■経営統合の背景・課題について
・ライフエンディング業界の課題と消費者の悩み解決のために<燦ホールディングス代表取締役 播島より>
ライフエンディング業界のなかでも、特に葬儀業界は昨今、同業者だけではなく異業種からの新規参入が非常に相次いでいる業界です。一方で家族経営の零細事業者が多く、全国で事業者間での競争が激化しM&Aの動きが非常に活発化しており、私たちの事業を取り巻く環境も著しく変化しています。
コロナ禍を経てお客様のお葬式に対する考え方や価値観が大きく変化している中で、事業者側と消費者側の情報の非対称性が非常に大きいという問題も抱えております。ライフエンディングに関連する商品やサービスは多岐にわたりますが、多くの消費者にとってそれらを比較、検討する基準が「安い」「高い」など見た目の表示価格に偏っていることが大きな原因の1つと考えております。
お葬式をはじめとするライフエンディングに関連するサービスは日常的に利用するものではないため、「試しに使ってみよう」という事ができません。人生にとって、とても大切な選択であるにもかかわらず、十分な情報が行き渡っておりません。それゆえに、ご自身でインターネット検索をして葬儀会社を探し、問い合わせをすることになります。あいまいな理解で情報を取捨選択しながら、「この会社で大丈夫なのか」と目利きをしなければならないという問題に多くの消費者が直面しています。
過去に、弊社が喪主経験者1,000名を対象に「第5回 ライフエンディングに関する意識調査」を実施したところ、「誰に・何を・いつ相談したらよいかわからない」「どこの会社に相談したらよいかわからない」といった回答が多くありました。このような調査結果もあわせて、葬儀業者をはじめ、ライフエンディングサービスを提供する会社にいま最も求められているのは、提供されるサービスの「品質」「安心」「信頼」ではないでしょうか。私たちはこのような業界の問題や課題を変えていきたいと考えています。
今回の経営統合の大きな目的は、葬儀業界を取り巻く事業環境や消費者のお葬式に対する考え方、価値観が大きく変化しているなかで、日本人が大切にしてきた葬送・供養の文化、家族や祖先、人とのつながりを大切にする文化をこれからも守りながら、葬儀事業会社、ライフエンディングサポート事業会社として、両社が質の高いサービスを提供することによって日本の葬送文化に新たな価値を創出し、超高齢化社会における課題・問題解決を行い、社会に貢献していくことです。
・2社のパーパスの親和性について <燦ホールディングス代表取締役 播島より>
きずなホールディングスは、「葬儀再生は、日本再生。」という経営理念のもと、価値観が多様化する現代社会において、家族葬を通してご家族や人との絆をつなぎ、生活者目線で葬送文化を再生することが、日本再生にもつながっていく、という志で、高い品質のサービスを提供されております。
燦ホールディングスは、「人生に潤いと豊かさを。より良く生きる喜びを。」という経営理念のもと、日本の葬送文化の伝統を守りながら、ご家族や人とのきずなを守って人生に豊かさや喜びを感じてもらえるような、高い品質のサービス提供に取り組んでおります。
両社が社会に提供していこうとする価値観には非常に高い親和性があると考えており、両社が一体になることで、家族や人との絆を大切に守りながら日本の葬送文化に、新たな価値や高い付加価値を創出できると確信しております。またライフエンディング業界を取り巻く課題や問題解決にも資するものだと考えております。
さらに、両社とも上場企業であるため、ガバナンスが効いた会社経営によってコンプライアンス順守のもと事業が行われております。今回の統合によって日本全国で多くの安心と信頼のサービス提供が可能になると考えております。加えて、両社の葬儀取扱い件数はおよそ30,000件、お葬式を行う会館数は242会館になり、事業展開エリアは北海道から九州まで15都道府県に広がり、日本で一番大きな葬儀事業の専業会社になります。
■経営統合の経緯について
<両社を結び付けたアドバンテッジパートナーズ 束原パートナーより>
2015年にきずなホールディングスの中核事業会社「家族葬のファミーユ」の前身であるエポック・ジャパンとご縁があり、ご一緒することとなりました。同社は創業者の高見氏が「参列者の対応に追われ、身内の方々が故人に対して時間を割けない」という当時の一般的な葬儀のあり方への問題意識を胸に、2001年に「家族葬のファミーユ」ブランドを立ち上げた企業でした。2015年の経営体制変更後も、「ご家族やごく親しい方が故人と最期の時間をゆっくりと過ごす」という新しい葬儀のあり方を1つの選択肢として世に広めてきました。
上場直後にコロナ禍となり、人が集まることが難しい状況下でも、経営理念を柱に成長の軌道を担保できるように努め、今や業界最大規模の店舗数を誇る、名実ともに家族葬のナンバーワン企業としての地位を確固たるものとしています。そんな同社とのご縁の今後を考えたときに、「共通の価値観を有する会社が一緒になるのが最良である」と考え、今回の経営統合に繋げるコミュニケーションに至りました。
<きずなホールディングス 中道社長より>
私たちの経営理念は「葬儀再生は、日本再生。」です。ご葬儀というものは、人と人との絆を結びなおす機会であると考えており、遺された方々が孤独に陥ることなく、時間とともに悲しみを乗り越え、その先の人生を力強く生きていけるようになるための大切な時間であると考えております。また、それは同時に亡くなられた故人の願いでもあるのではないかと思っております。
これからの日本はさらに高齢者比率が高くなるため、ライフエンディングのステージに立つ方がどんどん増えていきます。そのなかで「どういったご葬儀をするのか」は非常に大きな問題と考え、故人とそのご家族に応じたオーダーメイド型のご葬儀プランで唯一無二の「家族葬」を提供することに取り組んでおります。
しかし、残念ながら昨今においてはご葬儀が持つ意味合いが徐々に薄れつつあるように感じています。
どういうご葬儀をしていくのかという「質」と、いくらでできるのかという「価格」のバランスが崩れ、「価格」の方に重きが置かれつつあります。このようなバランスを正していきたいという志を持ち、経営統合をする運びとなりました。
<燦ホールディングス代表取締役 播島より>
今回、アドバンテッジパートナーズにご縁を繋いでいただきましたが、以前より、「きずなホールディングスと私たちの経営理念は非常に親和性が高く会社経営に対する考え方が似ている」と注目をしておりました。私たちは葬儀会社のグループであるにも関わらず、「人生に潤いと豊かさを。より良く生きる喜びを。」という経営理念を掲げております。「家族葬」という言葉が定着し始めた20年前頃までは、「お葬式のことを人に聞くなどということは縁起でもない」ということでタブー視されておりました。
しかしながら、昨今の高齢者層の増加に伴い現在では「終活」という言葉が定着し、「自分の老後の人生をどう生きていくのか」を考えるということは非常に重要なこととなりました。
その中で「お葬式をどうするのか」「家族になにを遺すのか」「住んでいる家はどうするのか」などの
問題を、元気なうちにしっかりと考えて準備しておくことが、人生に潤いと豊かさをもたらすのではないかと思いました。私たちは葬儀事業会社からライフエンディングサポート事業会社へと進化をしていきたい考えております。亡くなられた方だけではなく、その後を紡いでいかれるご家族に対しても、様々なサポートサービスを切れ目なく提供していくことで、これからの日本の超高齢化社会の課題、問題の解決に貢献していきたいと思います。
■2社の統合シナジーについて <燦ホールディングス代表取締役 播島より>
定量的な側面では、国内における出店エリアの補完作用が非常に大きいです。燦ホールディングスの出店は2024年6月末時点で、首都圏(東京・神奈川・千葉)に21会館、近畿圏(大阪・奈良・兵庫)に57会館、山陰地域に14会館、計92会館を出店しています。一方、きずなホールディングスは11道府県に計150会館を出店されております。特に燦ホールディングスが出店していない、北海道や愛知、埼玉、京都、岡山、熊本、宮崎に出店されており、一部エリアが重複している千葉、神奈川、大阪、奈良においても、その重なりは軽微であり、相互に国内出店地域の補完が期待できます。
定性的な側面では、きずなホールディングスは日本における家族葬においてパイオニアであります。また、非常に高いプレゼンスを有しており、優れたノウハウをお持ちです。 燦ホールディングスは2023年より家族葬に特化した新葬儀ブランド「エンディングハウス」を立ち上げているので、両社の協業により家族葬のサービスやオペレーションのノウハウ、人材を活用することで、更なる成長を遂げることが可能であり、お客様それぞれの価値観に合った家族葬、高い付加価値のサービスを提供することができるものと想定しております。
昨今の人材が不足している状況のなかで、「いかに優秀な人材を確保しながら、管理業務の事業インフラを共有することによって定常業務の効率化を進めるか」は私たちのサービス事業にとって非常に重要な課題です。
当社は亡くなられた方を生前の元気なお姿に戻す衛生保全処置技術「エンバーミングサービス」、あるいは、大切な人を亡くして悲しんでおられる方の心をケアする「グリーフケア」の活動を行っております。このような面でも高い付加価値のあるサービスの導入や拡大をすることで、両社の収益機会の向上を図っていけると考えております。
■今後の経営戦略について
<きずなホールディングス 中道社長より>
これまで当社は企業規模がまだまだ小さく、物理的に様々な方向へ挑戦していくことが難しい状況でしたが、今現在従業員数も1,000名規模に近づき、いよいよ幅広いサービスを提供できる段階に入ってきたと感じております。
90年以上の歩みがあり、業界を先行されている燦ホールディングスと統合することで、色々と教えていただきながら、今後、事業領域を拡大していきたいと考えております。
<アドバンテッジパートナーズ 束原パートナーより>
基本的に託して手を放していく我々の立場としては、非常に安心感を得ているとともに、期待を寄せております。また、サービス業としては、お葬式という人生の最期に関与している究極のサービスという価値に非常に強い関心を寄せております。ライフエンディングパートナーという形で葬儀事業が再定義され、家族葬のイノベーションを手掛けられて、この2社の経営統合が成功しないはずがないと思っております。
<燦ホールディングス代表取締役 播島より>
我々のグループが現在取り組んでいる「新10年ビジョン」、そして中期経営計画では葬儀事業の拡大を重要な戦略として掲げております。両社の統合によって今後さらに葬儀事業とライフエンディングサポート事業の拡大を行っていきたいと考えております。また、両社の既存出店エリアにおけるドミナント出店を促進をすることによって、周辺エリアの事業拡大とお客様に対してのライフエンディングサポートサービスメニューの拡充と、販路の拡大をしていきたいと考えております。
さらに、特にお葬式のことにつきましては、きずなホールディングスがこれまで進めてこられた家族葬のサービス品質のノウハウをしっかり指導していただきながら、良いものを作っていけるように進めていきたいと考えております。
創業100年を迎える2032年3月期までに210店舗を出店すると「新10年ビジョン」にて公表しておりますが、今回の経営統合により達成されます。しかしながら、それに甘んじることなく積極的に事業エリアを拡充していきたいと考えております。エンバーミングやグリーフケアをさらに拡大していく良い機会と思いますので、収益機会向上の促進をはじめ両社でさらなる成長の可能性を協議し、実現していきたいと考えております。
最後になりますが、ライフエンディングサポート事業の事業会社として、日本の広い範囲で高い品質のサービスを提供し、日本におけるエンディング業界のナンバーワン企業を目指していきたいと考えておりますので、皆様のご支援を何卒よろしくお願い申し上げたいと思います。
■燦ホールディングス株式会社とグループ事業会社
・燦ホールディングス株式会社
・株式会社公益社
・株式会社葬仙
・株式会社タルイ
・ライフフォワード株式会社
・エクセル・サポート・サービス株式会社
■株式会社きずなホールディングスとグループ事業会社
・株式会社 きずなホールディングス
・株式会社 家族葬のファミーユ
https://www.famille-kazokusou.com/
・株式会社花駒
・株式会社備前屋
■株式会社アドバンテッジパートナーズ
・株式会社アドバンテッジパートナーズ