《店舗内サイネージ設置場所》
小売業では深刻な人手不足が課題となっており、広告コンテンツ作成などの売り場づくりまで手が回らない状況が続いています。そこで本実証実験では、消費者の購買行動を喚起する売り場づくりの1つの手法であるサイネージにおいて、広告コンテンツを誰でも簡単に作成・配信できる仕組みを導入し、小売業における売り場づくりの人手不足への対応と、消費者がより楽しんで買い物をしていただける売り場づくりの支援をめざしました。
■各社の役割
ドコモ |
生成AIを活用した広告コンテンツ作成および自動化に向けた検証 |
インテージ |
サイネージ端末およびデジタルサイネージ配信システム※1提供 |
ダイノブ |
サイネージ設置場所提供 |
今村商事 |
ID-POSデータの分析 |
本実証実験では、熊本県および米国でスーパーを展開しているダイノブのスーパーダイノブ城南店において、ダイノブが販売強化を希望する商品の広告コンテンツをドコモが生成AIを活用して作成し、店内3か所に設置されたインテージのサイネージ端末およびデジタルサイネージ配信システムを通じ、消費者の購買意欲の促進し販売増に繋げる取組みを行いました。また販売結果についてはID‐POSデータ※2を今村商事がダイノブより取得・分析し、その効果について検証を行いました。
今回作成した広告コンテンツでは、生成AIを活用することで作成手順のうち最大で3分の2の工程を半自動化することが可能となり、通常外注すると1週間程度かかる作成時間について、画像・動画の作成を含めて最短で1時間以内に収めることができました。また作成した広告については表示期間(1商品あたり7日間)において平均で1.2倍、最大で3.3倍の売上増加に寄与することが確認できました。
今後は2024年10月より第2期として、活用する生成AIの追加を含めた広告生成の品質向上や更なる運用自動化に向けた実証実験を実施する予定です。
今後、ドコモは自社が持つ会員基盤を土台にNTTグループが持つ生成AIテクノロジーに対する知見を、インテージは店舗内デジタルサイネージ広告配信のノウハウとマーケティングデータに対する知見を、今村商事はID-POS分析に関する知見を元に、スーパーの売り場づくりのノウハウを持つダイノブと協力し、日本のマーケティング市場に適した店内サイネージ広告の自動生成ソリューションの開発を推進してまいります。
※1 サイネージ端末及びデジタルサイネージ配信システムとは、スーパーマーケットなどの小売業を対象としたサイネージコンテンツ配信サービスで、棚の上部にサイネージ端末を設置し、各店舗ごとに来店されるお客さまの好みに合わせた商品紹介などの動画が流れるようにコンテンツの配信管理が可能な ソリューションです。
※2 「ID-POSデータ」とは、POS(Point Of Salesの略で、顧客が購入した商品の販売履歴のこと)データについて、顧客が持つIDをPOSデータと紐づけて、いつ、誰が、何を、何個買ったかという顧客単位の販売履歴を収集するシステムのことです。