本協定に基づき越谷市は、頻発・激甚化している洪水などの水災害に対し、水田が持つ雨水貯留機能を利用した治水対策である「田んぼダム」の実証実験を通じた効果の検証や環境価値の検討(Jクレジット※2創出、ブランディング等)を行うことで水田のポテンシャル調査を実施いたします。
※1:水田ポテンシャル調査・・水田が持つ多面的な機能と価値を明らかにし、持続可能な農業と環境保全を目指す調査。
※2:Jクレジット・・省エネルギー機器の導入や森林経営などによる温室効果ガスの削減量や吸収量を国が認証する制度です。この制度を通じて、CO2排出量の削減や吸収に成功した企業や団体は、その成果をクレジットとして認定され、取引に利用することができます。
1. 背景と目的
近年、地球温暖化に伴う気候変動の影響等により、洪水などによる水災害が頻発・激甚化するとともに、水災害のリスクの増大が懸念されている中で、営農しながら地域の防災・減災に取組むことができる「田んぼダム」が注目されています。
「田んぼダム」は、小さな穴の開いた調整板などの簡単な器具を水田の排水口にとりつけて流出量を抑えることで、水田の雨水貯留機能の強化を図り、周辺の農地・集落や下流域の浸水被害リスクの低減を図る取組み
です。大規模な施設を造成する必要がなく、安価ですぐに効果が発揮できることが大きな特徴で、各地で取組みが広がっています。
また、「みどりの食料システム戦略※3」において、農業による環境負荷を低減する取組みの一つとして、温室効果ガス排出量の削減が位置付けられており、農業者の収益にも繋がることからもJクレジット制度への関心が高まっています。
本協定では、
NTT東日本が提供したICT装置を活用し、水田の多面的機能に関する調査を行います。具体的には、①水田の雨水貯留機能による水害リスク低減調査、②水位計測によるJクレジット創出模擬トライアル
を行います。
これにより、将来的には「田んぼダム」による治水対策や環境に配慮した農業を推進し、持続可能な農業環境を創出することを目的としています。
※3:みどりの食料システム戦略・・国内農林水産業の生産力強化や持続可能性の向上を目指し、2021年5月に農林水産省が策定した方針で、環境に配慮し、食料・農林水産業の生産力を上げ、持続可能性を高めるための食料生産の方針です。
2. 協定概要
協定名称:ICT装置を活用した『水田ポテンシャル調査』に関する連携協定
締 結 日 :2024年7月23日
協定期間:2024年7月23日から2025年11月30日まで
締結場所:越谷市役所 本庁舎4階 庁議室
締 結 者 :越谷市長 福田 晃
ニイザカファーム 代表取締役 新坂真之
日伊 代表取締役 渋谷 勇
NTT東日本 埼玉南支店長 霜鳥正隆
3. 実施概要
実施期間:2024年8月上旬から2025年11月30日まで
実施場所:越谷市新方地区船渡地内外の水田(約28,000㎡)
実施内容:
・ICT装置を活用した田んぼダム実証実施/未実施圃場での、水田の雨水貯留機能による水害リスク低減のポテンシャル調査。
・IoTセンサーより取得した水位データを元に排水性等を算出し、水田の中干期間を延長した場合のJクレジット創出模擬トライアル。
参考: ICT装置を活用した『水田ポテンシャル調査』の概要
4. 各者の役割
越谷市 :田んぼダムの実証フィールドの提供・運用/運用モニタリング・検証
環境価値のポテンシャル検討(Jクレジット創出、ブランディング等)
生産者、地域等ステークホルダー対応
ニイザカファーム/日伊:田んぼダムの実証フィールドの提供・運用/運用モニタリング・検証
環境価値のポテンシャル検討への情報提供
NTT東日本 :ICT装置の設計・設置
田んぼダム水位等の計測・取得データの提供
環境価値のポテンシャル検討(Jクレジット創出、ブランディング等)
5. 今後の展開
今後は、水田のポテンシャル(水害リスク低減・環境価値)を活かした取組みを普及拡大し、持続可能な農業環境の創出を目指します。
【お問い合わせ先】
越谷市 環境経済部 農業振興課 課長 内田 英行 ℡ 048-963-9193
NTT東日本 埼玉南支店 ビジネスイノベーション部まちづくりコーディネート担当 ℡ 048-229-2461