CS(顧客満足度)に関する調査・コンサルティングの国際的な専門機関であるJ.D. Power(本社:米国ミシガン州トロイ)は、現地時間5月9日に、
J.D. Power 2024 U.S. Direct Banking Satisfaction Study℠(J.D. パワー 2024年米国ネット銀行顧客満足度調査℠)
の結果を発表した。本調査は、年に1回、米国のネット銀行*¹ とネオバンク*² に対する満足度を測定している。
*¹ 連邦銀行の認可を受け、米連邦準備制度理事会(Federal Reserve Board)、米通貨監督庁(Office of the Comptroller of the Currency、OCC)、米連邦預金保険公社(Federal Deposit Insurance Corporation、FDIC)のいずれかを主な規制当局とするオンライン/無店舗銀行。
*² 連邦銀行の認可を受けず、連邦銀行免許を持たないオンライン専業銀行。フィンテック企業が、従来型の銀行との提携によりオンラインバンキングを提供。ネット銀行とは別にサンプルを取得しているが、連邦銀行の認可を受けた銀行のみをランキング対象としているため、ランキング公表対象外としている。
高金利、低手数料、24時間利用可能という期待に後押しされ、この1年でネット銀行に新規顧客が殺到した。ネット銀行は顧客の期待の多くに応えているものの、顧客対応やタイムリーな問題解決で苦戦し、総合満足度スコアは低下した。
2024年調査の主なポイントは以下の通り:
満足度は前年比で低下するも、従来型の銀行よりはまだ高い
ネット銀行の当座預金部門の総合満足度は688ポイント(1,000ポイント満点)で、前年調査(2023年5月発表)から27ポイント低下した。ネット銀行の普通預金部門の総合満足度は710ポイントで、前年比8ポイント低下した。
問題解決プロセスが総合満足度を引き下げる
前年に比べ件数は少ないものの、顧客が経験したトラブルはより複雑で解決に時間がかかっており、問題解決プロセスに対する満足度は67ポイント低下した。問題解決に要した平均日数は、前年調査の1.9日から2.6日に増加した。
デビットカードや詐欺に関する問題が増加
問題解決において満足度が大きく低下したトラブル内容は、デビットカード、詐欺、不正な口座操作、預金口座の金利に関する問題に集中した。電話での担当者とのやり取りが便利だったと回答した顧客の割合は前年調査から3ポイント低下した。
モバイルアプリとウェブサイトの刷新が必要
モバイルアプリやウェブサイトの機能の利用率も低下している。ネット銀行でトラブルを経験していない顧客でも、画面の見やすさや利用可能なサービスの範囲、デジタルチャネルを通じて提供される情報のわかりやすさに対する満足度が大幅に低下した。
J.D. パワー バンキング&ペイメント・インテリジェンス部門 シニアディレクター ポール・マクアダムのコメント
「ネット銀行は従来型の銀行に比べ満足度水準は高いものの、本年調査のネット銀行の総合満足度は低下し、特に当座預金部門の満足度が低下した。当座預金と普通預金の預金金利が大幅に上昇し、手数料を支払わなければならなかったり、トラブルを経験したりした顧客の割合が減少したにもかかわらず、全体的な満足度は依然として低下している。この主な要因は、タイムリーな問題解決が困難になり、問題解決のしやすさに対する満足度が急激に低下したためである。」
顧客満足度ランキング
【ネット銀行 – 当座預金(Checking Providers)部門】
第1位:Charles Schwab Bank(チャールズ・シュワブ・バンク)(732ポイント、6年連続の総合満足度第1位)
第2位:Capital One(キャピタル・ワン)(717ポイント)
第3位:Ally Bank(アリーバンク)(702ポイント)
【ネット銀行 – 普通預金(Savings Providers)部門】
第1位:Marcus by Goldman Sachs(マーカス)(756ポイント)
第2位:Ally Bank(アリーバンク)(743ポイント)
第3位:Capital One(キャピタル・ワン)(730ポイント)
※ネオバンクは、弊社規定条件を満たさないためランキング公表対象外。
《J.D. パワー 2024年米国ネット銀行顧客満足度調査℠概要》
年に1回、米国のネット銀行とネオバンクに対する満足度を聴取し明らかにする調査。今回で8回目の実施となる。
■実施期間:2023年12月~2024年3月
■調査方法:インターネット調査
■調査対象:ネット銀行、ネオバンクの顧客
■調査回答者数:8,648人(ネット銀行)
総合的な顧客満足度に影響を与えるファクターを設定し、各ファクターの詳細評価項目に関するユーザーの評価を基に1,000ポイント満点で総合満足度スコアを算出。総合満足度を構成するファクターは、総合満足度に対する影響度が大きい順に以下の通り(カッコ内は影響度)。
【ネット銀行 – 当座預金部門】:「信頼性」(19%)、「カスタマー・サービス」(15%)、「資産の動かしやすさ」(15%)、「資産管理の利便性(モバイルアプリ)」(15%)、「銀行手数料」(15%)、「資産管理の利便性(ウェブサイト)」(13%)、「資産形成への貢献度」(8%)
【ネット銀行 – 普通預金部門】:「信頼性」(21%)、「資産の動かしやすさ」(16%)、「資産形成への貢献度」(14%)、「資産管理の利便性(ウェブサイト)」(13%)、「銀行手数料」(13%)、「資産管理の利便性(モバイルアプリ)」(12%)、「カスタマー・サービス」(11%)
*本報道資料は、現地時間2024年5月9日に米国で発表されたリリースを要約したものです。
原文リリースはこちら
https://www.jdpower.com/business/press-releases/2024-us-direct-banking-satisfaction-study
*J.D. パワーが調査結果を公表する全ての調査は、J.D. パワーが第三者機関として自主企画し実施したものです。
【ご注意】本紙は報道用資料です。弊社の許可なく本資料に掲載されている情報や結果を広告や販促活動に転用することを禁じます。
J.D. パワーについて:
米国に本社を置くJ.D. パワーは消費者インサイト、アドバイザリーサービス、データと分析における国際的なマーケティングリサーチカンパニーです。ビッグデータや人工知能(AI)、アルゴリズムモデリング機能を活用して消費者行動を捉える先駆者であり、消費者に関する鋭い業界インテリジェンスを提供してきました。J.D. パワーは半世紀以上に渡って、顧客とブランド・製品に関わり続け、主要産業における世界の大手企業から、顧客対応戦略の指針として信頼されています。
J.D. パワーは、北米、ヨーロッパ、アジア太平洋にオフィスを構えています。事業内容の詳細については、
https://japan.jdpower.com/ja
をご覧ください。