~「白水阿弥陀堂」のハスを守れ!~こどもエコクラブ 子どもたちの想いが地域の活動に発展

記事の購読時間: 2

子どもたちの自主的な環境保全活動や環境学習を支援することにより、子どもたちが人と環境の関わりについて幅広い理解を深め、自然を大切に思う心や環境問題解決に自ら考え行動する力を育成し、地域の環境保全活動の環を広げることを目的としている「こどもエコクラブ(

https://www.j-ecoclub.jp/

)」。全国各地で2,000を超すクラブが元気に活動しています。

今回、クラブから始まった活動を地域の様々な方が支援することで、子どもたちの社会参画と地域全体でのSDGsの取組につながっている「いわき市高坂小学校SDGs隊(福島県いわき市)」の活動を、クラブのサポーター・田島先生の声でご紹介します。





  • 町の宝「白水阿弥陀堂」のピンチ!みんなで池のハスを守れ!




私たちの町には県内唯一の国宝建造物の「白水阿弥陀堂」があって、春には桜、初夏にはハスなど四季折々の花がきれいに咲く浄土庭園はみんなの大好きな場所です。私たちのいわき市立高坂小学校でも遠足や社会科見学で訪れていますが、2年前、池に外来種のアカミミガメがたくさんいることに気づきました。また、その影響でハスがどんどん減っていることも知りました。

その状況を心配したクラブメンバーが庭園を管理する市の文化財課へ手紙を送ったこと、また、以前に白水阿弥陀堂住職にいただいた種子から育ったハスが学校の池いっぱい広がっていたので、そのハスを里帰りさせて浄土庭園をまたハスの花でいっぱいにしたい!という思いをきっかけに、6年生メンバーたちによる「ハス再生プロジェクト」がスタートしました。




子どもたちの熱意を受け、いわき市の文化財課でイノシシの侵入防止やアカミミガメ・アメリカザリガニの駆除と、それらの対策終了後(令和6年度以降)にはハスの植え付けを実施してくれることになりました。クラブでも賛同してくれた地域の学校や団体に種の蓮根を配り、多くの方にハスに関心を持ってもらうための「ハスの花咲く内郷・常磐プロジェクト」を並行で実施することにしました。卒業前に少しでも何とかしたい!と、6年生メンバーたちが様々な施設に栽培の協力をお願いに回り、現在では30を超す施設でハスが見られるようになる程、その輪が大きく広がっています。


  • 子どもたちの熱意がマイナス要素をプラスに!地域の希望につながる




まず多くの市民の目に触れるような教育機関や公共施設を中心にハスの種蓮根を配ることにしました。子どもたちが直接訪問してお願いした結果、ほとんどの施設が快く栽培を受けてくれました。ちょうど新型コロナウイルス感染拡大していて学校同士の交流がない時期でしたが、オンラインを活用した「ハス栽培についての交流会」を企画、3つの小学校と市の文化財課、内郷公民館、アクアマリンふくしま(環境水族館)をネットワークでつないで、みんなでハス再生の未来について話し合うことができました。また2023年9月には台風13号接近に伴う線状降水帯による大雨があり、白水阿弥陀堂は20センチの床上浸水、子どもたちの自宅も被災する等、大きな被害がでました。




この時はハスの栽培に協力してくれた5施設(いわき市内郷支所、内郷公民館、内郷郵便局、白水郵便局、内郷宮郵便局)が、子どもたちがこれまで採取していた200個余りのハスの種子を復興のシンボルとして被災者に配ってくれました。種を受け取った被災者の皆さんからは子どもたちに心温まるメッセージがたくさん届き、逆に元気をもらったのはもちろん、私たちのこれまでの活動の自信になりました。コロナ禍も大規模な浸水被害も大変な苦労を伴うマイナス要素ですが、子どもの真摯な活動がマイナスをプラス、いやマイナス×マイナスの「かけ算」に作用して、地域の希望につながりました。


  • 子どもたちの活動に脚光!想いのバトンは新たなメンバーへ

ハス再生の活動が広がるにつれてメディアで活動を紹介されることが増えてきました。特に「白水阿弥陀堂のハスが壊滅的状態である」ということ、「高坂小学校SDGs隊が立ち上がった」ということを報じる県内新聞の記事は地域に大きなインパクトがあったようです。活動を立ち上げた6年生の卒業に伴い、バトンを引き継いだ在校生の5年生が代表して「SDGs隊」を名乗り、全校生でハスの栽培を継続しています。活動をまとめた作品が福島民報社主催の「ふくしまSDGs博」で学校賞を受賞した他、令和4年度の「全国エコ活コンクール」では壁新聞部門で「タカラトミー賞」・絵日記部門で「優秀賞」を、翌年の同コンクールでも壁新聞部門で福島県代表・絵日記部門で再び「優秀賞」を受賞するなど、これまでの活動が評価され、子どもたちの大きな自信になりました。




さらに「全国エコ活コンクール」での2年連続受賞を受け、いわき市生活環境部環境企画課(こどもエコクラブ地域事務局)の働きかけでいわき市長への表敬訪問・懇談の機会をいただきました。市長に直接お会いしてハスの再生状況をお伝えできたことは児童にとって大変な喜びで、視野を広く持つ素晴らしい経験となりました。また市議会で「ハス再生プロジェクト」や「ハスの花咲く内郷・常磐プロジェクト」が話題になることもあり、自分たちの活動が地域社会に影響して広がっていることを実感しています。


  • 子どもたちの活動を、地域の多くの方がサポート




浄土庭園を管理する市の文化財課では以前よりハスの状況を把握・調査して対策を検討しているところだったようですが、ちょうどそんな時に子どもが市の文化財課に手紙を送ったことが「ハス再生プロジェクト」の契機になったのだと思います。併せて地域内の施設や学校にもハスの植え付けを呼びかけて「ハス再生プロジェクト」を一緒にスタートしてくれた文化財課の方にはとても感謝しています。子どもの想いをしっかり受取りその具現化につなげていただきました。

また、本プロジェクトに賛同してくれた内郷公民館長といわき市内郷支所地域振興担当の方が地域とのコーディネートをしてくれました。さらに、内郷まちづくり市民会議の働きかけで白水阿弥陀堂の観光案内所で地元のオーガニックコットンを使った人形のジオラマと募金箱を設置・プロジェクトの活動資金の一部とする場を設けることができました。たくさんの地域の方のサポートのおかげで社会参加をはるかに超えた社会参画の活動にも広がり、子どもたちも活動の意義とやりがいを感じています。


  • 主体的な社会参画を継続して2030年の未来を照らす人材に!

コロナ禍では、子どもたちが社会に参画できるような機会はもちろん、社会見学等の参加的な活動すら激減してしまいました。そんな時でも下を向かず自ら発信し活動している子どもたちを地域社会が温かく見守り積極的に支援していただけたからこそ、今回の活動の広がりと子どもたちの自信や成長につながったのだと思います。私たちサポーター・学校の願いとしては、ハスの再生だけでなく「ハスの再生を通して子どもたちが主体的に社会参画を継続していくことで、SDGsのゴールである2030年の未来が明るくなること、またそれらを創ったのが自分たち(子どもたち)であること自覚して、さらなる未来を担う人材になってほしい」ということです。手紙を書いた子どもたちは2030年には20歳、現6年生は18歳を迎えます。大人になった子どもたちが、小学校の時に活動を通して学んだこと・感じたことを微笑み合いながら思い出し、これからの故郷・未来をより良いものにしていってくれることを心より祈っています。

GENIC

GENIC PRESS(ジェニックプレス) インスタ映えスポットや人気の投稿を共有し、宣伝したり、モデルさんの活動などを配信するソーシャルメディア  モデルとして活動したい、インフルエンサーになりたい、フォロワーを増やしたいなどの質問はDMで気軽にお問い合わせください genicpress.com

Share
Published by
GENIC