第14回全国草原サミット・シンポジウム in おたり大会 開催概要
草原に関わる人々が集い、希少となった草原の価値や存在を全国にアピールするとともに、自然や文化的な知識や技術を共有し、全国各地の保全・継承活動の現状や課題について論議を深めながら、草原を未来に残すため連携を図ることを目的として、開催します。
この機会に草原や自然、茅葺きに興味のある方は草原サミット・シンポジウムにぜひご参加ください。
会期 2024.10.4(金)~2024.10.5(土)
会場 長野県小谷村白馬乗鞍 白馬アルプスホテル
内容 4日:「未来に残したい草原の里 100 選」認定書授与式、全国草原シンポジウム、交流会
5日:現地見学会、全国草原サミット
定員 150名 ※定員に達し次第、受付を終了させていただきます。
申込期間 2024.6.17(月)~2024.7.24(水)
申込先
https://www.sougen-summit.com
開催の目的
火入れや、放牧、採草などによって維持されてきた半自然の草原や湿原は第二次世界大戦後、燃料革命などによって、価値が激減し、維持されている草原は希少となっています。明治時代は国土の20%を占めていた草原は現在では1%まで減少しています。
この希少なとなった草原を持つ自治体や草原に関わる全ての人々が集い、草原の価値や存在意義を全国にアピールするとともに、その自然環境や歴史的及び文化的な知識や技術を共有し、全国で取り組んでいる保全・継承活動の現状や課題について論議を深めながら、草原を維持するために連携していくことが、全国草原サミット・シンポジウムを開催する目的です。
過去の開催事例、内容
草原サミット・シンポジウムは過去13回、全国草原の里市町村連絡協議会に所属する草原を持つ自治体で開催されてきました(資料1参照)。同連絡協議会は29の市町村で構成され、持ち回りでサミット・シンポジウムを開催しています。各大会の内容構成はほぼ同じで、シンポジウムとしては、その大会の問題提起となる研究者等による基調講演会、参加者とともに課題を深めるための分科会(3~4課題)、そして、その地域の現状を確認するための現地見学会を行っています。サミットは全国草原の里市町村連絡協議会に加入している市町村の首長が大会会場に集まり、課題を協議した結果をその大会の「サミット宣言」として採択します。
おたり(小谷)大会の意義
小谷村には毎年「野火つけ」(山焼き)が行われている「牧の入茅場」や同じく「野火つけ」が行われ、地元で管理されている「雨中ショクの茅場」などが村の西側に広がっています。両茅場とも文化庁「ふるさと文化財の森」に認定され、「茅葺き屋根」の材料となるカヤの生産地で、特に「牧の入茅場」は茅の中でも希少なカリヤスの茅(コガヤ)が採取でき、約1万把の収穫が見込まれ、これまでも、多くの重要文化財の屋根茅として用いられてきました。
令和2年「伝統建築工匠の技:木造建造物を受け継ぐための伝統技術」がユネスコの無形文化遺産に登録され、このなかに「茅採取」の技術も含まれており、小谷村で行われている茅刈りや茅立てが大きく脚光を浴びることとなりました。
このように手入れがされた茅が活用されている希少な茅場の存在を全国に発信し、草原に関わる人々とともに、草原の自然環境や、草原維持の知識や技術を次世代に伝えていく上での課題を考えていく機会にしたいと考えています。
プログラム
4日のシンポジウムでは茅場を研究している筑波大学名誉教授の安藤邦廣先生と小谷村の茅葺き師で「現代の名工」として活躍されている松澤敬夫氏による基調講演、信州大学教授、井田秀行先生による研究報告、4つのテーマにわかれての分科会が行われます。小谷中学校3年生が発表者なって報告する分科会もあります。
5日は文化庁の「ふるさと文化財の森」に設定されている茅場や長野県宝指定の茅葺き民家「旧千國家住宅(牛方宿)」をめぐる現地見学会があります。
また、全国の草原を持つ自治体の長が集まり、「草原サミット」が開催されます。草原に関する現状や課題を話し合い、「小谷大会宣言」を採択し閉幕します。
小谷村の草原
小谷村には北アルプス山麓に広々とした茅場の草原が広がっています。現在でも地元の人たちにより「野火つけ」と呼ぶ火入れなどの管理がされており、秋になるとカリヤスという茅で美しく覆われます。このような草原は国土の1%しか残っていないといわれており、大変貴重です。
小谷村には茅葺き職人がおり、10月の終わりになると、文化財の建物の屋根の修復に使う茅の「茅刈り」が行われます。茅刈りはユネスコ無形文化遺産にもなっています。茅を乾燥する無数の茅立てが広がる様子は草原の原風景といわれています。
長野県小谷(おたり)村
小谷村は長野県の最北西部に位置して新潟県と境を接しています。西には北アルプス白馬連峰がそびえ、東は日本百名山の雨飾山をはじめとした小谷山地が連なり、中央を貫流する姫川が渓谷を作り日本海に注いでいます。中部山岳国立公園、妙高戸隠国立公園の二つの国立公園に属しており、山岳や渓谷が雄大な自然景観を作り出しています。また、村内には江戸時代から続く小谷温泉をはじめ11の温泉があります。
冬季間には降雪量が多く、北アルプス山麓には栂池高原スキー場、白馬乗鞍温泉スキー場、白馬コルチナスキー場が広がり、全国及び海外からのスキーヤー、スノーボーダーが訪れています。夏期は白馬連峰の白馬大池や風吹大池、妙高戸隠連山の雨飾山への登山客で賑わいます。季節を通して自然や温泉を求めて多くの観光客が訪れており、観光が村の主産業となっています
小谷村は日本海地方と信州内陸をつなぐ千国街道の要衝として発展してきました。江戸時代には松本藩の千国番所が置かれ、日本海からは塩をはじめとする海産物が運ばれました。村内には旧街道の道跡が多く残っており、5月3日には往時を偲んで街道を歩く「塩の道祭り」が開催され、毎年多くの参加者があり、年間通じて、多くの人がこの道を歩いています。
お問い合わせ先
第14回全国草原サミット・シンポジウムinおたり実行委員会事務局
mail sougensummit@gmail.com
電話 小谷村教育委員会 0261-82-2587