人事評価制度の構築・運用・クラウド化で “人と組織の成長” を支援する株式会社あしたのチーム(本社:東京都中央区、代表取締役社長 CEO:赤羽博行)は、国内中小企業の組織課題や実態の把握を目的に、「中小企業で働く20代のキャリア形成に関する意識調査」を実施しました。
その結果、6割超が現在お勤めの会社における「自身のキャリアビジョンが見えていない」と回答し、社内にキャリアの参考になる先輩社員や上司が「1人もいない」が最も多く全体の30.0%、「自身のキャリアビジョンが見えていない」方では44.2%にのぼることが明らかに。一方「自身のキャリアビジョンが見えている」方の役に立ったもの・ことは「上司との面談」が最多でした。これらについて、これまで多くの中小企業の組織づくりを見てきた当社代表取締役社長 CEO赤羽博行より解説させていただきましたので、ご参照ください。
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調査トピックス
●現在勤める会社でのキャリアビジョン、「見えていない」が6割超。
見えない理由の1位は「自身のライフプランが見えないから」。20代は“ワーク・イン・ライフ”の考え方を好む?
2位は「先輩社員や上司を見て希望が持てないから」。
●キャリアビジョンを描くのに役立ったもの・ことは?
1位「上司との面談」32.8%、2位「同僚の話」26.9%、3位「社内研修」26.1%
●社内にキャリアの参考や目標にできる先輩社員や上司は「1人もいない」30.0%が最多…
「キャリアビジョンが見えていない」と回答した方では、「1人もいない」が44.2%に大きく上昇。
生き方に憧れる/共感する、“人生のパイセン”は社内にはいない?
●キャリア形成に役立つ制度や体制が整備されていると思うか?キャリアビジョンが見えている層は7割近くが「整備されている」と回答、一方キャリアビジョンが見えていない層は8割が「整備されていない」
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調査概要
1.調査方法:インターネット調査
2.調査対象:全国の中小企業(社員数300名未満)に1年以上勤続する20歳~29歳の正社員 男女300人
(男性:138人、女性:162人)
3.調査実施日:2024年5月23日(木)~24日(金)
※本資料におけるグラフの百分率は小数点第2位以下を四捨五入して表記しています。そのため、グラフの数字の合計が100%とならない場合があります。
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現在勤める会社でのキャリアビジョン、「見えていない」が6割超。
理由の1位は「自身のライフプランが見えないから」。20代は“ワーク・イン・ライフ”の考え方を好む?
2位「先輩社員や上司を見て希望が持てないから」。
現在勤める会社で自身のキャリアビジョン(数年先までの職務経験や役職の希望、ありたい姿など)が見えているかを聞いた結果、「ほとんど見えていない」が32.0%、「まったく見えていない」が28.3%と、20代社員の6割超が数年先の自身のキャリアビジョンが見えないと感じていることが判明しました。「はっきり見えている」と回答したのはわずか6.3%で、「ぼんやりと見えている」33.3%を合わせても、キャリアビジョンを見据えて働けている20代社員は3人に1人程度の39.6%という結果になりました。
自身のキャリアビジョンが見えていない理由の1位は「自身のライフプラン(移住・留学・結婚・出産・子育て・介護等の予定・計画)が見えないから」28.7%でした。個人のライフイベントを念頭においてキャリア設計したい方が多いようです。20代はワーク・ライフ・バランスのように仕事と生活を並べる考え方でなく、「人生の一部として仕事がある」、「自分らしく生きるために自分らしい働き方を選ぶ」といった、“ワーク・イン・ライフ”の考え方を好むのかもしれません。またこの項目は男性に比べ女性の回答割合が多くなりました(男性 23.8%、女性 32.7%)。2位は「先輩社員や上司を見て希望が持てないから」24.9%。先輩や上司の姿を見て、この会社で明るい未来が拓ける期待はできないという方が4人に1人にのぼりました。次いで「キャリアについて相談相手がいないから」22.1%、「自社のキャリアパス(昇給・昇進の道筋)が公開されていないから」20.4%と、キャリアビジョンを描くための情報を得にくいと感じていることがうかがえる回答が続きました。
自身のキャリアビジョンが見えている方が、キャリアビジョンを描くのに役立ったもの・ことの回答の1位は「上司との面談」32.8%でした。上司に相談したり助言をもらったりして、自身のキャリアの可能性や選択肢を見いだせた人が多いのかもしれません。2位は立場や境遇の近い「同僚の話」26.9%、3位は「社内研修」26.1%となりました。
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キャリアの参考や目標にできる先輩・上司は、「1人もいない」30.0%が最多…
「キャリアビジョンが見えていない」と回答した方では、「1人もいない」が44.2%に大きく上昇
生き方に憧れる/共感する、“人生のパイセン”は社内にはいない?
社内にキャリアの参考や目標にできる先輩社員や上司がどのくらいいるか聞いた結果、「1人もいない」30.0%が最多で、20代社員のおよそ3人に1人は社内に参考や目標になる先輩社員や上司がいないと感じていることが明らかになりました。
自身のキャリアビジョンが見えているかの回答別に見ると「キャリアビジョンが見えていない」と回答した方は「1人もいない」の割合が44.2%に大きく上昇しています。参考や目標にできる先輩社員や上司がいる場合も、回答割合を比較すると、キャリアビジョンが見えている方に比べてその人数は少ない状況がグラフから見て取れます。社内に参考や目標となる人物がいない、または少ないことから、自身のキャリアビジョンを想像するのが難しいことが考えられます。また、これまでの設問で20代のキャリアビジョンの前提として「自身のライフプラン」があること、生き方・働き方のダイバーシティが世間に広まって以降の社会人世代であることなどから考えると、社内の“ロールモデル”はもはや機能しないのかもしれません。先輩社員や上司は市況や価値観が異なるためそもそも参考にならないものとして、生き方に憧れたり共感したりするような存在はSNSなどの社外にいて、社内には求めないということもあるのかもしれません。
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キャリア形成に役立つ制度や体制整備が、社員のキャリアビジョン有無を大きく左右
「満足」と「不満」それぞれの声から見えてきた、若手社員がキャリア形成に求めることとは?
勤務先はキャリア形成に役立つ制度や体制が整備されていると思うかを、自身のキャリアビジョンが見えているかの回答別に見ると、「自身のキャリアビジョンが見えている」方は「整備されている」21.8%、「多少整備されている」46.2%で7割近くが整備されていると答えたのに対し、「自身のキャリアビジョンが見えていない」方は「あまり整備されていない」44.2%、「整備されていない」38.1%と、制度や体制整備が不十分と感じている方が8割を超えることが明らかになりました。
Q. お勤めの会社でのキャリア形成について満足していることを教えてください(自由記述、n=300)
●上司、管理職、社長との距離が近く、割と何でも言い合える関係が社風としてできている会社で、キャリアについても相談しやすいと感じる。(29歳女性/8年目)
●上司との人事考課面談があること。(29歳女性/8年目)
●定期的に研修制度があり、また、資格取得など積極的な会社であること。(25歳女性/5年目)
●資格取得に向けた勉強や、外部のセミナーなどに勤務時間を使ってもよい点。(29歳男性/5年目)
●昇給制度が明確に示されている点。(28歳女性/7年目)
●能力によって給料が少し変わってくるところ。(27歳男性/6年目)
勤務先のキャリア形成について満足していることを聞いてみました。「キャリアビジョンを描くのに役立ったもの・こと」の設問でも最多であった「上司との面談」に関する具体的な回答を見ると、会社風土や普段のコミュニケーションによる上司との心理的距離の近さのほか、人事考課のタイミングなど定期的な面談機会があることで、キャリアについても上司に相談しやすい環境がつくられていることがわかりました。研修や資格取得について費用や時間の面で支援があるなど、社員のリスキリングに関して具体的な取り組みがある点に満足しているとの回答も多く挙げられました。また昇給基準や能力に応じた給与査定など給与決定方法に関する回答も多くあり、キャリア形成において「給与」の重要度を高く考える方が多い様子もうかがえました。
Q. お勤めの会社でのキャリア形成について不満に思っていることを教えてください(自由記述、n=300)
●年功序列が消えない点。(24歳女性/7年目)
●能力を十分に発揮できないこと。(29歳女性/10年以上)
●異動や担当変更がほぼないため、定型的な仕事しかできないこと。(26歳女性/3年目)
●特別な研修もないし、スキルアップのための補助もないこと。(24歳女性/2年目)
●資格を取っても給料に反映されないところ。(28歳男性/7年目)
●専門職コースがない。(29歳女性/7年目)
●昇給が不確実であること。(23歳女性/4年目)
勤務先のキャリア形成について不満に思うことは、経験できる業務内容が限定されていたり、研修など勉強の場がなかったりすることで、スキルアップできる機会がないという回答が多く挙げられました。また、回答の中で特徴的だったのは、キャリアアップ支援や福利厚生、給与査定を含めた人事評価など、人事に関する制度や仕組みが「ない」という以外に、そのルールや基準が「あいまい」「不透明」「不確実」など、不明確さに対する不満が多かったことです。人事に関する会社の制度や仕組みが不明確では、キャリアの未来を考えることも難しいでしょう。社員が自身のキャリアを見据えて、意欲的に働ける環境づくりのためには、キャリアに関わる人事制度を明確に可視化して、社員一人ひとりのキャリアの可能性を提示することが重要なのではないでしょうか。
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『“個”の時代でもキャリアは一人ではつくれない。社員一人ひとりに向き合い、市場価値を上げる人材育成・キャリア支援が会社と人材を成長させる』― 赤羽博行
かつて、若い会社員は「あの先輩のように仕事ができるようになりたい」とか「上司の年齢になる頃には自分も同じようにクルマを買いたい」などと、会社で活躍する先輩に憧れ、それにならって将来の目標を想い描くことがよくあったように思います。今回の調査で「20代社員がキャリアの参考や目標にしたいと思う先輩や上司が社内に『1人もいない』が最多」とは、少々寂しく感じます。しかし、これは必ずしも“社内にかっこいい先輩がいない”ということではありません。20代社員は多様な価値観を尊重することが当たり前で育った世代であり、また働き方や生活の価値観はコロナ禍前後でも大きく転換しているくらいなので、先輩や上司の時代とはキャリアに関しての前提が違い過ぎて参考にならないというのは当然のことです。
2000年代~2010年代は、女性活躍推進などを背景に企業は「ロールモデルの育成」に取り組んでいました。また社員教育でも上司が「自分と同じようにできる人を育てる」と自分の分身を作るような人材育成がなされるケースが多くありました。しかし現在は人材確保や人材育成のために「個」に焦点を当てたキャリア形成が求められる時代になってきています。
多様な選択肢から“自分だけのキャリア”を積み上げることは、とても自由で無限の可能性があります。だからこそ、参考になる情報が得られず「未来が見えない」ということもあるでしょう。ただしキャリアは一人でつくりあげることはできません。これから企業側に求められることは、社員一人ひとりのキャリアに対する考え方や希望に向き合えるキャリア支援ができる管理職を育成すること、面談の頻度を高めていくことを通じて、管理職が部下の成長を支援し、市場価値を上げていくことです。今後更に人手不足が加速していく中、人材を確保して企業成長するためには「ここで働きたい」と思ってもらえるようにキャリア支援ができること、個人の成長機会を提供するための人事の仕組みづくりが不可欠ではないでしょうか。
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株式会社あしたのチーム 代表取締役社長CEO 赤羽 博行
大学卒業後、オービックビジネスコンサルタントを経て創業から間もないベンチャーコンサルティングファームでディレクターに就任。完全年功序列の大手企業・完全実力主義のベンチャー企業、双方での経験を活かし、2009年 設立直後のあしたのチームへ社外取締役として参画。
2020年11月より代表取締役社長 CEOに就任。数多くのコンサルティング現場で感じた「大半のビジネスマンが頑張りを正当に評価されず、本来の力を発揮できていない」という現実を変えるため、『人事評価制度を通じた日本の働き方改革と生産性向上』に全てを捧げ奮闘中。
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引用・転載時のクレジット表記のお願い
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<例>「あしたのチームが実施した調査結果によると…」
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会社概要
会社名 株式会社あしたのチーム
代表取締役 代表取締役社長CEO 赤羽 博行
本社所在地 〒104-0061 東京都中央区銀座6-10-1
事業内容 ・人事評価制度の構築・運用「あしたのチーム®」
・人事評価クラウド「あしたのクラウド® HR」
・1on1コーチング「あしたのコーチ™」
・パフォーマンスマネジメントプラットフォーム「Cateras™」
資本金 1 億円(資本準備金含む)
設立 2008年9月25日
HP
https://www.ashita-team.com