【岡山大学】初期地球内部の環境が酸素濃度によって制御されていたことが明らかに -地球の進化過程の解明へ-

by GENIC

2024(令和6)年 7月 25日

国立大学法人岡山大学


https://www.okayama-u.ac.jp/


【岡山大学】初期地球内部の環境が酸素濃度によって制御されていたことが明らかに -地球の進化過程の解明へ-


<発表のポイント>

  • 高酸素濃度下で地球マントル岩石の高圧融解実験を行い、高酸素濃度における融解温度が従来の比較的低い酸素濃度の融解温度に比べて、有意に低いことが分かりました。

  • 極度に低酸素濃度の初期地球のマグマの海の海底温度は、従来の推定値よりも非常に高い可能性があることが分かりました。

  • 従来の初期地球~現地球への進化モデルは、酸素濃度の影響を考慮することで大きく描き換わる可能性があることが分かりました。


◆概 要

国立大学法人岡山大学(本部:岡山市北区、学長:那須保友)の高等先鋭研究院を構成する組織のひとつである惑星物質研究所の石井貴之准教授、中華人民共和国北京高圧科学研究センターYanhao Lin 研究員、オランダアムステルダム自由大学、ドイツ連邦共和国バイロイト大学バイエルン地球科学研究所の研究グループからなる国際共同研究チームは、高酸素濃度下で地球マントル岩石の高圧融解実験を行い、高酸素濃度下における融解温度が従来の低酸素濃度における融解温度よりも有意に低いことを明らかにしました。

この結果は、深さ1000 km以上に達していたと言われる初期地球におけるマグマの海の海底温度が従来の予想よりも高いことを示しており、初期地球の冷却過程と地球核形成モデルを見直す必要があることを示唆しています。

この研究成果は2024年7月16日(現地時間)、英国の地球科学雑誌「

Nature Geoscience

」にArticleとして掲載されました。


初期地球内部は、マグマオーシャンというマグマの海で覆われていたと考えられています。マグマオーシャンがどのようにして固まり、現在の地球が形成されたかについてはよく分かっていません。本研究成果は、初期地球環境が当時の酸化還元状態に大きく左右されることを示しており、初期地球形成から現在の地球への進化過程を大きく見直す必要性を示唆しています。


図. 初期地球形成から約1.5億年前までの(a)深さ470 km(b)深さ580 km(c)深さ710 kmにおけるマントル岩石の融点とマントル温度の変化。赤:地球形成時の酸素濃度が低い場合。黄:地球形成時の酸素濃度が高い場合。


図. 初期地球形成から約1.5億年前までの(a)深さ470 km(b)深さ580 km(c)深さ710 kmにおけるマントル岩石の融点とマントル温度の変化。赤:地球形成時の酸素濃度が低い場合。黄:地球形成時の酸素濃度が高い場合。


◆石井貴之准教授からのひとこと

地球がどのようにして現在の地球へと進化してきたのかを解明することは、私たち生命の起源にもつながる地球科学における最重要テーマの一つです。しかし、現代に生きる私たちが約46億年前から始まった地球の歴史を知ることは容易ではありません。今回の成果は、そんな初期地球という未知の世界を知るうえで重要な要因の一つを発見したと思っています。

世界的に宇宙開発が進む中、地球深部の研究は逆を向いているように見えますが、地球を理解することで、宇宙をより良く理解することもできます。今後も“高圧”を用いて地球の全貌を解き明かしていきたいと思っています。


石井貴之准教授


石井貴之准教授


◆論文情報


論 文 名:Melting at the base of a terrestrial magma ocean controlled by oxygen fugacity

掲 載 誌:

Nature geoscience


著  者:Yanhao Lin, Takayuki Ishii, Wim van Westrenen, Tomoo Katsura, Ho-Kwang Mao

D O I:

https://doi.org/10.1038/s41561-024-01495-1


U R L:

https://www.nature.com/articles/s41561-024-01495-1


◆詳しい研究内容について


初期地球内部の環境が酸素濃度によって制御されていたことが明らかに―地球の進化過程の解明へ―


https://www.okayama-u.ac.jp/up_load_files/press_r6/press20240724-2.pdf


◆参 考


・岡山大学惑星物質研究所(IPM)


http://www.misasa.okayama-u.ac.jp/jp/

・【岡山大学】岡山大学4研究所が「高等先鋭研究院」として始動 ~組織としての「箱」ではなく、卓越、イノベーション創出、流動、育成を兼ね揃えた「システム」として運用を開始~


https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000001835.000072793.html

・【岡山大学】岡山大学の宇宙戦略について(概要)


https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000001871.000072793.html


◆参考情報

・【岡山大学】独自開発の高温高圧実験技術により、マントル中部の特異な対流現象を解明 ~原因はマントルに含まれる鉱物の相転移だった!~


https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000001572.000072793.html


◆参考動画


岡山大学惑星物質研究所紹介(YouTube 4:53)




https://www.misasa.okayama-u.ac.jp/movie/






【岡山大学】初期地球内部の環境が酸素濃度によって制御されていたことが明らかに -地球の進化過程の解明へ-


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岡山大学惑星物質研究所の位置(googleマップより)


岡山大学惑星物質研究所の位置(googleマップより)


◆本件お問い合わせ先

岡山大学惑星物質研究所 准教授 石井貴之

〒682-0193 鳥取県東伯郡三朝町山田827

TEL:0858-43-3754

FAX:0858-43-2184

教員


<岡山大学の産学官連携などに関するお問い合わせ先>

岡山大学研究・イノベーション共創機構 産学官連携本部

〒700-8530 岡山県岡山市北区津島中1-1-1 岡山大学津島キャンパス 本部棟1階

TEL:086-251-8463

E-mail:sangaku◎okayama-u.ac.jp

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https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000002296.000072793.html

岡山大学「THEインパクトランキング2021」総合ランキング 世界トップ200位以内、国内同列1位!!


https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000070.000072793.html


岡山大学『大学ブランド・イメージ調査2021~2022』「SDGsに積極的な大学」中国・四国1位!!


https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000373.000072793.html


岡山大学『企業の人事担当者から見た大学イメージ調査2022年度版』中国・四国1位!!


https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000122.000072793.html


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国立大学法人岡山大学は、国連の「持続可能な開発目標(SDGs)」を支援しています。また、政府の第1回「ジャパンSDGsアワード」特別賞を受賞しています。地域中核・特色ある研究大学として共育共創を進める岡山大学にご期待ください


  • 岡山大学 文部科学省「地域中核・特色ある研究大学強化促進事業(J-PEAKS)」に採択~地域と地球の未来を共創し、世界の革新の中核となる研究大学:岡山大学の実現を加速とともに世界に誇れる我が国の研究大学の山脈を築く~



    https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000001935.000072793.html

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