京都府福知山市は、子育て世代の防災意識を高めるため、部署横断で「コドモト防災プロジェクト」を立ち上げ、保健師や防災士の資格を持つ若手職員3名が中心となって親子で楽しめる紙芝居『きみならどうする?』をつくりました。大雨のなか市内の親子が「車中泊避難」と「垂直避難」を行う2種類のストーリーがあり、市HPとYouTubeで公開しています。
また若手職員による読み聞かせ会を5月27日に市内で開催し、参加者からは「子ども連れ避難の参考になった」「(車中泊避難ができる)実際のお店が出てきて、想像しやすかった」と好評を得ました。今後は、紙芝居の市内公立保育園・こども園・幼稚園への配布、図書館での貸出を予定しています。全国各地で自然災害が相次ぐなか、過去から頻繁に洪水や土砂災害による被災経験がある福知山市は、“誰一人取り残さない防災”の実現を目指し、これからもさまざまな防災対策に力を入れていきます。
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『きみならどうする?』あらすじ
◆『きみならどうする?大雨・車中泊避難編』
〈あらすじ〉
ある大雨の日、隣の家のおばちゃんから避難の呼びかけが。ふぅちゃんの家族は車でスーパーの駐車場に避難することになり…
〈POINT〉
福知山市は近隣の高台などへの避難の選択肢として、イオン、ジュンテンドー、プラントの民間事業所と駐車場を避難場所として利用することを定めた協定を締結しています。3社の協力のもと、
福知山市ならではの情報
を盛り込みました。
〈読み聞かせ動画〉
◆『きみならどうする?大雨・垂直避難編』
〈あらすじ〉
大雨警報が発表され、まーくんの家族は2階に避難することに決めました。2階に避難すると、突然停電が起こり…
〈POINT〉
子ども自身が好きなものや、いつも持っているものを避難グッズとして持っていく等、
子ども目線の避難方法
をストーリーにしています。
〈読み聞かせ動画〉
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紙芝居『きみならどうする?』制作の背景・概要
◆福知山市の防災対策と「コドモト防災」
自然災害という予測が困難な事象に対して、市民の方々が主体的に命を守る行動を取れるように、福知山市は「地域版防災マップ(マイタイムライン)」「要支援者の個別避難計画」などさまざまな対策を地域連携で進めています。「コドモト防災プロジェクト」は、子育て世代の防災意識向上を目的に、2023年に始動しました。市役所の地域包括ケア推進課、危機管理室、障害者福祉課、くりのみ園、子ども政策室による、縦割りを打破して横のつながりを最大限に活かしたチームです。
◆テーマを「車中泊避難・垂直避難」にした理由
避難の基本は、避難所へ安全に避難を行うことです。ただ今作で「車中泊避難」と「垂直避難」にスポットを当てた理由は、子育て世代から、コロナ禍の感染症対策などさまざまな事情で子どもを連れて避難所に行くことを躊躇する声を聞いたことがきっかけでした。選択肢の一つとし て、色々な避難方法を知っていただきたいという思いで制作しました。
福知山市と車中泊避難の協定を締結しているイオン、ジュンテンドー、プラントの協力のもと、地元ならではの情報を盛り込みました。
◆子ども担当職員による、子ども目線の紙芝居
災害の危険が迫るなど大人でも冷静になることが難しい状況では、子どもは特に敏感になり、避難行動がスムーズに行えないことがあります。そこで日常的に使用できて視覚的に楽しく学べる紙芝居の作成を決定。保健師と防災士の資格を持つ市役所子ども政策室の入庁2~4年目の20代職員3名が、半年ほどかけて文とイラストを手掛けました。温かみのあるイラストと親しみやすいストーリーで、「子ども目線の避難」を紙芝居で伝えています。
◆概要
タイトル:
『きみならどうする?大雨・車中泊避難編』
『きみならどうする?大雨・垂直避難編』
文・絵:ひぃふぅみぃ (福知山市役所 こども政策室 職員)
発行:京都府福知山市
仕様:A3判/15P(車中泊避難編)・13P(垂直避難編)
展開:2024年5月~ 市HPにて公開、YouTubeにて読み聞かせ動画の公開※
※聴覚障害や耳の聞こえにくい方にも楽しんでいただけるよう、動画には字幕版もあります。
2024年7月初旬~市内公立保育園・こども園・幼稚園に配布、福知山市立図書館で貸出(予定)
HP:
https://www.city.fukuchiyama.lg.jp/site/kosodate/65062.html
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お披露目会・読み聞かせ会の様子
日時:2024年5月27日(月) 10:30~11:00
会場:りとるハピネス (三段池公園 総合体育館内)
0歳~2歳の子どもとその保護者15組33人の前で、防災紙芝居の作者である若手職員3人組“ひぃふぅみぃ”が読み聞かせを行いました。
はじめに「大雨・車中泊避難編」から披露。雨が降り出した場面では、子どもに雨を想起してもらいやすいように、ザーザー、ビュービュー、カタカタ、パチパチと擬音を使った表現を取り入れました。続いて「大雨・垂直避難編」では、家の下部が水に浸かっているイラストを見て、「なんで家が濡れているの?」とたずねる子どももいました。子どもたちも防災紙芝居に興味を持っていることが伝わる読み聞かせ会でした。
このほか、多数の災害対応経験を持つ職員が天気予報など身近な話題から防災トークを展開し、避難の選択肢を再度参加者へ伝えたほか、非常食のお土産を渡しました。
最後に、参加者全員で記念撮影が行われました。子どもを思う親の気持ちや、大切な人を守る強い気持ちが溢れ、子どもたちのたくさんの笑顔に包まれた、暖かい雰囲気のお披露目会となりました。
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参加者の声
「もしもの時に備えて、今から準備をしておきたいと思いました」
「水害に興味がある小学生の子どもに見せてあげたい!」
「子どもを連れて避難することの参考になりました」
「福知山にある実際のお店が出てきたので、想像しやすかった」