2015年10月からスタートした看護師の特定行為研修制度は、医師があらかじめ作成した「手順書」に基づき、看護師が患者さんの状態を見極め、適切なタイミングで特定行為(診療の補助)を行う制度です。特定行為研修修了看護師は、医師の働き方改革に伴うタスクシフトの推進などに資する存在として期待されています。
社会医療法人近森会 近森病院では、現在、特定行為研修修了看護師が30人勤務しております。そのうち、「術中麻酔管理領域パッケージ」の特定行為研修修了看護師3名を、2024年7月から従来の看護部から医局である麻酔科へ配属転換します。麻酔科医が直接マネジメントを行う体制とすることで、各症例に効率的に介入でき、より緊密な連携が可能となります。
当院の麻酔科では、2021年から特定行為研修修了看護師によるタスクシフト(麻酔管理など麻酔科医が担っていた医療行為の一部を特定行為研修修了看護師が行う)を導入しており、2023年の麻酔科管理症例数2960件の内349件は特定行為研修修了看護師が医師とともに担当しております。特定行為研修修了看護師は、麻酔科医が麻酔を導入して手術が始まった後、患者を覚醒させる前段階までの麻酔維持などを行うことで、医師の業務負担軽減に貢献しています。
特定行為研修修了看護師の配置により、現場では人的余裕ができ1日に行える手術件数が増加、さらに緊急手術にもスムーズに対応できる体制づくりが可能となりました。ハイリスク手術、高齢者手術の多い当院ですが、タスクシフト導入後も大きな問題を起こすことなく、安定して患者さんに医療を提供しております。
今回の配属転換により、特定行為研修修了看護師のさらなるレベルアップが期待できるとともに、医師の労働環境改善が図れ、ワークライフバランスのとれた医師がより高度な医療提供に特化できるものと考えております。
麻酔科所属となる看護師3名と、麻酔科医師の杉本部長(右端)