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開催概要
令和6(2024)年7月6日(土)10時00分~12時00分
(1) 令和5(2023)度「リカバリーの学校@くにたち」取り組み報告
(2) みんなで語る・リレートーク
(3) 参加者・関係者のグループ対話
会場: 国立市公民館(東京都国立市中1-15-1)
共催: 一般社団法人眞山舎、国立市公民館
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当日の内容
当イベントでは、「リカバリーの学校@くにたち」連携協議会委員でもある、井口啓太郎さん(国立市教育委員会教育部公民館館長補佐(生涯学習課課長補佐兼任)・社会教育主事 / 文部科学省「障害者の生涯学習推進アドバイザー」)をモデレーターとし、令和5(2023)度「リカバリーの学校@くにたち」取り組み報告、 みんなで語る・リレートーク、参加者・関係者のグループ対話を行いました。
第一部では、 「リカバリーの学校@くにたち」を主催する、一般社団法人眞山舎代表理事の土屋一登が、令和5(2023)年度の結果や確認できた成果の一部について報告。具体的には、「リカバリーの学校@くにたち」に参加した「生きづらさ」を抱える当事者に意識及び行動レベルの正の変化が生まれていることに加え、「リカバリーの学校@くにたち」の取り組みに参加または参画した支援者・援助者の一部にも、意識及び行動レベルで正の変化が確認できることを紹介しました。
同時に、令和5(2023)年度に確認された変化の多くは、長年の間に国立市内で培われてきた多様な取り組み(特に、社会教育、地域福祉、市民活動)により蓄積されている専門性・積み重ねによってなされているものであるという視点を共有し、必ずしも「リカバリーの学校@くにたち」だけによる正味の変化ではないことにも言及しました。
また、既出の正の変化の仮説として、連続講座「リカバリーの学校」などの安心安全の場から講座参加者が複数の講座プログラム間を行き来する「回遊性」、及び多様な参加者が国立市及び近隣市の「リカバリーの学校@くにたち」以外の場に出入りする「越境性」が大きく関係している可能性を示唆。そして、越境する者が核となり、共生の実践をすることで、別々のコミュニティの一部が重なり合い、地域全体における「共生圏の拡張」が生まれるという仮説も提示しました。
最後に、令和6年度の仮説として、「リカバリーの学校@くにたち」の参加者が、ほかの参加者やコーディネーターと共に企画づくりなどを通して(当事者参画型プログラムとして「共につくる学びと交流プログラム」を実施)、「主人公」として自分自身の「舞台」をもつ機会を創出し、「回遊性」、「越境性」、及び「共生圏の拡張」を推進することを発表しました。
(注)上記画像は「「リカバリーの学校@くにたち中間成果報告会」-〈生きづらさ〉からはじまる対話と学び-」の登壇資料から抜粋しています。資料全体は、微修正の後、「リカバリーの学校@くにたち」特設サイトに掲載します。
第二部では、令和5(2023)年度「リカバリーの学校@くにたち」連携協議会委員として、意見交換やそれぞれの知見及び立場からのフィードバックを行った、飯野雄治さん(リカバリーの学校 調布校)、鈴木直文さん(NPO法人ダイバーシティサッカー協会代表理事 / 一橋大学大学院社会学研究科教授)、関根義矢さん(国立市健康福祉部しょうがいしゃ支援課相談支援係長)、菊地 宏亮さん(国立市公民館「コーヒーハウス」しょうがいしゃ青年教室スタッフ / 東京学芸大学教職大学院在籍)、針山和佳菜さん(国立市教育委員会教育部公民館主任・社会教育主事)が登壇。
また、令和6年度から連携協議会委員に就任した、三谷宏光さん(令和5年度「リカバリーの学校@くにたち」参加者)、槙野岳志さん(DIY工房クミタテ / 一橋大学研究補助員)、池田希咲さん(bumPo-伴歩-)もお話しされました。
その中で、登壇者の一人が、これまでの生きづらさの経験に言及しながら、「リカバリーの学校@くにたち」への参加を通じて「人間として扱われた」という表現で本取り組みの意義を語りました。
第三部のグループ対話では、当イベント参加者や「リカバリーの学校@くにたち」の関係者が、4名前後のグループに分かれ、「リカバリーの学校@くにたち」で行われている対話をモチーフに言葉を交わす機会をつくりました。地域だからこそ、出会うシチュエーションや職務上の肩書き、あるいは、障害や疾患の有無により「わたし」を主語にして話すことやその人自身のことを話すことに難しさがあるため、その人自身の体験や気持ちを意識したテーマ設定にしました。
報告会後のアンケートでは、「初対面の方が多かったですが、本音の会話があり、有意義でした」、「自分の生活の中で問題を持ちながらも、自分を表現し他の人とシェアすることを通じて人との交流を持つこと。生きている実感がもてる時間でした」といった感想が寄せられました。
ほか、当イベント全体についても、「診断はあくまで診断であり、治療や支援ということだけではない場の大切さを改めて感じた」、「立場にとらわれない方々で成り立っていて「とらわれない」の実践なんだと思った」などの声をいただきました。
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登壇者情報
土屋一登(一般社団法人眞山舎)
飯野雄治さん(リカバリーの学校 調布校)
https://www.facebook.com/recovery.chofu
鈴木直文さん(NPO法人ダイバーシティサッカー協会代表理事 / 一橋大学大学院社会学研究科教授)
槙野岳志さん(DIY工房クミタテ / 一橋大学研究補助員)
池田希咲さん(bumPo-伴歩-)
菊地 宏亮さん(国立市公民館「コーヒーハウス」しょうがいしゃ青年教室スタッフ / 東京学芸大学教職大学院在籍)
三谷宏光さん(令和5年度「リカバリーの学校@くにたち」参加者)
針山和佳菜さん(国立市教育委員会教育部公民館主任・社会教育主事)
https://www.city.kunitachi.tokyo.jp/soshiki/Dept08/Div05/index.html
井口啓太郎さん(国立市教育委員会教育部公民館館長補佐(生涯学習課課長補佐兼任)・社会教育主事 / 文部科学省「障害者の生涯学習推進アドバイザー」)
https://www.city.kunitachi.tokyo.jp/soshiki/Dept08/Div05/index.html
関根義矢さん(国立市健康福祉部しょうがいしゃ支援課相談支援係長)
https://www.city.kunitachi.tokyo.jp/soshiki/Dept03/Div02/index.html
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リカバリーの学校@くにたちについて
「リカバリーの学校@くにたち」とは、「キョウドウを生きる暮らし」を事業のビジョンに掲げ、一般社団法人眞山舎(さなやまや)が、文部科学省「学校卒業後における障害者の学びの支援推進事業」を受託し、国立市で2023(令和5)年度から国立市公民館及び市内福祉事業所などと連携して実施しています。令和5(2023)年度の取り組みを経て、令和6年度からは、〈主⼈公〉と〈舞台〉というキーワードをベースに、3つの軸(⾔語対話型、⾮⾔語対話型、当事者参画型)で講座プログラムを展開しています。別々の講座プログラムに参加する学習者が、混ざり合い、共同する機会(=実践レベルのインクルージョン)を創出し、コーディネーターが中⼼になって、学習者と共に当事者主体のスピンアウト企画を作ることを企図します。こうした「リカバリー」の学びの地域実装によって、前年度の実践研究によって導き出された実践仮説である、学習者・⽀援者を含む各主体の〈回遊性〉と〈越境性〉を⾼め、〈共⽣圏の拡張(=地域レベルのインクルージョン)〉を⽬指しています。
【特設サイト】
https://www.recovery-gakko-kunitachi.com/
(注)「リカバリーの学校@くにたち」は、一般社団法人眞山舎が文部科学省「学校卒業後における障害者の学びの支援推進事業」の委託を受け、国立市公民館のほか福祉事業所などと連携して実施しています。