産業で利用される熱の脱炭素化を目指し、独自の熱貯蔵システムを開発する株式会社Blossom Energy(本社:東京都港区、代表取締役CEO:濱本真平、以下「Blossom Energy」)は、熱エネルギー貯蔵技術の1つの応用例である蓄熱式ボイラコンセプトモデルの公開イベントを都内にて開催しました。
HP:
https://www.blossom-energy.biz/
採用ページ:
https://herp.careers/v1/blossom
熱の脱炭素化と蓄熱技術の世界的注目度について
再生可能エネルギーを増やして化石燃料の消費を減らすという長期的な計画にとって、エネルギー貯蔵技術が重要であることは間違いありません。
しかし現在、世界の一次エネルギー消費量のうち8割以上を化石燃料が占めており、世界的に化石燃料への依存度が高い状態となっています。世界の化石燃料消費量は年々増加しており*1、依然としてエネルギー消費全体で最も大きなシェアを取り続けるとみられています。
また化石燃料の約6割が、鉄鋼金属業界、化学石油業界、製紙業界、食品飲料業界などの製造業において、熱を作るために消費されています。このとき排出される温室効果ガスは、温室効果ガス排出量全体の10%~15%を占めています。
このような背景から、製造業のGDPに占める割合が大きい日本含むASEAN諸国では特に、「熱」を生成する手法の脱炭素化が重要視されています。
「熱」を再生可能エネルギーから生成する手法として、電気を熱に変えて貯蔵することで安定的に利用することを可能とする熱エネルギー貯蔵と呼ばれる技術があります。この技術は、「MIT Technology Review10 Breakthrough Technologies2024(MITテクノロジーレビューが選んだ、世界を変える10大技術)*2」において、次点の11位に「熱電池」としてランクインするなど、世界中から注目を集めています。
*1:経済産業省資源エネルギー庁「令和4年度エネルギーに関する年次報告(エネルギー白書2023)」第2部第2節)
Blossom Energyが開発する「蓄熱式ボイラ」の特徴
Blossom Energyは、2023年より竹原市が主催(共催:一般社団法人ローカルイノベーション協会、ReGACY Innovation Group株式会社)する「たけはらDX」に参画し、独自の蓄熱式ボイラを開発いたしました。
【特徴】
①黒鉛に金属等を添加する独自の蓄熱材(開発中のためデモ機では未実装)を用いることで、大熱容量、高耐熱性、高熱伝導率を実現し、数百℃~千℃といった高温域の熱をスピーディに供給可能。
②黒鉛や金属材料の長寿命化を実現する循環ガスの高度な純度管理技術を実装。
③約1500℃の黒鉛から、最高約1000℃のガス、約600℃の蒸気を生成、供給。
④蓄熱と放熱を同時に実施するため収益機会が蓄電池の倍。
⑤出力と容量を増やす機能が別々に設計可能であり、蓄電池と異なり熱需要家の細かいユースケースにフィットさせられる。
⑥熱の供給網は既存の蒸気配管等をそのまま活用できるため、従来から設置されているボイラに併設することで、蓄熱式ボイラの稼働時間の増加に応じた燃料コストの削減が可能。
コンセプトモデルについて
「蓄熱式ボイラ」の認知度向上を通した市場の貢献と、よりわかりやすく機能を直感的に理解して頂くものにしていくために、3月に発表したデモ機をもとにデザインを行い、コンセプトモデルを作成いたしました。
①各ユニットの統一されたデザイン設計
コンセプトモデルでは、大きく3つの機能をそれぞれわかりやすくユニットに分けデザインをしています。
ひとつ目は、蓄熱材である黒鉛が格納されている「サーマルストレージ」、二つ目は熱輸送媒体である不活性ガス(デモ機では窒素)を循環させる「サーキュレーター」、三つ目は加熱された窒素を水と熱交換させ水蒸気を生み出す「スチームボイラ」となります。
これは、「出力と容量を増やす機能が別々に設計されている」特徴を示しております。そのため、機能を需要に合わせ追加することができ、蓄電池と異なり熱需要家の細かいユースケースにフィットさせることができます。また、それぞれ、各機能をインフォグラフィクスで示すことにより、国境を超えて直感的な理解を促進します。
②熱残量の可視化・中心部から伝わる熱に直接触れられる天板
蓄熱ユニットには熱エネルギーの残量と残量割合を表示しています。
これによりコア技術である熱貯蔵技術の価値の可視化を実現します。
また、蓄熱ユニットの天板にはグラファイトの結晶構造から着想を得た六弁花のブロッサムパターンをシルク印刷しています。直接触って熱の暖かさを体験ができる設計となっております。
デザイナー紹介
野村涼平
「持続可能な都市文化の醸成」をテーマに京都とベルリンを拠点に活動するデザイナー。京都工芸繊維大学院建築デザイン学卒業。2016/17年にスタンフォード大学発の新製品開発プログラムME310/SUGARにて水上セグウェイ”Wheeebo”を共同開発。2019年に渡英しPentagram Design Londonにてインターンシップを経験し、展覧会やプロダクトのデザインに携わる。過去にスタンフォード大学、日本科学未来館、文部科学省、KYOTO Design Lab.、COREDO 日本橋などで作品を展示。2020年より世界経済フォーラムの30歳以下のイニシアチブGlobal Shapersの一員としても活動。
「コンセプトモデル」実機の発表イベントを都内にて開催
2024年6月28日に、メディア様及び事業会社様を含む関係研究機関の皆様をお招きし、蓄熱式ボイラのコンセプトモデル公開イベントを実施したしました。
弊社の黒鉛を用いた蓄熱ボイラの技術的・商業的な成立性検証に向けた取り組みについて、また、装置のケーシングを開放し、内部構造や機能について弊社CEOの濱本よりご説明をさせて頂きました。
さらに今後の開発スケジュールとして、目下出力約1MW(相当蒸発量約1.5t/h)の小型ボイラの開発を行っていることをご報告、当日ご参加いただいた方々から、本技術開発の今後の発展について多くの期待が寄せられました。
Blossom Energyは、人類の持続的な発展を実現するため、スタートアップゆえに可能な開発速度と、本技術の開発を可能とするスキルセットを揃えた特異なチームを武器に、次世代のエネルギーソリューションを開発していきます。
今回のコンセプトモデルは、その一環として、革新的でありながら既存技術を組み合わせることでスピーディな開発とスケーラブルな社会実装が可能な技術をデモンストレーションするものであり、本技術を発展させることで産業領域における熱の生成手段として新たな標準を確立することを目指しています。
※当日使用した資料をご要望の方は、弊社問い合わせ先までご連絡を頂ければ幸いです。
【お問い合わせ先】
Blossom Energy問い合わせ窓口
contact@blossom-energy.biz
CEO濱本よりメッセージ
新しい熱エネルギー貯蔵技術のコンセプトやポテンシャルなどを具体的な形にして表現し、広く理解を得ることは、Blossom Energyにとって重要な課題でした。デザインチームは、我々エンジニアの言葉を非常に高い精度で汲み取っていただき、従来の概念を変える新しく美しいボイラを創造してくれました。この素晴らしいチームとのコラボレーションの成果をもって、多くの方に当該技術を説明する機会が持てたことを深く感謝しています。
また、当社は今後も持続可能な未来を実現するために、技術革新に取り組んでまいります。当社のビジョンに共感し、一緒に未来を創りたいと考える方々からのご連絡を心よりお待ちしております。
濱本 真平
株式会社Blossom Energy 代表取締役
筑波大学大学院で博士号取得。日本原子力研究所、日本原子力研究開発機構で高温ガス炉の研究に従事。福島第一原発事故後は原子力規制庁で2年間、規制行政のスタートアップを支援。原子力機構に戻り高温ガス炉の許認可取得と再稼働の他、国際共同試験プロジェクトを担当。2022年4月に株式会社Blossom Energyを創業。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
会社名:株式会社Blossom Energy
代表者:代表取締役 濱本 真平
所在地:〒101-0041 東京都千代田区神田須田町2-3-12 12Kanda 403
事業内容:発電等に⽤いる設備の設計・製造・販売