“3daysofdesign”(スリーデイズオブデザイン)。2013年の創設時にはコペンハーゲンの古い倉庫で開催された小さなデザインイベントだったというこのフェスティバルは、今やスカンジナビア最大級のデザインイベントとなりました。我々IL DESIGN(イル デザイン)も、デンマークのデザインファニチャーの”今”を目撃し、直接メーカーの方と交流し、お客様に伝える為、今年2024年6月12日から14日のこのイベントに参加して参りました。
6.9.sun.(イベントの3日前)
羽田空港からScandinavian Airlineにて直行便で13時間半。コペンハーゲン、カストラップ空港に降り立ちました。ここからスムーズな接続で電車で約13分、セントラル・ステーションへ。乗車運賃は30DKK(1クローネ約23.34円=日本円で約700円 ※為替計算は記事を通して2024年7月5日現在のもの。)、チケットの購入方法もわかりやすかったです。(昨年訪れたミラノでのチケット購入方法はかなり難解でした!)電車はミラノと同様、自転車のマークのある車両には指定の箇所にそのまま自転車を乗せられるようになっています。ここからの数日、街を歩きながら見た自転車の数は恐らく東京より多く、デンマークは話に聞いていた以上の自転車王国だということが分かり、電車に乗せるスペースがあるのも納得でした。今回、私たちイルデザインが拠点とした、セントラルステーションから徒歩数分の位置にあるホテルにも貸し自転車が沢山用意されていましたが、私たちは全て徒歩で移動し、この”3daysofdesign”というイベントを歩き巡ることに致しました。
ホテル到着が午後8時近く。しかし街は午後の日差しそのものです。そう、今デンマークは夏の季節。このまま夜10時位まで明るいままで、とても「夜」という感覚はしませんでした。荷物を降ろし、少しだけ外を探索。明るいとはいえもう街中の店が閉まっているのを見て、嗚呼、本当に今は夜なんだ、とやっと理解。そして寒い!日本では半袖に薄い上着を羽織っていた自分は長袖を重ね着してこの日は凌ぎましたが、これでは足りない、と翌日断念し、上着を買い足すことに。滞在期間中、最高18度、朝晩は最低8度。そして港町故か、常に涼しい風が吹いています。Copenhagen City Hall(議事堂)の前の広場まで歩いて来てやっとオレンジの西陽が光りはじめ、そしてこれから数日ずっと傍で癒してくれる存在となる、顔が茶色で翼が灰色、体が白く美しい流線形の”カモメ”達に出会いました。
6.10.mon.(イベントの2日前)
改めて本日は時間をかけて12日からのイベントの中心となる街を探索してみることに。ホテルから程近いチボリ公園の入口には大勢列を成して入場を待ちわびる人々。企業のロゴが大胆にガラスの壁面に並ぶデンマーク産業連盟ビルを見上げながら、City Hallを通り抜けてStroget(ストロイエ)という歩行者天国に足を踏み入れます。基本ずっと石畳の道。趣のある建物、歴史を感じる街並み。配色が美しく、窓ガラスの並び方や屋根の傾斜、尖塔がおとぎ話のようです。と同時に、街中にはよく知った店もいくつか。バーガーキング、H&Mなど。セブンイレブンは特によく見かけましたが日本のコンビニと少し異なり、販売しているのはほぼ飲食物のみ。手作りのサンドイッチなども売っておりとても美味しそうでしたが、物価はほぼ倍。スパークリングウォーター1本25DKK=約580円!
イベント中は様々なブランドとコラボした催しが行なわれる予定のIllums Bolighus(イルムスボリフス)に一足早く訪れてみました。ここはデンマークデザインを一挙に見ることができるインテリアショップ。エスカレーターエリアは4フロアの吹き抜けとなっており、広く立体的な店内を一望できます。家具、雑貨、食器類、服飾類、と一日中見て回っても飽きないほどの品揃えでした。Fritz Hansen, Skagerak, Audo COPENHAGEN, &Tradition, dk3, Fredericia, KASTHALL, Louis Poulsen, MOOOI, Carl Hansen & Son, FLOS, etc…
3daysofdesignはコペンハーゲンの街中に点在する会場を廻っていく形になっている為、あらかじめ場所を地図に入れ込んで来たものの、念のため必ず回りたいブランドの展示場を事前に足で確認しておくことに。ストロイエをしばらく進んで左折すると、より歴史を感じる街並みになっていきます。遠くに見えるRound Tower(ラウンドタワー)が目印、そこを右折するとJ.L.mollers(J.L.モラー)の展示予定会場が見えてきました。準備の進捗は外からは伺い知れない様子。予想ではもうある程度出来上がっている所が垣間見えるのではと思っていましたが、街を廻るうちにわかってきたのは、元々そこに常設のショールームがあるブランド以外は、みな前日・前々日で大急ぎで会場を仕立て上げていくようだ、ということ。会場の予約的にも、予算や業務の予定的にも、一気にタイトなスケジュールで仕上げることになるのでしょう。特設と思われる会場は大体、搬入・組立てなどの真っ最中でした。この光景が見られたこともなかなかに楽しかったです。
街の中心、Kongens Nytorv(コンゲンス・ニュートー広場)に辿り着きました。17世紀にまで遡る歴史があるという石畳の広場で、変形五角形のような形をしています。ここが街の様々なエリアへのハブのような場所となっており、今回の旅で何度も通ることになります。広場から放射状に広がる地域の中で一番賑わいを見せるのは、運河沿いの街、Nyhavn(ニューハウン)。この日は空が晴れ渡り、人々もカモメ達も、大いに港街の空気を謳歌していました。
広場に戻り、今度はニューハウンに対して直角に北北東に伸びる道を直進、イベント初日訪問予定のminiforms(ミニフォームズ)をはじめとする多くのブランドが展示をする建物の場所を確認。やはりここでも各ブランドのブースごとに設置・配置が進行中!といった感じでした。ここは地下鉄の駅Marmorkirkenの近くで、中二階や中地下の小さなお店が立ち並ぶ静かな営みの様子が窺える通りでした。この地区の有名な教会、フレデリック教会はオープンにされており、静かに見学することは許されていたので少しだけ足を踏み入れさせてもらいました。イベントの期間でもきっとここは日常と同じように静かに、祈りを捧げる人が集まるのでしょう。古く厳かな建物とゆっくりとした日常が共存する街、それと、400以上のブランドが集まるデザインイベントとの共存、一体どのような光景になるのか想像しながら歩きました。
6.11.tue.(イベント前日)
イベント前日の今日、Design Museum Danmark(デザインミュージアム・デンマーク)に一足先に訪れました。入場料は130DKK(約3000円)。20世紀のデンマークデザインに関する新しい常設展示として、”DANISH MODERN”という展示をしていました。Ole Wanscher、Mogens Koch、Hans J. Wegner、Borge Mogensen、Finn Juhl、Arne Jacobsen、Louis Poulsen…。彼らが築き上げた1920年代から1970年代までのデンマークデザインの歴史や象徴的なデンマークデザインオブジェクトに焦点を当てた、世界に名を馳せる「北欧家具」というものの完全保存版!といった展示でした。
また同時に、日本の木版画のコレクションや、可愛らしいキャラクターで有名なスーパーマーケットチェーンIRMA(イヤマ)のデザインストーリーを辿る展示会も催されており、ほっこりとするひとときでした。会場の入り口のカフェや中庭では、明日からの3daysofdesign中の展示を目前に、既にWild Studio Cph(ワイルドスタジオコペンハーゲン)のPlastic Wasteから作られた超軽量のスツール、ローテーブルが並び、パステルカラーが緑に映えていました。ここで行われる展示”Circular Furniture Days”には他にもmater、そしてFredericiaもSheworksとのコラボで参加。リサイクルから更に一歩進んで、廃棄物が発生しないような設計をするところから始まるサーキュラーエコノミー(循環経済)を念頭に活動している企業達が展示準備を進めていました。
ミュージアムから出て、ニューハウン近くの、J.L.mollers(J.L.モラー)の椅子を使用しているというレストランANTONへ。撮影許可もいただき、素晴らしい眺めを収めてきました。こちらで使われている椅子はModel62。弊社イルデザインでも展示中のModel78の、アームありのバージョンです。座りやすく疲れず、きめ細やかなフレームで、改めて最高品質であることを再確認。テーブルに飾られていたのはAudo Copenhagen(オドー・コペンハーゲン)のポータブルランプ、Torsoのルビー色バージョンで、レストランの内観と完全にマッチしていました。
この日から天気予報は雨…!しかしどうやらこの土地の雨はスコールのような感じで、少し降っても割とすぐ止む傾向あり。傘を差さない人も多かったです。そして止むとすぐ光が射すのが心地よかったです。
夕方、TIVOLI(チボリ公園)に入園。19世紀に開園したという遊園地は非常に深い味わいのあるテーマパークでした。まるで映画の中の光景のように、子供たちが時を忘れて遊んでいる遊具のコーナーから、ゆったりとした時間の流れるレストラン・カフェ、芝生のスペース、そして大きなライブステージ。建物はどれも歴史が深く重ねられ、深い色合い、佇まいが美しかったです。
6.12.wed
.(イベント初日、day#1)
ついに3daysofdesignの3日間の幕開けです。
まずは、弊社が正規輸入販売代理店を務めるJ.L.mollers(J.L.モラー)の会場に到着。2日前の準備中だった様子は一転して完全に仕上がっており、創業80周年を祝して1951年から1981年にかけて創業者Niels Otto Moller(ニールス O. モラー)がデザインした独占コレクションすべてが一脚一脚、丸い小さなステージ上に綺麗に並べられていました。
この日の朝一番に私たちは前CEOのJorgen Moller(ヨルゲン・モラー)さんと面談の予約をしていました。30年前に建築家・槇文彦氏が設計し、J.L.mollersのModel 404チェアが400脚納められた教会の方から椅子の補修について相談を請け負っていた為で、Jorgenさんはこのチェアのデザイナーでもある方です。早速ご本人と、娘婿さんのMikkelさんが迎え入れてくださり、直接補修について具体的なお話をお聞きすることが出来たのは非常に有意義な時間でした。こちらについてはいずれpick upして改めてお伝えしたいと思います。Jorgenさんの娘さんである現CEOのKirsten Moller(キーステン・モラー)さんともご挨拶出来、今後もより強く丁寧なパートナーシップを築いていける感覚を共有することの出来る訪問の時間となりました。
会場を出て、本日も王立劇場前の広場を通り次の目的地へ向かいます。途中でBolia(ボリア)のショールームを発見し見学。白いファブリックとオーク材の無垢な色に統一された、清潔感溢れるスペース。昨日イルムスで拝見したCH&Sのソファとも共通する、側面にペーパーコードが張られているキャビネットを発見、昨今のトレンドかもしれません。入口にはアウトドアセットが並びます。そういえばこちらにきて既に沢山のポータブルランプを発見しています。持ち運びしやすく可愛らしくデザインも豊かなものがいくつもありました。
次に訪問したのは昨年ミラノサローネで直接商談することが出来た、同じく弊社が正規輸入販売代理店を務めるイタリア・ヴェネツィアのブランド、miniforms(ミニフォームズ)です。早速先方のCEO、Alessandro(アレッサンドロ)さんと再会でき、新作のテーブル”Nami”と、こちらも新作のチェア”Nebula Monaca”のカラフルなダイニングセットに腰かけて商談が始まりました。弊社代表からお客様のご要望の内容をお伝えして直接相談をしたり、新作の家具をいち早く手で触れ、座り心地を試したり出来るのは展示会に来てこそのメリットです。CEO Alessandroさんから人気作”SODA(ソーダ)”のイラストが描かれた超ポップなトートバッグやTシャツをいただいたり、弊社で作成した日本語版パンフレットをお渡ししたりも出来、和やかな会談を終えました。
予想通り大勢の来訪者で大いに賑わっていたこの会場は、他にも何十ものブランドが3フロアに渡る展示を展開しており、他にもAYTM(アイテム), &DRAPE(&ドレープ), Kristina Dam Studio(クリスティーナ・ダム・スタジオ), Form & Refine(フォーム&リファイン)などの作品を見ながら進みました。近くにはMass Productions(マスプロダクションズ), Karakter(カラクター)などの個性的な展示も見られました。
イベント3日前からイベント初日までの参加レポート<前編>をお送り致しました。お読みいただき誠にありがとうございます!次はイベントの2日目と最終日、数々の素晴らしいメーカーの訪問レポートをお送りする予定です。是非、またお読みくだされば幸いです。
★お問い合わせ先:
株式会社IL DESIGN(イル デザイン)
フリーダイヤル:
0120-267-286 (10:00~12:00 13:00~18:00)(土・日・祝除く)
メールアドレス:
info@il-design.co.jp
オフィシャルサイト:
ショッピングサイト:
https://www.shop.italia-kagu.com/
株式会社IL DESIGN(イル デザイン)とは―
IL DESIGN(イル デザイン)は、J.L.Mollers、miniforms、Cattelan Italia、Cassina、B&B、Poltrona Frau、de Sedeをはじめとする、デンマーク、イタリアをはじめとするヨーロッパブランド家具を、メーカーより直輸入、または現地・国内正規代理店を通して販売致しております。内外価格差を無くし現地販売価格に出来るだけ近いお求めやすい価格でご提供することで、”輸入品が高い”というイメージを打破する努力をしております。また、納品も可能な限り販売担当者自らが手渡しでお納めに伺う責任納品を実行。オンラインサイト、並びに東京デザインセンター6Fの弊社プレゼンテーションプレイスにてご相談申し上げております。