現在の植樹地であるチャカンドール地区では2019年からの6年間で21,000本の苗木を植樹しています。苗木は、現地の気候風土に合う在来種(オドラティシマタブノキ、クスノハカエデ、モクセイ等)を植えました。過去に植樹した場所では、すでに木々が大きく成長し、多くの生物が暮らす「ふるさとの森」として豊かな自然環境を形成しています。また、来年以降の植樹予定地であるスワヤンブナート寺院でも試験的に1,000本の植樹を実施しました。
ネパールでの植樹活動は1999年に開始し、25年の間にネパール全体で植樹した本数は48万本以上、国内外での植樹本数は累計231万本を超えています。
■植物本来の力を引き出し、成長を促す「宮脇式植樹」
当社の植樹方法は、世界的に高い評価を受けてきた植物生態学者、故・氏が提唱した「宮脇式植樹」を採用しています。宮脇式植樹は、その土地本来の植生に基づく多種類の樹種を、混ぜながら密植することで植物本来の力を引き出して成長を促し、自然災害に強い「ふるさとの森」を生み出す植樹方法です。宮脇式植樹の実践により、ネパールの植樹地では短期間で豊かな森が再生しています。
▲植樹当時の様子(2019年) ▲5年後の様子(2024年) ▲植樹地付近の天然林
■現地の人たちに、宮脇式植樹を指導
毎年、植樹の実践と共に植樹の意義、ネパールの植生や植樹方法についての講演会を行っており、今回も、宮脇氏の後継者である横浜国立大学名誉教授の氏と、ネパールの植物生態学者で森林環境省植物資源室旧メンバーであるマヘンドラ・ナス・スベディ氏が、指導を行いました。
■山田養蜂場の植樹活動
当社の植樹活動の始まりは1998年にさかのぼります。当社代表の山田英生がネパールで行われた「アジア養蜂会議」を訪れた際、日本人などのエベレスト登山者のためにネパール全土の森林が大量に伐採されており、それに伴う大規模な土砂崩れが発生している実態を知ったことがきっかけです。
翌1999年にネパールで最初の植樹活動を開始し、2001年からは、現地の気候風土に合った在来種の木々を密植、混植する「宮脇方式」での植樹を実践しています。
同年に、日本への大量の黄砂の原因になっている砂漠化が進む中国北部で、横浜国立大学と共同で植生調査を開始し、2004年より本格的な植樹活動を続けています。
これまでに国内外合わせて231万本を超える木を植えてきました。
当社は、豊かな自然環境がないと成り立たない養蜂業を原点にしていることから、「自然との調和」を理念に掲げています。当社では、未来の子供たちに豊かな自然環境を受け渡す責任があるとの考えのもと、今後も植樹活動を続けることで、自然環境を回復し、人々の命を守る本物の森づくりに貢献してまいります。
■プロフィール
宮脇 昭(みやわき あきら)氏
1928年~2021年。岡山県出身。横浜国立大学名誉教授、(財)地球環境戦略研究機関国際生態学センター終身名誉センター長。ドイツ国立植生図研究所で潜在自然植生理論を学び、世界を舞台に国内外1,700ヶ所以上に、合計4,000万本を超える植樹を行ってきた。その土地本来の樹種「潜在自然植生」に基づく植樹を実践、指導。また、東日本大震災を受けて、植樹による緑の堤防づくりを提唱。2006年には、地球環境への貢献が認められ、日本の研究者として初めてブループラネット賞を受賞。
藤原 一繪(ふじわら かずえ)氏
1944年生まれ。横浜国立大学卒業。フランス中央研究機関(CNRS)、給費研究員(リール大学)、横浜国立大学大学院環境情報研究院教授などの経歴をもつ。現在、横浜国立大学名誉教授、横浜市立大学特任教授。故・宮脇昭氏と共に、国内外での森づくりを指導。著書に「九千年の森をつくろう」(共著)、「混源植物」、「環境問題を考える」(共著) 、「東南アジアの植物と農林業」(共著) 、「日本植生誌」 全10巻(共著)など。