京都で美術商を営む古美術鐘ヶ江(Gallery:京都府京都市)と、IoTクリエ―ターの育成やスタートアップ事業を支援する株式会社クロステック・マネジメント(本社:京都府京都市/代表取締役:北村誠)は、工芸の次のすがたを実現させる運動“KOGEI Next”を推進しています。
日本の芸能の歴史は、雅楽から能楽、歌舞伎へと変遷をたどりますが、どれもが現在まで昔のままの形を残しており、世界的にも珍しい芸能・神事といえます。そしてその根幹には音楽があり、常に和楽器により奏でられてきました。日本の歴史や文化そのものであり、独自の響きを持つ和楽器の魅力を世界中の人々へ届けるために、和の響き@KOGEI Next第2弾のプロジェクトが、本日「海の日」からスタートします。
プロジェクト第2弾のテーマは沖縄を代表する楽器である「三線(さんしん)」。中国から琉球へ渡来した三線は、三味線をはじめとした日本の和楽器のルーツと言われています。今回は、沖縄県の三線職人と、能登半島地震により甚大な被害を受けながらも創作活動を再開させた輪島の漆芸集団「彦十蒔絵」が、<白化サンゴ(注1)>を塗料・装飾の一部に使用した世界にひとつだけの三線(注2)を制作するプロジェクトです。
本プロジェクトは、伝統工芸とサンゴ礁保護活動の融合を通じて日本の文化と自然の重要性を広く伝えることを目的としており、三線制作に使用するサンゴは、サンゴ植付けの種苗育成のために陸上養殖しているサンゴのうち白化などで、回復が見込めなくなったものを活用する事で環境への配慮と資源の有効利用を両立させたいと考えています。
沖縄も含めた世界各地の海では、現在サンゴ礁生態系の劣化が進行しつつあります。その原因は、人為起源の大気二酸化炭素の増加に伴う海水温上昇およびそれに伴うサンゴの白化現象(注3)、陸域からの赤土の流入や栄養塩の流入など、多くは人為起源によるものです。
この状態が続くとサンゴ礁生態系が崩壊してしまうかもしれません。
また、沖縄の音楽になくてはならない楽器に三線があります。三線も伝統的な材料が手に入らなくなったり、演奏者の減少による需要の減少で、伝統的な技術の継承が危機を迎えています。
そこで「沖縄の海」と「沖縄の伝統楽器」が危機的状況にあることをできるだけ多くの方に知っていただくために、和の響き@KOGEI Nextを中心として、この想いに賛同する団体が集まりプロジェクトをスタートさせます。
白化サンゴを原材料とした世界にひとつだけの三線を制作することで、沖縄の文化や自然、日本の伝統工芸が抱える課題について発信したいと考えています。
尚、本プロジェクトを通じて一人でも多くの方々と一緒に考え、そして課題解決に向けて行動する仲間を募るために、8/1(木)よりクラウドファンディングもスタートさせます。
クラウドファンディングの詳細は、和の響き公式X(
https://x.com/wanohibiki2024?s=21)にて随時発信します。
完成した三線は環境問題や伝統楽器・伝統工芸に関するイベントなどで展示・演奏に使用します。
注1. 本リリース内では、サンゴ植付けの種苗育成のために陸上養殖している過程で白化し、回復が見込めなくなったサンゴ骨格のことを<白化サンゴ>と記載しています。
注2.全国邦楽器組合連合会・沖縄県三線製作事業協同組合調べ
注3.サンゴの白化現象とは、高水温ストレスなどによってサンゴの体内に共生していた褐虫藻が消化もしくは体外に排出され、白い炭酸カルシウムのサンゴ骨格が透けて見える状態のことを言います。
サンゴは体内に共生している褐虫藻の光合成によって生きるためのエネルギー多くを享受していますが、この白化現象が長く続くとエネルギーを得られずに死んでしまいます。水温が低下し高水温ストレスが緩和すると回復することもありますが、近年の地球温暖化に伴い高水温ストレス状態が長く続くことで大規模なサンゴの死滅が度々起こり、大きな問題となっています。
■沖縄県三線製作事業協同組合について
沖縄の芸能文化の中心的存在として今日まで脈々と受け継がれてきた三線。しかし、三線製作界は職人の高齢化や後継者不足、原材料の枯渇などが問題になっています。当組合は、これらの問題を解決するために三線の展示、演奏体験を通した情報発信や、後継者育成事業などに取り組んでいます。
URL :
■漆芸集団「彦十蒔絵」について
若宮隆志が主宰する漆芸の職人集団。古典的な技術を研究するとともに新しい技術の開発にも積極的に取り組んでいます。かざり、あそび、ユーモアなどを踏まえた古くて新しい意匠の作品により、伝統的な漆芸の世界を復興するための活動を行っています。
URL :
https://hikoju-makie.com/
■日本サンゴ礁学会について
サンゴ礁研究の発展と学際的知識の進歩およびその普及を図ることを目的に1997年に設立され、サンゴやサンゴ礁に関心のある異分野の人々が参加することのできる数少ない学会です。大学、研究機関の研究者だけでなく、民間企業、官庁、財団、NGO、ダイバーなど、サンゴやサンゴの棲んでいる環境に関心のあるすべての方々に開かれた学会を目指しています。
URL :
https://www.jcrs.jp/
■沖電開発株式会社について
陸上にある養殖場でサンゴを養殖し、海へ植付ける活動を2009年から行っています。
きっかけは、一年を通して温度が一定で、清浄性の高い”地下浸透海水”を発見したことでした。
本プロジェクトでは、サンゴの植付と半年後、一年後のモニタリングを実施いたします。
皆様とともにサンゴについて知り、ともに成長を見守ることを楽しみにしています!
URL :
https://www.okikai.co.jp/environmental.php
Instagram :
https://www.instagram.com/sango_yosyoku_okikai/
■全国邦楽器組合連合会
一般社団法人全国邦楽器組合連合会は、全国の邦楽器にかかわる製造業、卸業、小売業で構成する全国18の組合からなる連合組織。邦楽器関連企業及び邦楽の健全たる発展を支援し、社会的地位向上に貢献し、豊かな社会作りに寄与することを目的としております。 業界唯一の全国組織としてのネットワークを活かした活動をすると共に、行政に対しても提言を行い邦楽器の普及拡大推進に努めています。
URL :
https://zenhouren.jp/
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京都女子大学 生活造形学科 前崎ゼミ
京都女子大学生活造形学科では多彩なデザイン活動を行っています。本プロジェクトでは、KOGEI Nextのアドバイザーであり、工芸文化史が専門の京都女子大学生活造形学科教授 前崎信也と、前崎ゼミでデザインとアートマネジメントを学ぶ大学生がクラウドファンディングの運営、SNSでの広報等をサポートします。
■和の響きプロジェクトについて
”和“の響き。それは、日本人が受け継いできた技術と、その時代を生きた人々の流行、そして日本の気候・風土の結合によって生まれた、日本独自の響きといえます。
和楽器だけではなく、「和」と名の付く様々な日本の文化が生み出す”響き”を入口に、日本文化や伝統工芸の魅力を再発見し、それを日本だけでなく海外にも、幅広く届けるプロジェクトです。
・X(Twitter) :
https://x.com/wanohibiki2024?s=21
■KOGEI Nextについて
100 年後、現代の工芸が古美術品となった時、令和の空気を伝えられる作品とはどのような作品でしょうか?
KOGEI Next は、工芸作家とこれまで関わりの薄かった現代社会が重なることで生まれる作品や活動、
自然環境や社会課題との関わりを通じて、モノとしてだけではない新たな価値を持った工芸の次のすがたを実現させる運動です。
主 催 : KANEGAE、株式会社クロステック・マネジメント
協 賛 : 株式会社ゴールドウイン
パートナー : 京都芸術大学、京都女子大学、一般社団法人アートハブ・アソシエーション、ArtSticker、
ONBEAT、画箋堂、計数技研、Think & Craft、startbahn、DESIGNART TOKYO、和の響き
アドバイザー : 山下裕二(美術史家、美術評論家)
広瀬麻美(浅野研究所・代表取締役)
前﨑信也(京都女子大学・教授、工芸史家)
・URL :
https://kogei-next.jp/
・YOUTUBE :
https://www.youtube.com/@kogeinext8128/videos
・Instagram :
https://www.instagram.com/kogeinext/
■KANEGAEについて
京都大徳寺総門(京都市北区)正面でギャラリーを運営。
時代屏風、近代美術工芸品、彫刻などを中心に現代美術まで多岐の分野を取り扱っています。
現代の工芸家たちと100年、200年先に古美術作品となった時に、真に誇れる作品を作ろうというプロジェクト
『Japanese Sculpture Next 100 years project』にも取り組んでいます。
URL :
https://japanese-sculpture.com/
■株式会社クロステック・マネジメントについて
デザイン×テクノロジーにより様々なビジネスプロタイピングを推進。
住 所:〒606-8271 京都府京都市左京区北白川瓜生山2番地116号(京都芸術大学内)
出資社:学校法人瓜生山学園/株式会社オレンジ・アンド・パートナーズ/株式会社ABBALab/株式会社電通
URL :
http://xtech-m.co.jp/