認定NPO法人フェアトレード・ラベル・ジャパン(東京都中央区/事務局長 潮崎 真惟子、以下「フェアトレード・ジャパン」)は、企業のサステナブル調達やSDGsの活動にフェアトレードの導入を推進するため、社内で年間を通じて継続的に国際フェアトレード認証製品を提供または使用し、社会的インパクトの拡大を推し進める企業を登録する「フェアトレード・ワークプレイス登録制度」を開始しました。登録企業(8月1日現在)として名前を連ねるのは、アストラゼネカ株式会社、コニカミノルタジャパン株式会社、株式会社トプコン、豊田通商株式会社、日本郵船株式会社、株式会社NTTデータグループ、大日本印刷株式会社と、幅広い業種にわたります。
フェアトレード・ワークプレイス登録制度は、社内食堂や来訪者向け飲食・物品などのノベルティ、制服などを国際フェアトレード認証製品に切り替え、年間を通して継続的に調達することで、日本国内に法人を有する事業団体であればあらゆる業種で登録できる制度です。ランクは2種類あり登録資格を満たした企業には【フェアトレード・ワークプレイス】が、調達量が指定の数量基準を超え生産者へのインパクトをより創出した企業は【フェアトレード・ワークプレイス ゴールド】が与えられます。
フェアトレードは元来、フェアでサステナブルな生産と取引を促進し、コーヒーやカカオ等の原料生産から製品になるまでのサプライチェーンに関わる企業(メーカー、商社等)を認証する仕組みです。更なるフェアトレード拡大においては、つくられたフェアトレード製品を活用していく企業や個人の存在が非常に重要であることから、今回新たな制度のもとでこうしたフェアトレード製品を活用する企業を称え、登録していくこととなりました。新制度により、近年増加している企業の間接材におけるフェアトレード調達を加速させ、生産国への還元・社会的インパクトを拡大することを企図しています。フェアトレード・ワークプレイス登録制度は、社内の飲料や物品などをフェアトレード認証製品に切り替えることで気軽に継続的にサステナブル調達に取り組むことができ、外部評価や企業価値の向上に繋がるほか、従業員のサステナビリティ意識やロイヤリティ向上にも繋がります。
国際フェアトレード認証は世界で最も認知・信頼され普及している認証の一つと言われています。国内の市場規模は2023年に211億円と初めて200億円を突破し、為替の影響や原料価格の高騰等に直面したものの、前年比+7.6%の成長となり拡大を続けています。近年企業のサステナビリティの取組みが加速する中、2022年に経済産業省より「責任あるサプライチェーン等における人権尊重のためのガイドライン」が発表され、企業は自社の人権リスクの認識と対応の強化、サプライチェーンの透明化などがより求められるようになってきています。
国際フェアトレード認証は労働者の権利を守り適切な労働条件や賃金を確保し、環境に優しく持続可能な生産のための取組みを進めるなど、国際フェアトレード認証製品を取り扱うことは、サステナビリティ調達やSDGsの活動を進め・社内外にアピールするための有効な手段の一つです。
■認定NPO法人フェアトレード・ラベル・ジャパン 事務局長 潮崎真惟子 コメント
フェアトレード・ワークプレイス登録制度の開始により、あらゆる業種の企業の皆さんがフェアトレードに取り組んでいただきやすくなったことは、フェアトレードにとって大きな変化です。企業のサステナブル調達の取組みが進む中、自社商品に直結する原料等の直接材は勿論のこと、それ以外の間接材においても人権・環境に配慮することが求められており、まさにその点に合致する制度です。企業が社内食堂や制服等として調達する食品やコットン等の量は非常に多く、当該分野のサステナブル調達は社会的に大きなインパクトがあります。
また、企業側のメリットとして、対外評価の向上のみならず、従業員のサステナビリティ意識の向上にも大きく効果があります。自社内の食堂や制服等の身近な場で従業員の方がフェアトレード商品を目にすることで、会社の社会貢献への姿勢を示し、他の全社的なサステナビリティの取組みの浸透やロイヤリティ向上にも繋がっていきます。
総務部や購買部、CSR部などで活躍されている方に是非ご注目いただきたいです。2024年7月からスタートした本この制度は1年で20社の登録を目標としています。フェアトレード・ジャパンは従来の国際フェアトレード認証制度とフェアトレード・ワークプレイス登録制度を通して、幅広い形で企業と連携し、生産者の権利と持続可能な生産を守っていきます。
■登録企業 コメント
【フェアトレード・ワークプレイス・ゴールド】登録企業4社
●企業名:コニカミノルタジャパン株式会社
「2013年の本社移転時に社内Caféを設け、本社で働くメンバーが自然な流れで日常飲料の購買を通じて社会貢献活動に参画できるよう2014年からフェアトレード飲料(コーヒー/紅茶)の販売を開始しました。コロナ禍を経た2023年、年間約2万杯のフェアトレード飲料が購買されています。その他にも自社で印刷しているコースターに、フェアトレード商品取り扱いの意義等を記載しPRしています。
フェアトレード商品取り扱い当初は、来訪者の方々や社員の反応は強かったのですが、10年以上継続しているため現在はすっかり日常に溶け込み「当たり前」のことのように受け入れられています。長年当たり前のように取り組んできたことが、今回のGold登録につながったことで、再度、社内の意識が強まる良い機会になります。本社以外での取組やフェアトレード・ノベルティの取扱い増加につながるよう促進して参ります。」
●企業名:豊田通商株式会社
「2022年6月より社員にフェアトレード商品を知ってもらう目的から、社員食堂のカフェでフェアトレードコーヒーの提供を始め、現在は年間8万杯以上を社員が利用しています。当コーヒーを購入し飲むことで生産国の子どもの明るい未来へ貢献できること、また世界の社会課題やフェアトレードコーヒーの実態を知るきっかけになったとの社員の声もあり、フェアトレードへの意識が高まっています。今後も世界の社会課題を解決するフェアトレード商品を、社内外で取り扱っていきたいと思います。」
●企業名:日本郵船株式会社
「日本郵船本店の社員喫茶室では、2016年4月より販売する全てのコーヒー・紅茶を国際フェアトレード認証ラベルの商品に切り替えました。全面切り替えまでの当初1年は、フェアトレードに対する社内の認知度を上げるため、喫茶室にフェアトレードコーヒーに関するパネルを設置、ミニカードを作成し配布、講演会を行う等の情宣活動を行いました。
提供開始から今年で8年、今ではフェアトレードのコーヒーや紅茶は社員にとって馴染みのあるものになり、喫茶室に定着しています。」
●企業名:大日本印刷株式会社(DNP)グループ
「DNPグループは2006年、来客用コーヒーに国際フェアトレードラベル認証製品を導入。2018年には認証コーヒーの社内消費が100万杯に達しました。そのほかにも、認証砂糖を使用したお菓子、認証アイス、認証コットンを使ったノベルティなどにも導入し、「社内消費のパイオニア」として、フェアトレード・ラベル・ジャパンから「第1回フェアトレード・ジャパン アワード」で「フェアトレードオフィス部門 優秀賞」として表彰されました。現在は社内のカフェでの提供やドリップバッグの社内販売などで、年間10万杯以上を消費しています。
こうした取り組みは、会社が事業活動を通じて継続的に「公正な取引」に貢献するだけでなく、 社員が個人として人権に関する理解を深め、自ら寄与する機会を提供しています。また、企業・団体・教育機関など、パートナーとの連携を深めるきっかけにもなっています。DNPグループは今後も「できることを継続的に」フェアトレードの普及に取り組んでいきます。」
【フェアトレード・ワークプレイス】登録企業3社
●企業名:アストラゼネカ株式会社
「グローバルなバイオ医薬品企業であるアストラゼネカは、事業戦略の中心の一つにサステナビリティを掲げ、事業の成長とサステナビリティの推進の両立を目指しています。日本法人では、2024年2月より社内カフェで国際フェアトレード認証のコーヒーと紅茶の提供を開始し、今年5月までに6,700杯以上を従業員やオフィス訪問者に提供しています。また、本導入に伴い、フェアトレード・ラベル・ジャパンご協力のもと、従業員向け勉強会を行いました。勉強会では、「コーヒー2050年問題」とともに、フェアトレードについて理解を深め、消費者としての私たち一人ひとりの行動が、サステナビリティ推進や生産者へどのように影響を与えるかについて考える機会となりました。勉強会の様子は、アストラゼネカのコーポレートサイトおよびソーシャルメディアで紹介し、フェアトレード商品の周知にも貢献しています。引き続き、教育と普及をセットに、取り組みを進めて参ります。」
●企業名:株式会社トプコン
「2021年、従業員が着用する「ユニフォーム」のデザインを約30年ぶりに変更することになり、この機会にフェアトレードコットンを採用しました。新ユニフォームを決めるプロジェクトチームのメンバーから「せっかくの機会だから何か新しいものを取り入れたい」という声があがり、試行錯誤のなか「フェアトレードコットン」に出会いました。フェアトレード・ラベル・ジャパンの活動は、トプコングループの経営理念「社会的課題を解決し、豊かな社会づくりに貢献する」にも親和性があることから、フェアトレードコットンを採用することを決定しました。約6カ月を掛けて、新デザインのユニフォームが完成。ポケットの位置や数、ファスナーへの変更など、製造現場の声を取り入れて機能面を向上させたほか、フェアトレードの認証ラベルを右肩部分に入れました。現在、このユニフォームは東京・板橋本社や山形、福島などの国内拠点や営業所にいる従業員が着用しています。」
●企業名:株式会社NTTデータグループ
「NTTデータグループは長期的な視点を持ったサステナビリティ経営を推進するために、「Realizing
a Sustainable Future」というスローガンのもと、環境・経済・社会の3つの軸を定め、9つのマテリアリティを掲げています。この3つの軸のうち、「社会―誰もが健康で幸福に暮らせる社会の実現」に関連するフェアトレードの取り組みに共感し、2007年より自社での導入を進めています。来客用のコーヒーをフェアトレード製品に変えるところからはじめ、2014年頃からはフェアトレード認証の社名入りコットンバックを作成し、社内のノベルティとしても活用しています。今後も社内外でフェアトレード認証の商品を推奨し、サステナブルな社会の実現に貢献していきます。」
フェアトレード・ワークプレイス登録制度について
■登録資格
1.日本国内に法人格を有する事業団体であり、当制度への登録担当窓口となる部署を指定し、部署責任者と担当者の複数名を登録すること。
2.フェアトレード認証製品を年間を通じて継続的に購入し、フェアトレードの普及拡大に貢献する企業等であること。
※単発イベント等による消費は対象外。主な取り組み事例は以下である。
・飲料:コーヒー、紅茶、ココアなどのフェアトレード飲料の提供
・食材:食堂等でスパイス、ごま、バナナ、カカオなどのフェアトレード認証原材料を使用して調理した食品の提供
・物品:事業活動において作業着、シャツ、制服、タオル、エコバッグなどのフェアトレード認証コットン製品の使用または提供
3.社内外において国際フェアトレード認証の周知や参加の呼びかけを行い、フェアトレードの普及・推進に積極的に努めること。
■登録ラベルとランク
・フェアトレード・ワークプレイス:上記の登録資格を満たす法人が登録できる。
・フェアトレード・ワークプレイス・ゴールド:上記の登録資格に加えて、直近年度の一年間の提供数/使用数が以下のいずれかに該当する法人が登録できる。
【飲料:2万杯以上提供/食材:1万食以上提供/物品:5千点以上使用または提供】
■手続き
「フェアトレード・ワークプレイス登録制度規約」及び「フェアトレード・ラベル・ジャパン個人情報保護規約」をご確認の上、フェアトレード・ラベル・ジャパンのホームページまたは「登録申請書」をメールで提出してください。
■登録料
当制度への登録に係る費用は無料です。
【フェアトレードとは?】
フェアトレードとは直訳すると「公平・公正な貿易」です。通常の取引では、市場価格の情報や販売先の選択肢の欠如により、末端の小規模生産者は、安く買い叩かれてしまうことが今も多くあります。その結果、生産者の生活水準低下、コスト削減を目的とした児童労働・強制労働、過剰な農薬による環境破壊や生産者が健康被害をうけるという問題が引き起こされます。フェアトレードは、人と環境に配慮して生産されたものを適正な価格で取引し、持続可能な生産と生活向上を支援する仕組みです。フェアトレードによる取引では、適正価格の保証・プレミアムの支払い、児童労働・強制労働の禁止、環境に配慮した生産などが行われます。国連のSDGs(持続可能な開発目標)の17の目標全ての達成に寄与すると言われ、特に8つ(目標1貧困、目標2飢餓、目標5ジェンダー、目標8労働環境、目標12持続可能な消費と生産、目標13気候変動、目標16平和、目標17パートナーシップ)の達成に大きく寄与すると言われています。
【認定NPO法人フェアトレード・ラベル・ジャパン】
1993年設立、2023年11月に30周年を迎えた認定NPO法人。国際フェアトレードラベル機構(Fairtrade International)の構成メンバーとして、日本国内における国際フェアトレード認証ラベルの認証・ライセンス事業、フェアトレード の啓発・アドボカシー活動を行います。国際フェアトレードラベル機構は、公正な取引を通じた世界の貧困問題の解決、生産者の持続可能な生活の実現を目指して1997年設立された国際組織。現在開発途上国 70カ国・200万人以上の生産者・労働者と消費国30カ国メンバーが参加しています。(
https://www.fairtrade-jp.org/
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