急速に発展するAI産業の中で人とインタラクションをとるAIの存在は日に日に存在感を増してきており、その背景となるHAIの研究は社会にとって重要な研究と言われています。
大澤研究室はHAIの研究を継続し、多様なバックグランドを持った体制によりアカデミアでありながらもHAIの社会実装を目指しています。また、artienceは保有するケミカル素材を活かしたセンサーデバイスの開発を行うなど、モノづくりに留まらない新たな価値を社会へ提案するため、取得したデータの活用を目指して、データソリューションの開発を続けてきました。
大澤研究室とartienceは共同研究を通じて、日本に強みのあるHAIという領域で、人に寄り添うAIを生み出していくことで、使うだけのAIではなく、AIと人が共存できる社会をつくりだすことができると考えています。そのビジョンを共有し、日本がAIエージェントで世界をリードし、あらゆる属性の人に寄り添う技術がある未来を目指してまいります。
※1Human-Agent Interaction
Human-Agent Interaction(HAI)とは,文字通り「人間」と「エージェント」との「インタラクション」を対象とした研究領域であり,かつそれ自身が「人間は何をエージェントとして捉えるか」という問題と共に存在する研究テーマでもあります。この普遍的な問題の存在は、人工知能研究において「知能とは何か」が常に問われている点で類似しています。
参考:HAIシンポジウム – HAIとは?
https://hai-conference.net/symp2024/whatshai.php
<大澤研究室研究員のコメント>
我々の研究室ではドラえもんをつくることを目標にしており、学生もエージェントとのインタラクションについて研究をしています。研究を行っている中で、ドラえもんのような世界をつくるためには一人ひとりに寄り添ったパーソナルなエージェントの存在、そのエージェントの存在が許容されるような世界が重要であると考えます。そういったところに対し、今回研究室内で留めることなくartience様と一緒に共同研究といった形でともにつくっていくことにより、一人ひとりの感性に響く価値を創り出すことができ、心豊かな未来への大きな1歩を踏むことができると感じています。
<大澤正彦准教授のコメント>
私は、ドラえもんをつくりたいと思っています。平和になって人が幸せになった世界の中で、ドラえもんが生まれてほしい。ドラえもんを生み出す過程で生み出した技術が、世の中に広がっていくことを願っています。ドラえもんをつくる過程が、人を幸せにしていくような未来を目指しています。
だからこそ、HAIを産業にしていきたいと考えています。HAIという技術はこれから世の中を大きく幸せにしていけると信じています。産業としていくためには大学の研究室だけではなく、同じ志を持った仲間を集めたいと思っています。今回のartience株式会社との出会いは、まさにそれだと思っています。私たちはartience株式会社の皆さんが思い描く未来に全面的に共感しています。感性に響く価値を創り出し、心豊かな未来に挑んでいきたいと思っています。
<artience 代表取締役社長 髙島悟のコメント>
artience(アーティエンス)は、「art」と「science」を融合した言葉です。scienceの最先端にある人工知能(AI)とartの本質にある人が協力し合う世界を見てみたい、つくりたい、実現したい、そんな想いで共同研究をスタートしました。これからの世界ではテクノロジーの進歩、特にAIの進化によって、今までになかった価値そのものや新しい産業が創出されてくるようなことが起きるだろうと言われています。大澤先生とその研究室メンバーの方々の想いである、HAIという技術による一人ひとりに寄り添ったパーソナルなエージェントが世界を幸せにしていけるという考えに全面的に共感しています。大澤先生とその研究室メンバーの皆様との出会いを通じて私たちは、AIを単なるツールとしてではなく心を感じるという存在にまで昇華させ、社会に実装し、世界の人々が心豊か
に暮らすことのできる社会の実現に挑んでまいります。
◾️参考
【日本大学文理学部情報科学 大澤研究室】
・代表者 :大澤正彦准教授
・所在地 :東京都世田谷区 桜上水 3丁目25-40 日本大学 文理学部 情報科学科 8号館
・URL :
https://osawa-lab.com/
・主な研究(一部抜粋)
「しりとり」に含まれる手がかりが「準」自然言語の意味推測に与える影響
勝 将也, 中島 綾乃, 菊池 華世, 中島 亮一, 大澤 正彦
認知科学 30(3) 314-326 2023年9月
意図を読むAIの実現に向けて: 対話型生成AIと他者モデルの統合を例に
飯田 愛結, 阿部 将樹, 奥岡 耕平, 福田 聡子, 大森 隆司, 中島 亮一, 大澤 正彦
HAIシンポジウム2024 2024年3月7日
汎用人工知能実現に向けた人とエージェントの相互適応の研究
大澤 正彦
慶應義塾大学 博士論文 1-294 2020年2月
【artience株式会社】
・代表者:代表取締役社長 髙島悟
・所在地(本社):東京都中央区京橋2丁目2-1 京橋エドグラン
・事業内容:
artience株式会社は1896年に創業したファインケミカル素材の開発、提案を行う化学メーカーです(設立時名称:東洋インキ製造株式会社)。色材・機能材、ポリマー・塗加工、パッケージ、印刷・情報の4つのセグメントで事業を展開し、エネルギー、エレクトロニクス、バイオ・ヘルスケア分野などに領域を広げています。今回の共同研究のベースとなるartienceグループのセンシングやデータによるデジタルテクノロジーソリューション「Fichvita®」(
https://www.artiencegroup.com/ja/products/rd/fichvita/
)は、独自開発のセンシングデバイスやそれにより取得したデータの加工・可視化・分析といった活用、さらにはAIによるソリューションの提供など、モノづくりに留まらない新たな価値を社会へ提案しています。
artienceグループは、世界の人々に先端の技術で先駆の価値を届ける会社として、感性に響く価値を創りだし、心豊かな未来の実現に取り組んでいます。artienceグループの詳細についてはウェブサイト(
https://www.artiencegroup.com
)をご覧ください。