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「日本版DBS」制度について
「日本版DBS」とは、イギリスのDBS(Disclosure and Barring Service)を参考にした制度。こどもたちを性被害から守るため、保育所や児童養護施設、障害児入所施設、学校などでこどもと接する仕事に就く人に対して、性犯罪歴がないかを事業者がこども家庭庁を通じて法務省に照会できるようにするものです。この制度を盛り込んだ「こども性暴力防止法」(※以下、「日本版DBS」法)が、今国会で成立しました。この法によって、性犯罪を起こしたらこどもに接する職業に就きづらくなり、性犯罪の抑止力につながります。
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「日本版DBS」創設までのフローレンスの取り組み
わたしたちは、こどもたちの生活の場に性犯罪者たちを立ち入らせない方法について、以前から調査・提言をし、この「日本版DBS」制度を導入することによって、こどもたちだけではなく、保育・教育現場で働く善意の大人たちをも守ることができる、と主張してきました。
2020年6月 |
ベビーシッターの連続わいせつ事件を受け、ソーシャルアクションを開始。「#保育教育現場の性犯罪をゼロに」の訴えは大きな反響を呼ぶ。 |
2020年7月 |
記者会見を実施し、森法務大臣(当時)と橋本内閣府特命担当大臣(当時)に要望書と署名を提出。 |
2022年6月 |
「骨太の方針2022」に「日本版DBS」導入が明記され、こども家庭庁の重要施策に位置付けられる。 |
2023年8月 |
「『#日本版DBS』は、子どもと関わるすべての仕事を対象に」緊急署名活動を開始。20日あまりで8万筆超の署名が集まり、小倉こども政策担当大臣へ提出。 |
そして、2024年ついにこれまでの活動や取り組みが実を結び、この度「日本版DBS」法が成立に至りました。こどもを性被害から守れる社会に向けて、大きな一歩を踏み出しました。
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「日本版DBS」法 成立歓迎の記者会見を実施
「日本版DBS」法の成立を受けて、厚生労働省で記者会見を実施。
フローレンス代表理事の赤坂、日本大学 文理学部教育学科教授 末冨芳氏、学習塾「花まる学習会」代表 高濱正伸氏、東京大学 多様性包摂共創センター准教授 中野円佳氏が登壇。
<フローレンス代表理事赤坂 コメント>
「日本版DBS」創設は、こどもたちを守ることはもちろん、こどもと関わる現場で働く大人たちを守る意味でも必要です。本日「日本版DBS」法が成立し、まずはここが第一歩と考えています。改善すべき点はまだまだあると考えているので、引き続き議論は必要です。真にこどもたちを守ることができる制度をつくっていくために大人たちの責任が問われていると考えています。私自身も2人のこどもの母です。保護者の方や世の中の多くの方にまずは現状を知っていただくことが大事だと思っています。よりよい制度にしていくことができるようフローレンスとしても、引き続き提言を行ってまいります。
<学習塾「花まる学習会」代表 高濱正伸氏 コメント>
私自身、学習塾の経営を30年弱しています。そのなかで性被害を防ぐために、事業者としてもどうしたらよいか悩んでいました。前科になりづらいゆえに、性暴力がきっかけでクビになった後も他の事業者で活動しているという横滑りの課題もあります。そういったことに問題意識を持っていました。今回の法成立は大きな一歩。事業者としても問題意識を持っていたのでフローレンスさんたちが動き出してくださって感謝しています。
まだまだ課題はあるとは思いますが、ここから知を結集して制度をつくっていけると良いと思っています。
<東京大学多様性包摂共創センター准教授 中野円佳氏 コメント>
2020年のベビーシッターの連続わいせつ事件を受けジャーナリストとして報道していました。そのなかで「日本版DBS」の必要性も訴えてきました。
今回の制度で、最低限前科がある人がこどもに関わる仕事を選ぶことを避けるようになると思います。小児性犯罪は再犯性も高い犯罪と言われているため、そこはひとつ評価できるところと考えています。
ただ前科をつけることには高いハードルがあると思います。被害者のなかで逮捕立件までいける方がそもそも少ない。今回は一歩前進ではあるが最低限ではあると思っています。
初犯をいかに防ぐかという部分で、研修や相談体制など支援する仕組みも必要だと思います。また、ある程度の年齢のお子さんには、何かおかしいなと思うことがあった際に、周りの人に相談できるような環境も必要だと思っています。
<日本大学 文理学部教育学科教授 末冨芳氏 コメント>
今回の成立は大変意義深いと思っています。成立に至るまでの道のりが大変難しかった。今回の成立の一番の意義は、わたしたちがやっとこどもたちを性暴力から守ることができるスタートラインに立てた、それに尽きると思っています。ここから更にこどもたちを守りきれる日本にしていくことが非常に重要だと思っています。
法が成立しないとDBSの運用は動いていかない。実装していかなくてはならないのは、どういう責任体制を組んで、どういう研修やノウハウを共有し、そこを国としてバックアップしていくのかという部分だと思っています。
教員養成課程や保育士養成課程では、こどもへの性暴力への禁止・防止・起きてしまったときの対策やケアについて学ぶ機会がなく、これはただちに改善が必要と考えています。加害者を少なくしていくことも大切です。加害者側の治療やカウンセリングも重要だと思っています。あらゆる場面でこどもたちが守られるより大きな仕組みが必要と考えています。
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意義ある制度とするために乗り越えるべき課題
この「日本版DBS」法をさらに意義ある制度とするため、乗り越えるべき課題は3つあると考えています。
・照会の対象となる性犯罪歴の範囲:起訴猶予や懲戒処分等の性犯罪歴も対象とする必要があります。
・性犯罪歴を照会できる期間::現在の最長20年を見直し、より長い期間の照会を可能にする必要があります。
・認定制度の課題:中小事業者が認定を取りやすい仕組みを整備する必要があります。
日本にもようやくこの「日本版DBS」制度が導入されますが、こどもを性犯罪から守るための社会づくりは始まったばかりです。
フローレンスは今後も、制度の実効性を高めるために国の動きを注視し、政策提言を続けていきます。
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認定NPO法人フローレンスについて
こどもたちのために、日本を変える。フローレンスは日本のこども・子育て領域に関わる課題解決と価値創造に取り組む、国内最大規模の認定NPO法人です。
日本初の共済型・訪問型病児保育事業で2004年に設立し、こどもの虐待、こどもの貧困、障害児家庭の支援不足、親子の孤立の課題を解決するため、多様な保育事業を運営するほか、全国で「こども宅食」「おやこよりそいチャット」「にんしん相談」「赤ちゃん縁組」などの福祉事業と支援活動、政策提言をおこなっています。
▶フローレンスコーポレートサイトURL:
https://florence.or.jp/