■社会背景
少子高齢化の進行に伴う社会保障費の増大と生産年齢人口の減少により、日本経済を働き手として支える現役世代の負担が深刻な課題となっています。課題の解決には、長く健康で働き続ける人を増やすと共に、高齢になっても介護を必要とせず日常生活を支障なく送ることができる健康寿命の延伸が不可欠です。国も2019年に「健康寿命延伸プラン」を策定し、2040年までに男女とも健康寿命を3年以上延伸することを目標に掲げています(※1)。
そのような中で、重要な取り組みの一つとして位置づけられているのが介護予防・フレイル対策(※2)です。フレイルとは加齢とともに体や心の働き、社会的なつながりなどが弱くなった状態(※3)のことを指します。国の調査では、要支援と認定された人の「介護が必要となった主な原因」のうち、「高齢による衰弱」(フレイル)が関節疾患に次いで高い割合となるなど(※4)、各自治体には対応が求められています。
■白岡市について
白岡市の人口は5万2,549人であり、そのうち65歳以上の人口は1万4,911人、高齢化率は28.4%となっています(2024年4月時点(※5))。高齢化率は全国平均とほぼ同等になっているものの、2025年には28.9%、2040年には32.8%に達すると見込まれ(※6)、今後も高齢化の進行が予想されることから、介護予防やフレイル対策の必要性は高まり続けています。白岡市ではこの状況を踏まえ、高齢者の介護、フレイルや認知症の進行予防等の事業に取り組んできました。さらに、これらの課題対応を加速させるために、2022年から「高齢者の保健事業と介護予防の一体的な実施事業」に取り組んでいます。
■当社の取り組み
当社は、コミュニティ運営や人材紹介等のサービス提供を通じて、管理栄養士や看護師、保健師、ケアマネジャー、理学療法士など多様な専門職や医療従事者とのネットワークを形成しています。また、認知症の予防・改善等を目指すWebプログラム「認トレⓇチャレンジ」の提供や、専門トレーナーが認知機能エクササイズを行う予防教室を実施しているほか、仙台市や練馬区などの自治体と連携した介護フレイル予防教室も多数開催しており、高齢者の介護フレイル予防に寄与してきた実績があります。さらに、健康保険組合や自治体に向けたサービスとして、オンラインを活用した「特定保健指導サービス」や「重症化予防サービス」を提供しています。これらのサービスでは、ICT/IoTを活用し、医療専門職による官公庁との実証実験の成果に基づいた栄養指導を提供しており、従業員(被保険者)とその家族の生活習慣病予防をサポートしています。
■「令和6年度 白岡市高齢者の保健事業と介護予防の一体的な実施事業」について
この度、これらの実績とノウハウを活かし、白岡市の「高齢者の保健事業と介護予防の一体的な実施事業」を受託しました。本事業では、「通いの場等への積極的な関与等(ポピュレーションアプローチ)」と「高齢者に対する個別的支援(ハイリスクアプローチ)」の2つを実施します。
ポピュレーションアプローチでは、通いの場等を活用したフレイル予防や口腔ケア、栄養指導、体力測定など多様なフレイル予防教室の開催、健康相談等を行います。フレイル予防教室のプログラム内容は当社の理学療法士など医療専門職が監修しており、それぞれの通いの場に合ったプログラムを選択することが可能です。教室終了時には参加者へアンケートを実施し、フレイルへの理解度や今後のフレイル予防への取り組み意向、満足度等を収集することで、効果検証を図ると共に教室内容のブラッシュアップにつなげます。
ハイリスクアプローチでは、医療専門職が健康状態不明者や生活習慣病の重症化のおそれがある高齢者に対して、自宅訪問とオンライン面談を組み合わせた相談・支援を行います。具体的には、事前の案内に対し反応がなく、連絡が取れない方に対して当社の理学療法士がご自宅を巡回訪問します。心身の状態や住環境に問題がないか等を確認し、場合によっては改善に向けた運動指導や医療機関・介護サービスへの接続等も実施します。また、対象者との面談にはオンラインで管理栄養士や保健師など複数の医療専門職が参加するため、栄養面や医療面でのケア、行政サービス・制度の紹介など対応の幅が広がるだけでなく、問題を見過ごさずチーム間でのスピーディーな連携が可能になるなど様々な面からのサポートが可能です。
これらにより、高齢者が自身の健康状態に関心を持ち、フレイル予防・介護予防に取り組むきっかけを提供する一次予防の段階から、生活習慣病の重症化のおそれがある高齢者を未然にケアする二次予防の段階まで幅広いアプローチが可能となります。また、企画から教室の開催、2年連続受託により経年変化も含めた効果検証までをワンストップで実施します。
【「令和6年度 白岡市高齢者の保健事業と介護予防の一体的な実施事業」概要】
(1)通いの場等への積極的な関与等(ポピュレーションアプローチ)
・実施内容:
-通いの場等を活用したフレイル予防や口腔ケア、栄養指導、体力測定など多様なフレイル予防教室の開催、健康相談等を行う
-住民主体の通いの場等を活用して医療専門職が積極的に関与することにより、高齢者が健康状態に関心を持ち、広くフレイル予防に関心を持つ機会を設けることで、市民の健康維持・フレイル予防を図り、健康寿命の延伸につなげる
-下記7種類から、通いの場ごとにプログラムを選択可能
①体力測定会:体組成計等を使い筋力・バランスの評価を行う測定会
➁初級教室:フレイル予防の講座と運動を行う教室
③運動特化教室:初級教室よりも運動量・負荷量共にアップさせた教室
④栄養特化教室:低栄養予防のため講座や実践的なワークを行う教室
⑤口腔特化教室:オーラルフレイル予防の講座や口腔体操などを行う教室
⑥認知症特化教室:認知症予防の講座や身体と頭を動かす運動などを行う教室
⑦スマホ特化教室:スマートフォンに関する講座と簡単な運動を組み合わせて行う教室
・実施会場:
-白岡市保健福祉総合センター はぴすしらおか
-白岡市社会福祉協議会を通じて老人クラブ連合会から事業参加の推薦のあった団体・グループの活動施設
・参加対象者:白岡市在住の65歳以上の高齢者
・実施予定:通いの場など4か所に対して年間2回ずつ(計8回)実施
(2)高齢者に対する個別的支援(ハイリスクアプローチ)
・実施内容:
-医療専門職が健康状態不明者や生活習慣病の重症化のおそれがある高齢者に対して、自宅訪問とオンライン面談を組み合わせた相談・支援を実施
-医療専門職がアウトリーチによる支援を行うことで、市民の健康維持・フレイル予防、生活習慣病の重症化予防を図り、健康寿命の延伸につなげる
・実施時期:2024年6月~12月末まで
<自宅訪問とオンライン面談を組み合わせたハイブリット型支援方法のイメージ>
(3)お問い合わせ先
・事業責任者 株式会社エス・エム・エス ヘルスケア事業本部 東亮佑
電話:070-8702-1450/mail:ryosuke-higashi@bm-sms.co.jp
・現場責任者 株式会社エス・エム・エス ヘルスケア事業本部 佐々木裕(理学療法士)
電話:080-7666-0064/mail:yu-sasaki@bm-sms.co.jp
【エス・エム・エスの健康経営ソリューション】
健康保険組合と企業が協力しコラボヘルスで推進する「健康経営」をトータルでサポート。フィジカル面を中心とした保健事業をサポートする「保険者・健康保険組合向けソリューション」と、メンタル面のサポートや職場の健康管理の整備をサポートする「人事・労務向けソリューション」を提供しています。また、自治体向けには各種調査、地域課題の整理・分析や施策の策定、具体的な対策実施までをワンストップで支援する「自治体向けソリューション」を提供しています。当社が保有する医療従事者ネットワークを活用した質の高いサービスをICT/IoTを活用して提供、併せてデータなどの効果検証をワンストップで行うことで、企業・健保・自治体が抱える課題に対応しています。
(1)保険者・健康保険組合向けソリューション
①リモートチャット指導特定保健指導サービスおよびリモートチャット指導重症化予防サービス
生活習慣病予備群や軽度および中度の糖尿病対象者に向けたリモートチャット指導サービス。スマートフォンでのWeb面談後、チャットを通じ、担当の管理栄養士から定期的に指導を受けることができます。専門医監修のもと行うため、通院中や服薬中(※7)の方へのサービス提供も可能です。
②行動療法に特化した禁煙サポート「One to One禁煙指導サービス」
医師監修の禁煙情報の提供と個々の喫煙心理に働きかけるアドバイザー支援で、3か月で卒煙を目指すプログラム。健康経営に役立つ分析レポートの提供も可能です。
(2)人事・労務向けソリューション
)
企業の人事・労務担当者に向けた産業保健業務サポートのトータルパッケージサービス。訪問とリモートを組み合わせ、産業医と産業看護職による2名体制で産業保健業務の支援や、従業員の面談サポートを提供しています。産業看護職にオンラインで気軽な内容の相談ができるため、カラダとココロの不調への早期介入が可能です。
➁従業員の潜在的な不調を可視化する「コンディションサーベイ」
メンタル・フィジカルだけでなくエンゲージメントの把握まで網羅した独自の調査で、従業員の心身の状態把握が可能。実施後は、産業看護職によるアドバイスや従業員への面談サポートも提供しています(※8)。課題の可視化から対応策までワンストップで提供し、離職防止や人材定着につなげます。
(3)自治体向けソリューション
①自治体向け調査・計画策定・予防事業「データを活用した介護・フレイル予防」(URL:
https://lp.kaigo-frailty-yobo.net/
)
高齢者の保健事業と介護予防の一体化に向け、各種調査、地域課題の整理・分析や施策の策定、重症化予防や特定保健指導、介護・フレイル予防教室等具体的な対策実施までをワンストップで支援します。
※1・2:厚生労働省「健康寿命延伸プラン」(
https://www.mhlw.go.jp/stf/shingi2/0000101520_00002.html
)より
※3:厚生労働省「食べて元気にフレイル予防」(
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000089299_00002.html
)より
※4:厚生労働省「2022(令和4)年 国民生活基礎調査の概況」(
https://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/k-tyosa/k-tyosa22/index.html
)より
※5:白岡市「4月1日現在年齢別人口表」(
https://www.city.shiraoka.lg.jp/soshiki/soumubu/shiminka/5/708.html
)より
※6:白岡市「白岡市高齢者福祉計画・第9期介護保険事業計画」(
https://www.city.shiraoka.lg.jp/soshiki/kenkofukushibu/koreikaigoka/oshirase/924.html
)より
※7:症状や服薬数によるサービス制限あり
※8:産業看護職による各種サポートを利用する場合は、リモート産業保健のご契約が必要です
【株式会社エス・エム・エスについて】
2003年創業、2011年東証一部上場、2022年4月より東証の市場区分変更によりプライム市場へ移行。「高齢社会に適した情報インフラを構築することで人々の生活の質を向上し、社会に貢献し続ける」ことをミッションに掲げ、「高齢社会×情報」を切り口にした40以上のサービスを開発・運営しています。
また、当社は優良な健康経営を実践している企業として、経済産業省と日本健康会議が共同で実施する「健康経営優良法人2024(大規模法人部門)」に認定されています。
名称:株式会社エス・エム・エス
所在地:東京都港区芝公園2-11-1住友不動産芝公園タワー
代表者:代表取締役社長 後藤夏樹
会社設立:2003年4月
資本金:25億5,172万円(2024年3月31日現在)
従業員数:連結4,188人、単体2,754人(2024年3月31日現在)
事業内容:高齢社会に求められる領域を、医療・介護/障害福祉・ヘルスケア・シニアライフと捉え、価値提供先であるエンドユーザ・従事者・事業者をつなぐプラットフォームとしての情報インフラを構築し、40以上のサービスを展開