初の試みである「BLACK SONIC」は、なんと昼夜2公演。層厚く轟くバンドの音とシンガーの骨太なボーカルが再び福岡の街を熱くすることに。会場の照明が消え、銃声とサイレンの音。会場は一気に物騒な街の一角へと姿を変え、「ブラックスター」に登場する各チームのメンバーが映像で次々に紹介されると、フロアにはサイリウムの光が揺れた。唸りをあげるギターが疾走するビートと共に鳴り響く「Outsider BLACK SONIC ver」で横一線に並んだ8人のシンガーたちが声をあげる。ケイが、ヒースが、吉野が、リンドウが、マイカが、柘榴が、夜光が、青桐がステージに居並び、歌い上げる姿が浮かんでくる「夜もしっかり救国してやるからな!ついて来いよ!」と声をあげたチームKのケイのシンガー・藤田玲の歌う「During the demise」に黄色いペンライトがステージへと向かって波打つように揺れると、ビートを刻むように吉野のシンガー・齋藤知輝がステージの上段に登場すれば、そんな彼を指し示すようにピンクのライトが向けられた。フロアに背を向けた藤田が両手を広げて光を浴びる。その光が落とされるとスクリーンに「日蝕」の文字。ステージ上段に現れたチームBのヒースのMC・Takuya IDEが「福岡全員、皆殺しだ!」と叫ぶとフロアの光は緑色に染められる。ドラムの強いアタックで生み出されるビートと歌うように鳴るベースの旋律とが饒舌にラップを支え、ギターの音色がヒースのラップを表情豊かに彩る。と、殺伐としたフロアの空気をたった一節で変えてしまったのはチームPのマイカのシンガー・Kradness。マイカの艶と勢いのあるボーカルの情感豊かな様を感じさせた「虹の彼方へ」にピンクのペンライトの光が風のように舞い踊った。虹を見上げていたフロアは夜明けの静けさの中へと連れだされる。「さぁ、福岡夜の部、まだまだ盛り上がっていきましょう!」と声をあげたチームCの柘榴の歌声を担うしゃけみーが花をひらひらと舞わせるように腕を揺らすと紫に染められたフロアはまさに「Purple Dawn」の名のままに深淵の夜明けの色を帯びた。
最初のMCを担ったのはあじっことKradnessというチームPコンビ。「今日はお昼の部もそうだったんですけど、みなさんのエネルギーがすごく高ぶっていて、僕らもすごくパワーをもらっています」というあじっこ。「今もしゃけみーさんが『Purple Dawn』をバンドアレンジで歌ってくれましたが、バンドが入るだけでこんなに迫力が生まれて、新しいアレンジで聴けることが今回のBLACK SONICの魅力だと思います」とKradness。今回はシンガーとバンドでの生パフォーマンスで魅せる新形態のライブツアー。リニューアル後のスターレスの各チームの代表曲を聴かせる序盤の感想を語らう2人。もともとはリニューアル前にチームWにいたメンバーが新たな挑戦をしたい、と飛び出して結成されたのがチームPだったが、この5年のあいだに紆余曲折があった。そんなチームPの曲をバンドアレンジで聴かせる、と言うとスクリーンにリンドウ、マイカ、メノウ、真珠、ネコメの姿と大きなPの文字が浮かびあがる。ドラムのカウントと共にダンサブルな「僕のすべてを君に捧げる」が響きだし、リンドウのシンガー・あじっことKradnessの追いかけのボーカルでヒリヒリとした緊張感のある一曲をダイナミックに歌い上げた2人。これがバンドの音によって高ぶるボーカルか。続いたのはケイとリコの主演混成チームの対決曲となった「aka,aka」だ。「ジャンヌダルク」の物語をベースに作られたSide Aの公演曲だ。軽快なギターの上を軽やかに駆けるナンバーをKradnessがスタンドマイクで歌い上げた。ラップのバースパートではビートに合わせてピンクのライトが揺れた。そんなSide Aでマイカと共に戦ったケイの歌う「Crazy for」が続く。「福岡の夜にすべて委ねようぜー!」と声をあげた瞬間、フロアの光はピンクから黄色へと変貌を遂げていた。一気にチームKのカラーに染め上げた藤田のボーカルがパワフルに響く。ステージ上段にKradnessとあじっこが登場。「はつ恋」は都会的な静けさと情熱とのコントラストのあるダンスチューン。リンドウとマイカのユニゾンがカラフルに響く。スクリーンに映し出されるリリックが、フロアの雰囲気を作っていく。どこかスターレスの店内でステージを見ているような感覚になるパフォーマンスだった。フロアの空気をばっさりと切るように鋭い音が轟いたのはチームBの「極夜」だ。攻撃的なラップで言葉が降り注ぐ。圧倒されるほどのドラムのリズムが全身を震撼させるようだ。アーバンなダンスビートがフロアへと広がっていくとステージはチームCの「暁の願い」へ。「オイ!」と客席を煽り、クラップを求めるしゃけみー。オーディエンスと一体となって楽曲を紡いでいくと観客はそのアクションに応えた。
MCで登場したのは藤田、しゃけみー、IDEの3人。「僕はグッズのことを知りたい!」と言う藤田。ここでグッズ紹介へ。バケハがキャストには人気な様子で、昼の部ではIDEが、この夜の部では藤田がかぶった。楽しく3人でのグッズ紹介を終えると、IDEが歌う「綺羅星」からライブは再開。ノスタルジックな雰囲気あるトラックはギターの音でより叙情感を増す。続いたのはチームPの「Luminous Snow」。オスカー・ワイルドの「幸福な王子」をモチーフにした一曲を歌い上げるあじっこ。切なさがドラマティックなサウンドに滲むナンバーは掻き鳴らされるギターの旋律によってエモーショナルに響き、青い光が曲の世界観をより深いものへと変えていった。そんな曲のあとにはもう一曲あじっこが歌い上げる「BELOVED」だ。アンプロワーズ・トマによるオペラ「ミニョン」を原典にした一曲は優しく鳴る音と波打ち際に打ち寄せるような柔らかな音が印象的なラブソングだ。檻に閉じ込められるような格子状のライトの下で歌う齋藤が響かせるチームKの「闇に咲く」は吉野の覚悟を感じさせる一曲。誰のために歌うの、と問いかける声に切実に滲む彼の想いを齋藤が見事に表現した。「眠れる森の美女」をモチーフにした「PRISMATIC TEAR」を歌う松本。スターレスを襲った事態の中で混乱したキャストたちが深い森の中に迷いこんだようなナンバーのあとには、航海へと出るネモ船長の想いが宿る「WORLDS APART」が響く。どちらも表情豊かな歌声の持ち主であるケイと夜光、藤田と松本。轟く低音と艶ある高音とのユニゾンが会場を駆け巡った。ステージが暗闇に包まれる。青い光が揺れ動く中、ドラムにスポットがあたり、叩き出されるビートから力強いマーチングビート。紡がれたのは「LEVITATE」だ。ケイの情感たっぷりな歌を表現する藤田。言葉を一つひとつ、オーディエンスにぶつけるように歌い上げるけれど、それはとても愛深い言葉たち。二都物語を原典とした一曲ながら、強い想いが宿り、ケイを象っていくような一曲だ。ゲームのプレイヤーである主人公と近しい存在であるケイが歌い上げた直後、照明が影を落とし、次の瞬間にステージに立っていたのはIDE。同じく主人公の傍らにいる存在であるヒースが歌う「人間失格」は、ギターの音が感情をほぐしていくように響く中、情緒の動くままに言葉を乗せるIDEが印象的だ。「踊り狂う準備はいいか、福岡」と煽る声をあげ、ステージに登場したのはSHIN。ブラスタの新キャストである青桐のシンガーであるSHINが歌うのは「VAPORIZE」だ。チームCの曲ながら、これまでの柘榴が作り上げたイメージからよりアグレッシヴに、肉感的なサウンドをラウドに攻撃的に放てば、ペンライトも激しく揺れる。デザイナー志望としてスターレスにやってきた舞踏派デザイナーの青桐の歌声は鋭い感情が乗り、これまでスターレスにいたどのシンガーとも違う声。今後彼がどんな歌を放っていくのか楽しみでならない。そんな一曲のあとにはチームKが温泉地で開催した公演の一曲「FORT/TUDE」。「川中島の戦い」をモチーフに夜光が力強いビートと共に歌い上げるナンバーをステージ上段で歌う松本の元へと階段をあがっていくベースとギター。その2人を率いて武将さながらに腹の座ったボーカルを響かせた松本のステージングからバトンを受け取ったのは吉野こと齋藤とマイカことKradness。シーズン5最終章「Owner’s Order」で店を二分した戦いで歌われた「失楽園」をテーマとした一曲「Ur-Fall」。重々しいイントロからマイカの雄々しさが出たボーカルと吉野のアグアグレッシブ全面に出るボーカルが絡み合う、斬新な印象のある一曲を生バンドの演奏による圧倒的なパワー感あるサウンドで響かせた。
MCの時間となったステージに出てきたのは齋藤、松本、SHINの3人。センターに立つ齋藤は「もうちょっと寄って」と2人に近づくように言う。「バンド、いいね」って松本。「この3人はバンドマンだね」と言うと「確かに!」と意見が合う。そしてシンガーがステージに揃い「BLACKSTAR BLACK SONIC ver」。この日のライブでしか聴けないバージョンということで、小林による歌いだしのパートをKradnessの低いボーカルで聴けるというのは新鮮だった。さすがチームPを主軸にした構成でのライブだ。観客はそれぞれの推しの色をペンライトに灯し、大きく振り、カラフルに彩られたフロアにバンドの音が押し寄せる。「本編最後の曲です」と藤田が告げ、「ego」へ。すべてのシンガーが歌うこの曲。その声の音像で既にパワー感のある一曲が、バンドの音を得たことでより強力となり、勢いを加速していく。ここでもまた晶パートを歌うマイカ、というバージョンで聴け、ファンにとっても楽曲の新たな表情を楽しめ、ライブならではの空間は熱い時間となった。
アンコールの声に導かれたルーレットで止まった目はチームB。6月末の公演となったこの日に、6月初旬に実装された「Armageddon」を生のライブで響かせるとあって、観客から歓声が沸く。フリードリヒ・フォン・シラーによる戯曲「メッシーナの花嫁」を原典とした公演曲は兄を恨む弟の想いが宿る一曲。ドラマあるトラックから叩き込まれるリリックが刺さる。「BLACK SONICアンコール、ありがとうございます!」とIDEがステージを去ると、続いたのは藤田。「ほやほやの新曲です。声を聴かせて!」と言うとシーズン5最終章の公演曲「Behind the Ruins」を歌い上げる。ワーグナーのオペラ「ローエングリン」を原典とした公演はシーズン1第1章「During the demise」と同じだ。物語をよみがえらせながらストリングスの音色と藤田の歌声に聴き入ったオーディエンス。それぞれがこの日の感想を伝えると、ラストは会場一体となって歌い上げる「Just a Loser」。バンドの音が福岡の街にブラックスターを刻み付けた。
これがはじまりとなったBLACK SONIC。ゲーム中の楽曲をオケでのライブで、ダンサーを含む公演の再現で、と見せてきたブラスタの新たなライブの形がついに幕を開けた。ここから最終日まで駆け抜けるライブは、最後の公演でどのように開花するのか。期待したい。
TEXT BY えびさわなち
▼出演者
藤田玲(ケイ Singer)
齋藤知輝(Academic BANANA) (吉野 Singer)
松本明人(夜光 Singer)
あじっこ(リンドウ Singer)
Kradness(マイカ Singer)
Takuya IDE(ヒース MC)
しゃけみー(柘榴 Singer)
SHIN(青桐 Singer)
▼Band
Guitar. wata harikemu (バンドハラスメント)
Bass. 肥田野剛士 (Mellow Youth)
Drums. 斉本佳朗 (バンドハラスメント)
▼STAFF
総合演出:Shin.1
制作:株式会社ニライカ
主催:株式会社DONUTS
BLACK SONIC –Day1- / Zepp Fukuoka / 2024.06.29夜公演 セットリスト
01. Outsider BLACK SONIC ver
02. During the demise
03. 日蝕
04. 虹の彼方へ
05. Purple Dawn
06. 僕のすべてを君に捧げる
07. aka,aka
08. Crazy for
09. はつ恋
10. 極夜
11. 暁の願い
12. 綺羅星
13. Luminous Snow
14. BELOVED
15. 闇に咲く
16. PRISMATIC TEAR
17. WORLDS APART
18. LEVITATE
19. 人間失格
20. VAPORIZE
21. FORT/TUBE
22. Ur-Fall
23. BLACKSTAR BLACK SONIC ver
24. ego
EN1. Armageddon
EN2. Behind the Ruins
EN3. Just a Loser
▼オンラインチケット&現地チケット発売中!
・ミクチャ
・ぴあ
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◆ゲームアプリ情報
タイトル ブラックスター -Theater Starless-
配信形式 スマートフォン(iOS/Android)
ジャンル ワルメン応援&リズムゲーム
配信開始 配信中
著作権表記 © DONUTS Co. Ltd. All Rights Reserved.
公式サイト
https://blackstar-ts.jp
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■株式会社DONUTS 概要
所在地 :東京都渋谷区代々木2-2-1 小田急サザンタワー8階
代表者 :代表取締役 西村啓成
設立 :2007年2月5日
事業内容 :クラウドサービス事業、ゲーム事業、動画・ライブ配信事業、医療事業、
出版メディア事業
企業サイト :
https://www.donuts.ne.jp/