独立行政法人国立高等専門学校機構 鈴鹿工業高等専門学校(三重県鈴鹿市 校長:藤本 愼司 以下「鈴鹿高専」)GEAR5.0プロジェクトマテリアルユニットリーダーの兼松秀行特命教授が、2024年6月13日、抗菌製品技術協議会(SIAA)より功績賞を授与されました。
「Impressive Poster Award」を受賞
この功績賞は、兼松教授が2016年から2019年度にかけてバイオフィルム標準化委員会において、そして2020年度以降はバイオフィルム委員会のアドバイザーとして、抗バイオフィルム試験方法の開発において多大な助言を行い、SIAAに大きく貢献したことを称えたものです。また、兼松教授は抗バイオフィルム試験方法国際標準開発委員会(経済産業省管轄)委員長としてISO化にも尽力しました。
国際標準化は、2023年7月18日にプラスチック製品等の抗バイオフィルム試験としてISO4768が制定されました。この研究は2013年頃に始まりましたが、GEAR5.0プロジェクトの事業の一環として協力し始めた2020年前後から加速し、成果が実を結びました。さらに、兼松教授とGEARの共同研究者たちは研究面からこれを補強し、2024年7月1日からはSIAAによる抗バイオフィルム規格合格製品の認証が開始されます。認証基準をクリアした製品にはSIAAの抗バイオフィルムマークが付与されます。この規格は、アメリカ合衆国のASTMや欧州EUの薬品規格とは異なり、材料や製品の抗バイオフィルム性を評価する世界初の画期的な規格です。
バイオフィルムは、細菌が材料や製品表面に付着して高濃度になった際に多糖を産生し、表面にぬめりを形成します。このぬめりは、配管のスケールや家庭内の水回りの汚れ、医療現場での感染症、食品加工分野での衛生低下の主要な原因となります。従って、この仕事は産業界だけでなく、日常生活にも大きな影響を与えるものであり、社会全体への貢献度が高いことが期待されます。
特筆すべきは、兼松教授が鈴鹿高専名誉教授で細菌学者の生貝初博士と一緒に共同受賞したことです。生貝博士もバイオフィルム研究において多大な貢献をしており、二人の協力によりさらなる進展が期待されます。
◆未来技術の社会実装GEAR5.0について
GEAR5.0事業は、分野毎に設ける中核拠点校が他の協力校と協働した研究組織を基盤として、企業、自治体、大学等の外部機関と広範な連携体制を構築し、高専の社会実装研究成果と人材育成活動の最大化を目指しています。令和2年度に始まり、マテリアル分野、介護・医工分野、防災・減災・防疫分野、農林水産分野、エネルギー・環境分野の5分野6拠点あります。各拠点は、中核拠点校の高専1校と協力校の複数高専からなります。
鈴鹿高専はマテリアル分野事業名「K-CIRCUIT が牽引する高度先端マテリアル社会実装研究・教育」の中核拠点校で、エネルギー・環境分野事業名「水素社会実現に向けた社会インフラ構築のための研究開発と人材育成」の協力校です。
◆鈴鹿工業高等専門学校について
鈴鹿工業高等専門学校は、全国12の国立高専一期校のひとつとして1962年に設立され約10,000人の卒業生は技術者や研究者あるいは企業家として社会で活躍し、産業界から高い評価を受けています。1993年には、さらに2年間の高度な専門教育を実施する専攻科を設置して国際社会で活躍できる創造性豊かなエンジニアの育成に努めています。また、鈴鹿高専テクノプラザをはじめとして地域社会と密接に連携した教育研究により産業振興に努めています。
【学校概要】
学校名:独立行政法人国立高等専門学校機構 鈴鹿工業高等専門学校
所在地:三重県鈴鹿市白子町
校長:藤本 愼司
設立:1962年
URL:
https://www.suzuka-ct.ac.jp/
事業内容:高等専門学校・高等教育機関