現在日本全国に10施設を展開する、非日常的な空間でショッピングにとどまらない体験価値を提供するアウトレットモール、プレミアム・アウトレット(三菱地所・サイモン株式会社運営)。2022年のりんくうプレミアム・アウトレットへの導入を皮切りに、現在4施設のフードコートで施設特化型モバイルオーダーシステム「NEW PORT」をご活用いただいています。今回はご担当者お二人をお招きし、モバイルオーダーの効果や、フードコートの未来像についてお伺いしました。
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プレミアム・アウトレットご担当者
松尾 暢子様(三菱地所・サイモン株式会社)
泉 竜治様(三菱地所・サイモン株式会社)
進行:三吉 達也(スカイファーム株式会社)
執筆:大武 和生(スカイファーム株式会社)
コロナ禍から機運の高まったモバイルオーダー
三吉:
2024年時点で御殿場、りんくう、酒々井、ふかや花園の4施設のフードコートでモバイルオーダーシステム「NEW PORT」をご利用いただいておりますが、実施のきっかけでしたり、当初の課題感としてどのようなものがあったのでしょうか?
松尾様(以下 敬称略):
特に休日は顕著ですが、フードコートはどうしても店頭の待機列ができてしまうものです。また、ご家族で食べたい店が分かれる場合は、それぞれが各店舗に並ぶか、食べたい物を諦めて全員が同じ店舗で購入する方も多く、食事をするまでのストレスが課題でした。加えて、検討していた時期にちょうど新型コロナウイルスが蔓延しはじめたことによる
密の回避に対する機運も高まっていました
ので、密を避けつつ利便性を向上する目的でモバイルオーダーの導入に踏み切りました。
また、店舗や商品が一覧表示されることで、お客様が座席から気軽に追加注文しやすくなり、店舗の売上拡大を図れることも導入を決めた理由です。
三吉:
モバイルオーダーが一気に浸透してきたのはまさにコロナ禍からでしたね。人混みの回避など、お客様自身の行動変容が大きく影響していた印象があります。
実際にモバイルオーダーをお客様に利用いただく上で、効果のあった施策はありますか?
松尾:
まずは一度使っていただく。心理的にどうしても初回の利用がハードルにはなるので、モバイルオーダーで使える割引クーポンを配布しました。ポスターやサイネージなどお客様の目に入る場所でしっかりとサービスの訴求をしつつ、実際にお使いいただける動機づけをすることで、便利さやスマートさを感じ取っていただけるように企画をしました。
三吉:
ロケーションなどから高頻度で訪れるショッピングモールではなく年に何度か足を運ぶプレミアムなショッピング空間、という位置付けの施設なので、尚のこと初回のハードルを取り払う取り組みは重要ですよね。
グループカード連携の実現
三吉:
モバイルオーダーの特徴や、店頭注文との違いはどういったものがありますか?
松尾:
店頭でのご注文より、
モバイルオーダーでのご注文の方が客単価は高くなっています
。商品ページを見ているうちに「これも美味しそう!」「これも食べてみたい!」と食欲がそそられ簡単に注文できるためだと推察しており、目的の1つであった売上拡大に繋がっている実感があります。
三吉:
店頭のサインだとなかなか目が行き届かないサイドメニューやオプションも、スマホ上に一覧で可視化されるのは大きな特徴ですね。
松尾:
NEW PORTの
買いまわり(複数店舗同時購入)機能
も客単価向上を促進している印象です。特にご家族連れのお客様などからご利用いただいていて、店舗ごとに都度注文する必要がないのは時短の面でも良いかと思っています。
三吉:
A店舗でメイン料理を注文、B店舗でサイドメニューやドリンクを注文されるお客様をよく見かけます。
泉様(以下 敬称略):
プレミアム・アウトレットでは三菱地所グループCARDでお買い物をするとポイントが貯まる仕組みをとっているのですが、以前導入していたモバイルオーダーシステムは、ポイント付与の対象外でした。NEW PORTはポイントを付与できるシステムへ改修いただき、
三菱地所グループCARDの会員様にとってよりお得なシステムを実現
できたのは大きかったです。
松尾:
NEW PORTというベースのシステムは他社様も共通ですが、当社のフードコートのサービスとしてお客様やテナント様にご利用いただきますので、施設のサービスとして認識されるためのサービス名表記やページアイコンの柔軟性など、改修はスカイファーム様とすり合わせを続けながら実装いただきました。
三吉:
いわゆるモバイルオーダーのホワイトラベル化と我々は呼んでいて、やはりその施設ならではのサービスとして違和感なくお使いいただける点は非常に大事にしています。
食事そのものを快適に楽しめる空間の提供
三吉:
対してNEW PORTにこんな機能があれば…というものはありますか?
松尾:
海外からのお客様も多く来場されますので、ストレスなくモバイルオーダーをお使いいただけるよう注文ページの多言語化は必須になってくると思っています。
あとは決済手段をより多様化していくことで、若年層などこれまでアプローチしきれなかった層にも心地よく使っていただけるサービスにしていきたいですね。
三吉:
モバイルオーダー上でも、お客様一人ひとりにもれなく同じサービスレベルをご提供していく。
泉:
これまでのフードコートは、サクッと食事をする、次のショッピングまでのちょっとした休憩場所、という位置付けが大きかったと思います。今後は、より食そのものを楽しんでいただける場所にしていきたいと考えています。システム自体はあくまでもお客様が気持ちよく過ごしていただくためのサポートツールだと思うので、
違和感なくモバイルオーダーを使っていただけるような空間に
なればいいなと。
三吉:
並ぶのが当たり前だったフードコートで、今後は違和感なく当たり前のようにモバイルオーダーをお使いいただける。
泉:
例えば初めてiPhoneが出た時も、「どうやって操作するの?」「本当に便利なの?」という疑問や違和感は私自身もですが皆が感じていました。これまで世になかったものをどうお客様が違和感なく、日常に受け入れて使っていただけるか。
そこに行き着くまでの道づくりがすごく大変だと思うので、過渡期の今こそ一緒に取り組みを続けていきたいですね。
ただ、モバイルオーダーが当たり前になると次なる課題が出てきます。例えば、各店舗に注文がどれだけ溜まっているか、お客様が視認できないという問題が出ます。
モバイルオーダーの画面上で「何人待ちです」のような混雑表示までできるようになると良いのかなと考えつつ、サービスの根本の価値を高める最適解については共に模索していきたいと思っています。
三吉:
弊社でもモバイルオーダー上の待機情報の可視化は利便性向上のために必要な機能だと考えています。
いわゆるDXの文脈でどんどんデジタル上に情報が吸い込まれた分、リアルで目に見えなくなったところも一元で表現できれば、サービスレベルを担保した、より快適な食事体験が実現できそうですね。
モバイルオーダーが当たり前のフードコートへ
三吉:
今後3年、10年といった中で、御社の描かれているフードコートの未来像はなにかあられますか?
泉:
お店の前に待機列ができないようなフードコート
が出来ていれば良いなと思っています。これまでの常識でいうとフードコートは店頭に並ぶのが当然として定着していると思いますが、例えば店の前までいっぱいに椅子とテーブルがあれば、必然的に並べなくなるじゃないですか。それは商業施設側の目線でも収容人数が増やせるので理想形ではあります。今の店頭注文とモバイルオーダーが共存している世界線から一歩フェーズを上げて、効率性と快適さの調律のとれたフードコートをコーディネートしていければと思っています。
◼︎NEW PORTとは
NEW PORTはデリバリー、テイクアウト、テーブルオーダー、OMOを備えた施設特化型モバイルオーダーシステムです。独自スクラッチ開発を要せずスピーディー且つフレキシブルに施設独自のサービスの展開を実現いたします。
◼︎本件及びNEW PORTに関するお問合せは下記までご連絡ください
E-Mail:marketing@sky-farm.co.jp