税理士の転職サービスを展開する株式会社人材ドラフト(本社:東京都千代田区、代表取締役:鈴木麻紗子)は、税理士業界の高齢化と人材不足が慢性化していることを受け、税理士の就業環境や、資格取得を目指す上でのハードルについて実態調査を行いました。その結果、資格取得により生涯年収が6,425万上がり、リスキリングとして有望な資格であるにも関わらず、約半数の人が諦めようと思ったことがある実態が明らかになりました。金銭面・時間確保・精神面の全てで8~9割の人が課題を感じていますが、特に参考書など書籍の購入については負担する費用以上に課題感を強く感じています。実際に挫折したケースとしてはシングルマザーや介護など、誰かを支える必要に駆られてキャリアを諦めた事例が見られました。
調査の背景
税理士業界は50歳以上が71%を占めるほど高齢化が進んでおり、このままでは企業や個人の税務申告が出来なくなる危機的状況にあります。しかし税理士になるには、10年間・4000時間の勉強と最大225万以上の費用が掛かるなど、高いハードルがあるのが実情です。そこで税理士を獲得することでどのようなメリットがあり、一方でどのような点が資格取得のハードルになっているのかを調査しました。
「税理士の資格取得におけるハードル実態調査」の主な結果
■税理士の資格取得により生涯年収6,425万UP。ただし取得費用は年収の最大44%と重い
簿記2級以下の平均年収509万に対し、税理士以上の平均年収は723万と、資格取得により大きく年収が上がっています。税理士は定年がなく長期間働けるため、取得後30年間働いた場合の生涯年収は6,425万円アップ。リスキリングの観点でも効果が高い資格です。一方で取得費用は最大225万円(推定)。年収の最大44%を占めており負担が重い状態です。
■金銭的な課題感で最も大きいのは「予備校代」で71%、次いで参考書などの「書籍代」が53%
資格取得にかかる費用に対して、課題感を感じる割合を見ると、予備校代が最も金額もかかり、課題感も1位となりました。しかし2位の書籍代は、費用は比較的かからないにも関わらず、課題感を感じる割合が53%と多い水準となっています。
税理士試験は10年近くかけて長期間取り組む資格のため、「毎年買い揃えるのが大変」、「改正が多く過去の参考書が使えない」など、税理士特有の理由により負担を強く感じやすい傾向があるようです。
■56%の人が「諦めようと思ったことがある」、そのうち64%が「諦めたor一時的に受験を見送った」
税理士を目指したものの、資格取得を諦めようと思ったことがある割合は56%となっており、そのうち実際に諦めたり受験を見送った割合は64%となっています。税理士試験の勉強は長期間に渡るため、常に勉強を続けるハードルが高く、途中で挫折したり中断するケースが多いようです。
■実際に挫折したケースはシングルマザーや介護など、誰かを支える必要に駆られてキャリアを諦めた事例あり
実際に資格取得を諦めた方のお話を聞いたところ、シングルマザーで子育てを優先したり、介護の負担や経済的事情により諦めたりするなど、誰かを支えるためにキャリアを諦めた事例が多くみられました。仕事やプライベートと、資格取得のための勉強の両立はハードルが高く、リスキリングの障害になっている現状が見て取れます。
■今回の調査を通じて
税理士資格は取得することによって生涯賃金が大きく向上し、リスキリングとしても有望な資格であることが分かりました。しかし学習機関が10年と長期間に渡ることから、時間的・金銭的負担が大きく、実際に取得するまでのハードルはかなり高い点が見て取れます。
税理士は個人や法人の申告をサポートするだけでなく、社会の税制を支える重要な役割を持っています。インボイスや定額減税など、税制を通した政策にも貢献していますが、現状は高齢化が進み社会の税制を支えることが難しくなっているのが実態です。
社会を維持するためにも新たな税理士を増やす取り組みが必要ですが、個人の努力だけでなく様々な企業・団体が協力して、資格取得のハードルを取り除いていくことが必要とされています。
人材ドラフトは既存の税理士のキャリア支援をするだけでなく、新たな税理士をいかに生み出すかについても、努力とサポートを実施してまいります。
調査の詳細
【税理士の資格取得におけるハードル実態調査】
税理士業界は高齢化と人材不足が慢性化しているため、現状で資格取得を目指す上でのハードルや、実際に税理士になった際の年収など就業状況について調査を行う。
[ハードルについての調査]
調査期間:2024年6月14日(金)~7月21日(日)
調査方法:人材ドラフトの登録会員によるインターネット調査
対象者:居住地 全国、 年代 不問、性別 男女不問
回収サンプル数:119
税理士になると生涯年収6,425万UP、しかし約半数が諦める。特筆すべきハードルは「参考書」の購入(税理士の資格取得におけるハードル実態調査)
[就業状況についての調査] ※生涯年収、想定費用、平均年齢など
調査方法:生涯年収は人材ドラフトの掲載求人から算出、想定費用は各種事例をもとに推計、平均年齢は第6回税理士実態調査より算出
会計業界最大級の転職支援サービス「人材ドラフト」
株式会社人材ドラフトについて
会計事務所や事業会社の経理ポジションなどを中心とした、転職サイト・人材紹介を運営。会計領域で働く方のキャリア構築のお手伝いをしています。創業者は大手資格学校の人材企業を経営後、人材ドラフトを立ち上げ。創業以来約25年、会計事務所や税理士法人、監査法人、法人経理や財務の採用を支援しています。
【会社概要】
社名:株式会社人材ドラフト
所在地:東京都千代田区神田神保町1丁目14番地3 MT-O神保町6階
代表取締役:鈴木麻紗子
事業内容: 税理士を中心とした税務会計領域における転職支援サービス
設立: 2000年7月18日
事業内容: 採用支援サイト「人材ドラフトWEB」および「人材紹介事業」