Beauty in Broken Object について
「TISTOU WAREHOUSE STORE」のオープンにあわせ、TISTOUは新プロジェクト「Beauty in Broken Object」を始動します。『一 hashime』を主宰する箒・籐巻職人、小林研哉さんと共に、“壊れたものの中にある美しさ”を見いだし、その価値を日本に、そして世界に伝えていく取り組みです。
彼らのものづくりを知るからこそ、廃棄できない
「Beauty in Broken Object」は、TISTOUが長年抱える課題への取り組みとしてスタートしました。その課題とは、日本の市場に流通できないプロダクトが倉庫に数多く眠っているという現実です。TISTOUは1999年の創業以来、ベルギーを中心としたヨーロッパの美しく楽しいデザインを日本の市場に紹介してきました。その多くがヨーロッパの工房で生み出され、コンテナで海をわたって日本へと届きます。ところが「DOMANI」や「Henry Dean」は陶器やガラスといった繊細な素材。どんなに丁寧にしっかりと梱包されていても、輸送の途中で釉薬がはげたり、欠けたり、割れてしまうことがあります。
また「DOMANI」と「Henry Dean」は、工芸品とプロダクトのちょうど間にあるような存在です。職人たちがひとつひとつ手作業で作るため、フォルムや色、土のテクスチュア、ガラスの気泡など、それぞれの表情に個性が生まれます。TISTOUでは、それこそが魅力であり美しさであると捉え、日本に紹介してきました。しかしながら、高い品質が求められる日本の市場においては、ブランドの基準で問題がないと判断したものでも、小さな汚れや傷、色ムラ、歪みがあれば“B品”と見なされることが多いのが現状です。そうしたものを私たちは日本の市場に出せないと判断せざるをえません。その数は一年間に300点以上にのぼることも……。
私たちは長年、この状況に鬱積した感情を抱えてきました。これらをつくるブランドやデザイナー、職人が、どんなにひたむきな思いでものづくりに向き合っているかをよく知っているからです。さまざまな理由があって倉庫に眠ったままのプロダクトを見るたびに彼らの顔が思い浮かび、廃棄することはとうていできませんでした。
日本の職人技で、新たな価値を生み出す
長年その答えが見つけだせなかった私たちにとって一筋の光となったのが、籐継ぎや籐巻き、鎹(かすがい)継ぎの技法を用いて器の修復を手掛ける小林研哉さんとの出会いでした。東欧の伝統技術に裏付けられた「DOMANI」のプランターや「Henry Dean」のフラワーベース、そして日本で長く親しまれてきた籐工芸を修復の技法として昇華させる小林さんの手仕事。それらが共鳴したとき、新たな価値を生み出すのではないだろうか。プロダクトは息を吹き返し、いきいきと輝きを放つのではないだろうか。
そんな希望に背中を押され、私たちは「Beauty in Broken Object」を立ち上げることにしました。「TISTOU WAREHOUSE STORE」では修復済みの作品を展示販売するほか、店頭にある作品以外のご依頼も別途承ることが可能です。また、使用に問題のない小さな汚れ、傷、色ムラ、歪みなどがあるDOMANI、Henry Dean製品の展示販売も行います。さらに、今後は金継ぎ職人さんとのコラボレーションも予定しています。美しいプロダクトとは何なのか、魅力あるものづくりとは何なのか。皆さまと一緒に考え、価値観を見つめるきっかけになればうれしいです。
サービス概要
TISTOU WAREHOUSE STOREで販売されている使用に問題のない小さな汚れ、傷、色ムラ、歪みなどがある DOMANI、Henry Dean製品をお選びいただき、籐継ぎ、籐巻き、鎹(かすがい) 継ぎでの修理を承ります。
修理が完成するまでには約2ヶ月のお時間をいただいております。
金額は修理する箇所のサイズなどによって異なりますのでお問合せください。
参考価格:籐継5cmまで7000円〜
TISTOU WAREHOUSE STORE
営業日:毎週水〜金曜12:00-17:00 月1回のみ土曜10:00-1700
(日程はInstagramにて事前にお知らせいたします)
住所:〒420-0810 静岡市葵区上土2-19-28
TEL:054-208-2239
駐車場あり
Instagram:@tistou_warehouse_store