兵庫県川西市では6月25日、市立多田小学校近くにあるこんにゃく橋付近(川西市矢問3)の猪名川河岸で、多田漁業協同組合主催で多田小学校3年生の児童たちがアユの稚魚を放流しました。
これは、かつてはアユやウナギが生育していた猪名川で、再び当時のような環境を取り戻したいという思いから多田漁業協同組合の創立当初から行われているもので、9年前から小学生による放流を始めました。地域の多田小学校区コミュニティ推進協議会や多田小学校地域学校協働本部、PTAの人たちも協力しながら行っています。同組合では、13年前からウナギの稚魚の放流も実施しています。
この日、主催である多田漁業協同組合 組合長の加藤仁哉さん(かとう よしや、65歳)が、多田小学校(川西市多田院1)で県が実施する環境体験学習の一環として、3年生の児童82人に猪名川の歴史のほかアユやウナギの生態について写真や図を示しながら紹介したあと、猪名川に移動し、多田幼稚園園児19人と合流。揖保川漁業協同組合から送られてきた10㌢程度のアユの稚魚約50㌔㌘約5,000匹を、それぞれのバケツに入れてもらった子どもたちは普段触ることのない生きた魚に戸惑いつつも、はしゃぎながら放流しました。
アユは稚魚で放流した後、上流へと遡上。夏ごろには成魚になり、やがて産卵のために下ってくるといいます。子どもたちは手でアユをつかんで放流するなどした後、小さな稚魚が元気に育つよう願いながら、周辺のごみ拾いなど河川の清掃も行いました。
猪名川水系では、多田漁業協同組合のほか猪名川上流漁業協同組合、猪名川漁業協同組合、藻川漁業協同組合の合計4組合により猪名川水系漁業協同組合連合会が組織され、それぞれアユやマスなどの放流を行っています。
加藤さんは「最近の子どもたちは生きた魚に触れる機会が減っています。この猪名川での活動は、子どもたちが地域の生き物と触れ合い、命の大切さや自然の尊さを学ぶ貴重な機会となったと思いますし、この経験が子どもたちの心に深い印象を残し、これからの成長につながることを願っています。今後もこのような活動を継続することで様々な取り組みが広がっていくことを期待しています」などと話していました。