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衛星データを活用した防災ソリューションの実証実験ならびにリモートセンシング技術を活用した建設・土木技術…

衛星データを活用した防災ソリューションの実証実験ならびにリモートセンシング技術を活用した建設・土木技術...
土木
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衛星データを活用した防災ソリューションの実証実験ならびにリモートセンシング技術を活用した建設・土木技術...

Synspectiveは、「新たなデータとテクノロジーにより人の可能性を拡げ、着実に進歩する『学習する世界』を実現する」をミッションに掲げ、小型SAR衛星コンステレーションから取得した衛星データとその他外部の多様なデータから、機械学習などを活用して必要な情報を抽出、目的に合わせて整理し、顧客の課題に対するソリューションを提供しています。2024年3月13日には、同社4機目の小型SAR衛星「StriX-3(ストリクス・スリー)」を打ち上げ、軌道投入と通信、アンテナ展開に成功しました。2024年以降には6機、2020年代後半には30機の小型SAR衛星コンステレーションを構築することにより、広範囲、高頻度の地上観測を可能にするシステムの構築・運用を目指しています。

建設・不動産分野においては、地盤沈下の危険性把握、洪水被害予測、災害発生時の迅速な状況把握などにより、安全・安心な街づくり、保守管理に向けて、衛星データの活用が期待されています。


衛星データを活用した防災ソリューションの実証実験ならびにリモートセンシング技術を活用した建設・土木技術...


■フジタ土木技術開発プロジェクト(能登半島地震牛尾川緊急復旧におけるSAR衛星の試験適用)

フジタは、災害復旧工事や社会インフラ整備といったハード対策を担う総合建設会社として、防災に貢献してきました。一方で、近年の気候変動に伴う豪雨災害の激甚化や巨大地震の被害想定見直しなどにより、防災、国土強靭化においてはハード対策に加えてソフト対策の充実が求められるようになり、フジタとしても防災関連工事の助けとなるソフト対策技術の開発に向けた取り組みの一つとしてSAR衛星による災害被害把握技術の実証を進めてまいりました。

そしてこの度、大和ハウスグループの「“将来の夢”ファンド」によるSynspectiveへの出資に伴い、土木・防災分野におけるSAR衛星の活用可能性について改めて協議を進めてまいりました。その結果、能登半島地震における河道閉塞復旧工事において、広範囲にわたる現場状況をモニタリングするため、SAR衛星データを用いた実証試験を行うこととなりました。


1.工事の概要

(1)工事名称:令和6年度能登半島地震町野川(牛尾川)緊急復旧工事

(2)工事場所:石川県輪島市町野町

(3)工事期間:令和6年2月6日から令和7年3月31日まで

(4)工事概要:地震による町野川(牛尾川)の河道閉塞の緊急応急工事


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2.SAR衛星データを用いた実証実験の概要

(1)試験目的:

地震で崩壊した斜面の変動を衛星SAR解析でどの程度評価できるかを検証

道路が寸断し計測監視が困難な大規模崩壊斜面の施工中の安全監視

StirX搭載SARセンサの適用性検証

現場の安全管理に必要な変位計測を補完するデータをSARで得られるか検証

(2)使用衛星:StriX1及びStriX3(Synspective衛星、高解像度Xバンドレーダ)

(3)評価方法:強度差分解析等によるSAR解析結果とUAVレーザー測量データ等の比較検証

(4)共同研究者:広島大学大学院先進理工系科学研究科作野教授/広島大学防災・減災研究センター(広島大学・フジタ共同研究:衛星SARの防災活用)


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■広島大学との防災・減災への取り組み(豪雨や地震災害におけるSAR衛星の活用)

広島大学では、2018年7月に発生した西日本豪雨災害をきっかけとして、学内に「防災・減災研究センター」が設置されました。同センターでは、広島大学が得意とする衛星リモートセンシング技術を生かし、防災、減災に貢献する衛星解析や防災教育などに取り組んでいます。特に西日本豪雨災害のような広範囲にわたる洪水や土砂崩れなどの大規模災害時には、悪天候時でも雲の影響を受けず、広域の地盤状態を面的に把握できるSAR衛星解析は非常に有効です。そこで広島大学では、2022年からフジタとともにSARによる自然災害の被害状況把握の実証として、西日本豪雨の被災地※2や2023年のトルコ・シリア地震の被害調査(※3)などを例にSAR画像解析を行ってきました。

このような共同研究の経験と信頼関係を基礎として、今回、「能登半島地震牛尾川緊急復旧におけるSAR衛星の試験適用」にも「Synspective」が運用する小型SAR 衛星の撮像データを用いて、広域地盤変位評価の実証実験を共同実施します。これに先立ち、欧州のSentinel-1衛星のSARデータ(10m解像度,11日周期)を用いた「2024年能登半島地震前後のSAR画像(a)(b)と合成画像(c)の予備解析」を実施した結果、地面の凹凸変化を観測しています。しかしながら、この画像では解像度、観測頻度ともに復興計画に役立つレベルに達しておらず、今後高解像度(数m解像度)、高頻度(1日周期)のStriX衛星SARデータを使った解析が期待されます。


衛星データを活用した防災ソリューションの実証実験ならびにリモートセンシング技術を活用した建設・土木技術...

参考文献

※2

丹羽廣海



作野裕司

:地形補正に用いるDEMに着目した衛星SARデータを使った土砂災害検出精度向上の試み,土木学会全国大会年次学術講演会,2023年9月.

※3

作野裕司



丹羽廣海

:Sentinel-1 SAR を使ったトルコ・マラッシュ震災における沿岸域被害分布の初期把握.

土木学会論文集,79(17), 23-17176,2023.

(二重下線は広島大学、一重下線はフジタの所属)

今後大和ハウスグループは、Synspectiveが掲げるミッションの実現に向けて、建設・不動産分野におけるパートナーとして、当社グループの幅広い事業領域でのSAR衛星の活用可能性を研究・実証することで同社の企業価値向上に貢献していきます。また、リモートセンシング技術を活用した建設・土木分野における技術力向上により、安全・安心な街づくりを目指します。


■“将来の夢”ファンド(正式名:大和ハウスグループ投資事業有限責任組合)の概要

「“将来の夢”ファンド」は、大和ハウスグループの創業100周年となる2055年にありたい姿としてパーパスに掲げる「生きる歓びを、未来の景色に。」の実現に向け、社会にインパクトのある明日の社会に不可欠の(アスフカケツノ)事業に投資しています。

所在地:東京都千代田区飯田橋3丁目13-1

ファンド総額:300億円(キャピタルコール方式)

運用期間:2024年1月1日~2055年12月31日

運用会社:大和ハウスベンチャーズ株式会社

ホームページ:

https://www.dhgfuturefund.co.jp/


■会社概要


1.大和ハウスベンチャーズ株式会社

会社名:大和ハウスベンチャーズ株式会社

本社所在地:東京都千代田区飯田橋3丁目13-1

代表者の役職・氏名:代表取締役 鈴木 哲雄

設立:2023年11月

主な事業内容:CVCファンドの運営、スタートアップ支援及び協業促進、

上記活動と連携する事業開発の推進

ホームページ:

https://www.daiwahouseventures.co.jp/


2.株式会社フジタ

会社名:株式会社フジタ

本社所在地:東京都渋谷区千駄ヶ谷4-25-2

代表者の役職・氏名:代表取締役社長 奥村 洋治

設立:2002年10月(創業1910年12月)

主な事業内容:建設・土木工事の請負、企画、設計、監理およびコンサルティング業務

ホームページ:

https://www.fujita.co.jp/


3.株式会社Synspective

会社名:株式会社Synspective

本社所在地:東京都江東区三好3-10-3

代表者の役職・氏名:代表取締役CEO 新井 元行

設立:2018年2月

主な事業内容:小型SAR衛星の開発・運用、衛星による観測データを活用したソリューションサービスの提供

ホームページ:

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