1. 経緯
近年、複雑化・広域化が進む都市課題解決には、現実空間を3次元の仮想空間上に再現する技術である「デジタルツイン技術」の活用が有効であると考えられています。MRIと産総研グループ(国立研究開発法人産業技術総合研究所(以下 産総研)および株式会社AIST Solutions)は、デジタルツイン技術の活用を試行しやすい環境を構築し、自治体等に提供することを目指して、2023年12月に共同研究を開始しました。
→ 三菱総合研究所と産総研グループ、デジタルツインに係る共同研究を開始(ニュースリリース 2023.12.18)
https://www.mri.co.jp/news/press/20231218.html
この研究では、デジタルツイン実現に有効なデータの一つである「点群データ」に着目し、産総研および興味関心の高い自治体とともに「点群データ活用研究会」(以下 研究会、MRI設置)で検討を行ってきました。このたび、産総研および静岡県・兵庫県・長崎県・静岡市・岡山県の計5自治体(2024年5月時点)との議論の結果を取りまとめました。
【点群データとは】
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点群データ(Point cloud data)とは、点の集まりにより構成されるデータで、点が位置座標を持つことから、空間形状が把握可能となる。データ取得方法には、航空測量や、車両に計測機器を搭載し計測するMMS(Mobile Mapping System)がある。
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近年はハンディタイプの点群データ取得機器が登場、また、iPhone/iPadのLiDAR(Light Detection and Ranging)スキャナーでもデータが取得できる。
2. 「点群データ活用研究会」の活動成果
(1)点群データの利用状況の整理
研究会の参加自治体を対象に、点群データの取得・活用状況を調査したところ、インフラ台帳の可視化、森林資源解析、未発見の文化財の探索、災害被害状況の可視化等、自治体業務の効率化・高度化においてさまざまな活用事例があることがわかりました。また、点群データの有効活用に向けて、各種用途に活用するために必要なデータ取得方法や精度を例として整理しました。
点群取得の初期目的を一次利用と定義した場合、上記のような他の用途への活用も想定しデータを取得することで、他の自治体業務に利用可能(二次利用)となるなど、点群データの有効活用が期待されます。
三菱総合研究所作成
(2)点群データ二次利用促進の課題
点群データの利活用にあたっては、データの不統一な仕様、多様かつ大容量となる点群データの保管の難しさ、データの更新方法の考え方が未確立など、各自治体に共通する課題があることが示唆されました。
これらの課題を解決するため、データ取得や活用の基準、管理と活用の仕組み、それを実現するシステムやアプリケーションを構築し、さまざまな自治体が共通で利用できる機能を開発することで(例:点群データ活用のテストベッド)、点群データの円滑な利活用や利用自治体の拡大が考えられます。
3. 今後の活動予定
点群データが自治体業務に積極的に用いられることを目指し、2024年度は自治体業務に活用した場合の効果検証を、参加自治体の協力のもとで実施する予定です。また、点群データの活用に関する情報共有や、データ取得や活用の基準、管理と活用の仕組み、それを実現するシステムやアプリケーションに関する議論も継続します。
なお、本研究会は2025年3月まで活動します。本研究会の取り組みを、より多くの自治体の課題解決につなげていくため、今後、参加自治体の数をさらに増やしていきたいと考えています。
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本件に関するお問い合わせ先
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