一般社団法人むつ小川原海洋気象観測センター(代表理事:神戸大学・名誉教授 小林 英一、以下「MOC」)は、レラテック株式会社(以下、「レラテック」)、一般財団法人日本気象協会(以下、「日本気象協会」)、北日本海事興業株式会社(以下、「北日本海事興業」)、株式会社神戸大学イノベーション(以下、「神戸大学イノベーション」)により、青森県六ヶ所村むつ小川原港内で国内一例目となる洋上風力発電に係る風況観測の精度担保に必要な精度検証試験サイト「むつ小川原洋上風況観測試験サイト(以下、「本試験サイト」)の運営を目的に設立されました。
本試験サイトでは、主に風況調査用のドップラーライダー(※1)などのリモートセンシング機器の精度検証を目的として、設備を一般利用者に開放するとともに、洋上風況観測マストなどの観測データを提供します。今後は風力発電事業関係者、研究開発プロジェクト実施者(風況、気象、生態系、環境など)、港湾の安全や教育に関わる地元関係者などに広く利用される試験サイトとして展開していきます。洋上風力発電をはじめとする再生可能エネルギーの導入促進に寄与し、地域社会の発展にも貢献することを目指します。
むつ小川原海洋気象観測センターHP
http://moc.or.jp/
むつ小川原洋上風況観測試験サイトHP
https://mo-testsite.com/
法人設立の背景についてはこちらのプレスリリースをご覧ください。
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000002.000145673.html
■法人概要
・法人名 一般社団法人むつ小川原海洋気象観測センター
(MOC:Mutsu-ogawara met-ocean Observation Center)
・理事 小林英一(代表)、林泰一、本田明弘、小長谷瑞木、辻󠄀本浩史、川本和宏
・監事 飯塚文彦
・社員 レラテック(株)、(一財)日本気象協会、北日本海事興業(株)、(株)神戸大学イノベーション
・住所 〒111-0053 東京都台東区浅草橋5丁目2−3 鈴和ビル パズル浅草橋
■新法人事業内容
1. 風況観測機器等の精度検証
風力発電のための風況調査に用いられるドップラーライダー機器を始めとした精度検証のために、試験サイトを提供します。これらの精度検証レポートを当法人(MOC)から発行することも可能です。
2.研究開発・教育利用
例えば、以下のような研究開発に役立つ洋上研究プラットフォームとして、ご利用いただけます。また、観測データを活用し、神戸大学と連携した共同研究や学生らへの教育機会の場を創出します。
研究開発テーマ事例:
・風況調査用の観測機器や数値モデル
・気象・海象用の観測機器・数値モデル
・その他(気象、海象、環境、生態系、寒冷地・重塩害環境下での実験など)
3.地域貢献
本試験サイトで観測された気象・海象データを使用して、海域利用のための情報提供を行います。また、青森県をはじめとした国内の学術機関との共同研究を実施し、教育施設としても機会提供します。
■運営体制について
MOCは、「むつ小川原洋上風況観測試験サイト」の管理・運営業務を行い、洋上風力発電に係る風況観測機器の校正や関連する技術開発に必要な気象・海象観測データを提供することで、我が国における再生可能エネルギーの導入促進及び海洋開発の発展等に寄与することを目的として設立されました。また、本試験サイトを保有する神戸大学とは共同研究契約を結び、協働することにより研究開発分野での発展を目指します。
■MOC理事長のコメント
MOC代表理事 / 国立法人神戸大学 海事科学研究科名誉教授
小林英一
専門は浮体の運動力学分野。三菱重工業(株)総合研究所で船の運動や海洋環境の研究を担当。その後、神戸大学教授として船員教育や海上交通解析など海事分野関連研究を推進。神戸大学を定年退職後、NPO長崎海洋産業クラスター形成推進協議会にて、地元海事関連産業の新たな海洋産業分野への転換支援、洋上風車事業の社会人向け教育などを行う。
このたび関係者のご努力とご協力、とりわけNEDOのご支援により、洋上風力発電事業に極めて重要な風況を観測する機器の事前検証や評価を行う「むつ小川原洋上風況観測試験サイト」を神戸大学と連携し管理・運営する「むつ小川原海洋気象観測センター」が発足できました。ここに厚く御礼申しあげます。洋上風車事業で先行する欧州サイトとソフト面ハード面で肩を並べるものと自負しています。今後ともどうぞお力添え頂きますようよろしくお願いいたします。
MOC代表理事 / 国立法人神戸大学 海事科学研究科名誉教授 小林英一
■神戸大学 大澤輝夫教授のコメント
国立大学法人神戸大学 海事科学研究科教授 大澤輝夫
気象学をバッググラウンドに持ち、岐阜大学の工学研究科に2000年から4年間在籍し、環境エネルギー関係の研究に携わる。その後、2004年から現職の神戸大学の海事科学研究科に所属し、海に関係する研究に携わるようになる。現在は気象とエネルギーと海を掛け合わせた洋上風況調査等を中心に研究。
自由に使える観測データがない・・・これが、洋上風況研究に20年以上身を置いてきた一研究者にとっての最大の苦悩でした。
今回、NEDO事業により、皆が自由に利用できる洋上風況観測試験サイトが完成しました。データ取得に奔走したこれまでの日々を考えると、万感の思いです。日本の洋上風力開発に少しでも貢献できるよう、神戸大学はMOCと共に精一杯、試験サイトの維持管理に努めて参ります。どうぞ存分にご利用頂ければと思います。
国立大学法人神戸大学 海事科学研究科教授 大澤輝夫
■社員企業の概要/コメント
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レラテック株式会社
レラテック株式会社は、神戸大学の大澤輝夫研究室の研究成果をもとに、風力発電のための風況調査(観測・シミュレーション・解析)や関連する高度な技術コンサルティングサービスを提供しています。私たちは、産学連携型の神戸大学認定ベンチャー企業として、2020年11月に創業しました。当社のビジョンである「100年先も住みたい地球(まち)をつくる」を実現するため、国内における浮体式洋上風力発電の発展に寄与することを長期目標に掲げています。この目標の達成を通じて、持続可能なエネルギー社会の構築に貢献していきます。
NEDO事業を通じて、むつ小川原洋上風況観測試験サイトが整備され、多くの人が利用できる試験サイトとしてスタートできたことを嬉しく思います。また、試験サイトを運営するむつ小川原海洋気象観測センター(MOC)が設立されたことも喜ばしい限りです。このような試験サイトは日本初の非常に挑戦的な試みであり、洋上風力発電の健全な市場拡大に重要な役割を果たすと信じています。さらに、風力発電分野に限らず、さまざまな研究分野に役立つ洋上研究プラットフォームとして、青森県むつ小川原港から世界中に情報を発信していけることを楽しみにしています。レラテックは、MOCの一員としてこの試験サイトの運営に携わり、研究開発や地域貢献を通じて社会に貢献していきたいと考えています。
レラテック株式会社 代表取締役 小長谷 瑞木
・一般財団法人日本気象協会
日本気象協会は「安全・安心・快適な社会づくり」のために、気象・環境・防災・情報サービスを通じて社会に貢献する使命を担い、日本の気象コンサルティングサービスのパイオニアとして1950年に誕生しました。
気象・防災・環境分野における企画提案から調査・データ解析・情報提供・コンサルティングまでをワンストップで実施するオンリーワン事業体として活動をしています。
一般財団法人日本気象協会が担う環境保全への取り組みは、気象条件が強く影響する大気汚染の予測から始まりました。その後、我が国の大気汚染は劇的に改善し、現在では地球温暖化対策に欠かせない風力エネルギーの導入促進において、環境影響評価を通じての合意形成、風況観測による賦存量推定、風車の型式認証、工事中の気象海象予測、発電量予測等と幅広い技術を担う組織になりました。日本気象協会は、これまで培ってきたこれらの経験を生かし、本法人の目的である「洋上風力発電をはじめとする再生可能エネルギーの導入促進及び気象・海象観測技術の発展に寄与すること、並びに地域社会への貢献」を果たしてまいります。
一般財団法人日本気象協会 代表理事 渡邊 一洋
・北日本海事興業株式会社
青森県八戸市を拠点とする海洋土木を専門とした会社です。昭和52年に創業し、防波堤等の港湾施設築造、航路浚渫など海に係る業務を日々行っております。全旋回式起重機船を3隻保有し、“顧客第一”“安全第一”“品質第一”を企業理念に掲げ、日々培った技術ノウハウを駆使し、お客様のニーズにお応えしております。
この度設立する「むつ小川原海洋気象観測センター」は、青森県は六ヶ所村に位置するむつ小川原港を拠点とします。政令指定の重要港湾であり、当社もその港湾工事に携わって参りました。また、当社が資本参画している「むつ小川原港洋上風力開発株式会社」が洋上風力発電導入の計画をしている港湾でもあります。当社は、当該観測センターが管理する観測設備の保守・整備など県内企業であるからこそできることを担い、設立社員と共に適切に運用管理していけるよう努めて参ります。
北日本海事興業株式会社 代表取締役 椚原 大輔
・株式会社 神戸大学イノベーション
株式会社神戸大学イノベーションは神戸大学の100%子会社として、2020年3月に設立されました。
神戸大学の産学連携・技術移転・大学発ベンチャー創出支援等の業務を、機動的かつ効率的に遂行できるよう、外部化したものです。
大学からのイノベーションの創出・社会実装に向けた取り組みの推進はこれからの社会に必要不可欠なものであり、当社はその実現に貢献していきます。
この度は一般社団法人むつ小川原海洋気象観測センターの設立、誠におめでとうございます。
洋上風力の試験サイトは全国唯一であり、その社会的意義は非常に高いものと考えていますし、日本気象協会様やレラテック様と神戸大学がNEDO事業において共同で検討してきた成果が実現することを嬉しく思っております。
神戸大学でも2023年11月1日に水素・未来エネルギー技術研究センターが設立され、より連携できる可能性が広まっていくこととなります。神戸大学イノベーションを通じて連携の深化に貢献できれば幸いです。
株式会社 神戸大学イノベーション 代表取締役 松尾 貴巳
【注釈】
※1 ドップラーライダー
光(近赤外線)により上空あるいは水平方向の観測目標地点の風向風速をリモートで測定する装置で、各種気象観測、風力発電の事業性判断、航空機の安全運航のための監視などさまざまな分野での活用が可能です。
【問い合わせ先】
MOCへのご相談、ご依頼、ご取材依頼については以下のメールアドレスにお問合せください。
press[*]moc.or.jp
※上記アドレスの[*]を@に変えて使用してください。
むつ小川原洋上風況観測試験サイトのご利用についてはこちらのページよりお問い合わせください。