概要
1. 参加メンバーは、現地に宿泊しながら地元ならではの狩猟やジビエ・発酵料理を体験
2. 独自に学習した生成AIと対話しながら、人間×AIの共同作業でビジネス課題の解決策を検討
3. 締めくくりは現地の事業者へ、リブランディング施策をプレゼンテーション
株式会社 日本SPセンターは、7月8日から12日までの4泊5日間、千葉県南房総市富浦地区・山名地区で企業研修を実施。12名のプランナー(含む1名の外部講師)が、生成AIを活用したコンテンツマーケティングの研究と実践に取り組みました。
「地方の小規模事業者の活性化が、地方創成に直結する」との考えから、定期的に開催している合宿型の企業研修。これまで長野県と京都府で行われ、今回で3回目です。
今回の研修のテーマは、南房総市にあるコミュニティハウス「ヤマナハウス」のリブランディング。ヤマナハウスは「シェア里山:いきつけの田舎をつくろう」というコンセプトのもと、狩猟、里山、DIY(空き家改修)などの体験型イベント/ツアーを首都圏で働く人や移住者向けに企画・実施するコミュニティハウスです。
ヤマハナウスは、獣害や空き家問題、伝統食の継承・理解など地域が抱える課題や可能性について考えながら、自然の中でのアクティビティが楽しめる施設。今回の研修はヤマナハウスの運営会社である合同会社AWATHIRD (アワサード)の全面的な協力のもと実施されました。
取り組む課題は、ヤマハナウスの新規顧客層開拓。東京から千葉への移住希望者を中心とした50代以上の訪問者が多いヤマハナウスは、新たに東京在住の30代の開拓を進めようとしています。限られたリソースの中で、いかにして認知しファンになってもらうのか、具体的なプランが求められます。
研修参加メンバーは、ヤマハナウスで提供されている狩猟や発酵料理などのアクティビティを実際に体験。ふだん触れることのない野生動物の生態やジビエ料理、地元の食材を用いた発酵料理などを学びました。また地元の有識者から、人口動態や地場産業を踏まえた地域全体の抱える課題についてもヒアリングを行いました。
さらに13人目のメンバーとして生成AIを活用。千葉県と南房総市にまつわる情報、ヤマナハウス運営メンバーのメディア発信内容、アクティビティ体験談、関連書籍データなどを生成AIに学習させ、リブランディング企画の検討を進めました。
合宿の最終日には、集大成となるリブランディングプランをメンバーがプレゼンテーション。ターゲットとペルソナ、ブランドコンセプト、具体的なコンテンツ施策などについてヤマナハウス運営メンバーの皆様へ提案を行いました。
提案を受けたヤマナハウスの皆様からは「たいへん参考になった」「ぜひ実施してみたい」との声をいただきました。今回のプレゼンテーションで終わりではなく、今後も千葉県南房総市へのコンテンツマーケティング支援を続けていく予定です。
本研修の特長
1.自然あふれる南房総で「生成AI」を活用
研修では、新しいマーケティング技術の開発と短期間での企画品質アップのために、生成AIを積極的に活用することが重要なテーマとなりました。南房総へ訪問する前から独自の生成AIの準備を進め、滞在期間中も毎日生成AIと相談しながら作業を進めました。
生成AIのプラットフォームとしては、OpenAIの「ChatGPT 4o」を採用。最新の生成AIですが、今回のテーマであるヤマナハウスのリブランディングについて、より高品質な回答を得るためにはカスタマイズが必要でした。まず取り組んだのは、オンライン調査や対面でのヒアリングなど様々な形式の参照データを生成AI用に準備し登録すること。加えて、生成AIを活用するための専用プロンプト集やマニュアルも合わせて作成しました。これによって、一般的なChatGPTと比較してより具体的で専門的な回答が可能となり、専門家でなくても気軽に扱えて、実際の現場で「使える」回答が得られる生成AIとなりました。
今回生成AIには、親しみやすく「Genio(ジェニオ)」と命名。研修期間中、12名のプランナーが生成AI「Genio」との対話を通じて、リブランディングのプランを検討しました。
研修の中では、生成AIが出した案にインスピレーションを受けたコピーライターが、最終的なブランドコンセプトコピーを書き上げるなど、生成AIと人間の共同作業が行われました。
画像作成にもデザイナーが主体となって生成AIを活用し、プレゼン企画書のイメージ画像やペルソナ像のイメージ作成などを行いました。
2.フィールドワークと言語化
研修参加メンバーは、ヤマナハウスが訴求する「いきつけの田舎」の価値を体感するために、専門家の指導のもと、狩猟、南房総ローカルツアー、里山料理などのアクティビティを体験。
「センスメイキング=人間の経験を元にした意味づけ」を重視する方針のもと、全体の研修の約3分の1をアクティビティにあて、事業者の想いや、里山の風景、環境など、データだけではわからない経験を積みました。
そのうえで生成AIに学ばせたり企画書に落とし込むには、自分達が感じた価値を「言語化」することも重要です。里山を歩きながら直接お話を伺う、動物を解体し食べる、自分達で発酵食品を作る、といった体験を通じて感じた感覚や気づきを、体験記や企画メモという形で毎日言語化を行い、全員で共有していきました。
3.日々の仕事を見つめなおす。世代・キャリアを超えたコラボレーション
研修参加メンバーは20代~50代と世代・キャリアがばらばらでしたが、フラットなコミュニケーションと議論を重ね、課題解決に向けて一丸となって検討を進めました。
コロナ禍を経てリモートワークが進んだ現在では、同僚や先輩社員が悩み試行錯誤をしている様子や、ありきたりなアイデアにならない発想のジャンプの方法など、会議や成果物だけでは見えにくい仕事のノウハウや醍醐味を共有する場が減っています。
今回、忙しい日々の効率重視の働き方から離れ、ひとつのテーマについて全員でじっくり議論を重ね、よりよい品質のものを皆が納得するまで追求する体験を通じて、改めて仕事の楽しさや意義について考える機会となりました。
研修参加メンバーからは「また参加したい」「ふだんの仕事では学べない重要な体験だった」「日ごろの企画提案にも生かしたい」といった声がありました。
地方創生を含む様々なビジネスにおけるマーケティングに活用いただけるよう、日本SPセンターは、生成AIを活用したコンテンツマーケティングの研究と実践に引き続き取り組んでまいります。
※今回の取り組みの詳細は2024年11月に開催予定の、弊社主催イベント(CONTENT MARKETING DAY 2024)にて一般公開予定です。
株式会社日本SPセンターについて
1967年創業のマーケティング・エージェンシー。大手企業のマーケティング・プロモーションを中心に、国内外の実績多数。マーケティング戦略立案から、WEBサイトやカタログ、動画などのプロモーションコンテンツ制作まで幅広く対応可能です。2010年頃からはコンテンツマーケティングの研究・実践に取り組んでおり、コンテンツマーケティングのビジネスアカデミー「CONTENT MARKETING ACADEMY(コンテンツマーケティング・アカデミー)」を主催し、国内最大規模のコンテンツマーケティングのコニュニティイベント「CONTENT MARKETING DAY(コンテンツマーケティング・デイ)」を毎年開催しています。
生成AIを活用した地方創成とコンテンツマーケティングについては近年の研究テーマのひとつです。マーケティング業界と地方の小規模事業者をつなげる活動を今後も進めていきます。
関連リンク
ヤマナハウス
合同会社AWATHIRD (アワサード)
株式会社日本SPセンター
https://nspc.co.jp/