公益社団法人日本グラフィックデザイン協会/JAGDA(会長:永井一史)は、1983年より毎年、広島国際文化財団、ヒロシマ平和創造基金とともに、言葉を超えて“ヒロシマの心”を訴えるポスターを制作し、国内外に向けて平和を呼びかけるキャンペーン「ヒロシマ・アピールズ」を実施しています。JAGDAを代表するデザイナー1名がボランティアで制作しています。
この度、 JAGDA東京会員・副田高行(そえだ・たかゆき)氏による2024年版のポスターが完成し、本日7月12日、広島市役所にて副田氏より松井一實 広島市長へ贈呈され、販売・展示をスタートしましたので、ご案内いたします。
■販売情報
価格:1枚1,100円(税込)
販売場所:
広島県/広島平和記念資料館(原爆資料館)、広島市平和記念公園レストハウス、広島市現代美術館
東京都/JAGDA事務局(東京ミッドタウン・デザインハブ内)
オンライン/JAGDAオンラインショップ
https://shop.jagda.or.jp
■展示情報
7月12日(金)〜8月25日(日) 「日本のグラフィックデザイン2024」展
*年鑑『Graphic Design in Japan 2024』入選作品の展覧会場にて、本ポスターおよび第1回「ヒロシマ・アピールズ」ポスター(亀倉雄策/1983年)を展示(会場:東京ミッドタウン・デザインハブ)
7月29日(月)~8月11日(日)
広島市内のバス停23ヶ所に、本ポスターのデザインを掲示(協力:エムシードゥコー株式会社)
8月25日(日)~8月30日(金)「ヒロシマ平和ポスター展 2024」
*これまでの「ヒロシマ・アピールズ」ポスター作品、JAGDA広島・長崎・沖縄地区会員の作品、「広島平和ポスター学生コンペティション」選出作品とともに展示(会場:旧日本銀行広島支店)
■副田高行氏による制作コメント
戦後五年たって生まれた私には、とうぜん戦争の実感はとぼしい。戦後の空気はのこっていたが、毎年くりかえされる報道で、戦争のむごさや平和のたいせつさを感じていた。世界では、いまだに戦争がつづいている。人類は、いつまであやまちをくりかえすのだろうか。
「ヒロシマ・アピールズ」の指名があり、どうしたものかとしばらくは呆然としていた。ポスター一枚で、原爆のおそろしさ、平和、戦争反対をとなえることは、とてもたいへんな作業だとおもう。そんなこと自分にできるのか。私はふだん広告制作を生業としている。だから、デザイナーが頭のなかで描くイメージではなく、もっとリアリティのある表現はできないかと考えた。
当時の資料をしらべていくなかで、『ひろしま』という石内都さんの写真集にいきあたった。それは、出版社から依頼され、広島平和記念資料館・遺族同意のうえで撮影されたものだった。なかでも私の目をひいたのは、被爆者がその日身につけていた衣服だった。それはもちろんちぎれ、やぶれている。石内さんの解説によると、おおきなライトボックスの上において撮ったそうだ。その逆光の効果もあってか、不謹慎かもしれないが、悲惨さと同時にうつくしいとおもった。生なましさは消えて、おそろしいその瞬間をみごとに、象徴的に写しとっていると感じた。これなら、原爆のおそろしさを直截ではなく、シンボリックにつたえられるとおもった。この遺品は訴える。「あのできごとを、忘れるな」ということを。
石内さんの了解をえて、そのなかの一枚でポスターをつくった。現在でも遺族がたいせつに保管していた遺品が、毎年寄贈されるという。石内さんは、その後も毎年広島にいって撮影を行なっているそうだ。
(Photograph: Ishiuchi Miyako
『ひろしま』hiroshima #71 Donor: Hatamura, T.
)
■副田高行氏プロフィール
1950年福岡県生まれ。東京都立工芸高校デザイン科卒。スタンダード通信社、サン・アド、仲畑広告制作所を経て1995年副田デザイン制作所設立。サントリー、新潮社、西武百貨店、東京ガス、TOTO、岩田屋、JR九州、シャープ、ANA、トヨタ、トンボ鉛筆、フジフイルム、AGF、朝日新聞社、NIKE、日本医師会、高橋酒造、岩波書店、NHK、JRA、野村ホールディングス、五島の椿、アンデルセン、earth music&ecology、宝島社などの広告を制作。ADC賞、ADC会員賞、朝日広告賞、毎日広告デザイン賞、日経広告賞、日本宣伝賞山名賞など受賞。著書に『副田高行の仕事と周辺』(六耀社)、ggg Books『副田高行』(トランスアート)、 『副田デザイン制作所仕事集』(美術出版社)、『副田高行がつくった新聞広告100選』(玄光社)がある。
JAGDA広島地区サイト
http://hiroshima.jagda.or.jp/
*More details in English
https://www.jagda.or.jp/en/news/8264
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