できたことは栄誉である。準備は大変だったが、交流大学の教員たちとより深い人間関係ができ、本学の学生にとっても良い経験になった」と話しました。
島根県立大学はGPE学会を通して、日頃から共同授業を行っています。加盟メンバーの教育者は年に一度、顔を合わせ、より良い教育方法や共同リサーチのテーマ等について意見交換を行っています。本学では毎年、様々な科目で世界各国の学生と共同作業をする機会を提供しています。