株式会社アイリッジ(本社:東京都港区、代表取締役社長:小田 健太郎、東京証券取引所グロース:3917、以下「アイリッジ」)とディップ株式会社(本社:東京都港区、代表取締役社長 兼 CEO:冨田 英揮、以下「ディップ」)のディップ総合研究所は、15歳から49歳の男女約14,000名を対象に「コミュニケーションにまつわるアルバイトのEX※1に関する調査」(以下「本調査」)を実施し、調査結果※2をまとめましたのでお知らせします。
※1)EX(Employee Experience):従業員が企業で働く中で得られる体験のこと
※2)ディップ総合研究所「個人SNSで「つながらない権利」-アルバイト・パートの場合-」:
https://dip-soken.com/work/RctxwZkQ
本調査の背景
夏休みは、例年学生のアルバイト活動が盛んな時期となります。人手不足やスポットワークの台頭等を背景に、掛け持ちが増え、シフトのやり取りなどアルバイト関連のコミュニケーションが活発になる中で、「つながらない権利※3」の深刻化が懸念されます。特に、アルバイトが多く活躍する飲食業や販売業などでは個人的なSNSの業務連絡利用が常態化していることが多く、「プライベートな領域で、合意なくつながられている状況」も起きています。本調査ではこのような状況を踏まえ、つながらない権利の実態を調査しました。
※3)つながらない権利:勤務時間外や休日に仕事上のメールや電話への対応を拒否する権利のこと。フランスでは2017年に法制化され、業務時間外に業務連絡することに対する労使間への合意を定めている
調査結果ダイジェスト
・学費や貯金のため、44%の学生が夏休みにアルバイトを増やす可能性があると回答
・アルバイトで働く4割の方が個人SNSでの業務コミュニケーションを問題視。理由1位はつながらない権利への不安、3割が個人SNSの望まぬ交換を強いられた経験あり
・管理者側への調査では個人SNSでのやり取りへの問題意識と実情が噛み合わない現状がうかがえる
・アルバイトコミュニケーションのEXが向上しない理由は「合意に関する認識のズレ」と「コスト」
学費や貯金のため、44%の学生が夏休みにアルバイトを増やす可能性があると回答
・学生の31.1%、学生を除くアルバイト・パート(専業主婦/主夫を含む)の16.8%がアルバイトを2つ以上掛け持ち中
・未確定の人も含めると学生の44%が夏休みにアルバイトを増やす可能性があると回答した
・夏休みに増やしたいアルバイトはレギュラーバイトが69.8%、リゾートバイトなど短期バイト※4が47.7%、スポットワーク※5が30.2%だった
・アルバイトを増やす理由において、41.9%が「将来に備えて貯金するため」と回答。物価高などを受けた生活防衛意識の高まりが示された
※4)「バイトル」においては、3か月以内の勤務期間の仕事を指します
※5)一般的に短時間かつ短期間だけ働き、継続した雇用関係のない働き方を指します
アルバイト従業員の42%が個人SNSでの業務コミュニケーションを問題視
・アルバイトの業務上のコミュニケーションを個人的なSNSで行うことについては、27.8%が「できるだけ分けるべき」、14.2%が「望ましくないと思う」と回答。4割以上が問題視していることがわかった
・理由として最も多かったのは、「プライベートな時間に仕事の連絡が来ることを避けたいから」(46.9%)。いわゆる「つながらない権利」への不安や抵抗感を持っている人が半数近くにのぼることが明らかになった
・10代では「SNSは個人的な繋がりの人のみに留めておきたいから」(42.9%)が1位で、「自分のプライベートな一面を見られることに抵抗があるから」と「プライベートな時間に仕事の連絡が来ることを避けたいから」(各39.0%)が同率2位に。時間外の連絡有無以前に個人SNSで仕事のつながりを持ちたくない傾向が浮き彫りとなった
3割が望まぬ交換を強いられるなど、多くの人が個人SNSだからこその「つながらない権利侵害への不安」を経験
・実際に経験したトラブルの中では個人SNSへの業務時間外のメッセージが最も多く、4割弱が経験。2位はシフト相談などの連絡や通知の多さとなった
・意に反して仕方なく個人アカウントを教えた(33.1%)、断れない雰囲気になった(19.5%)という回答も目立った
管理者側への調査では個人SNSやり取りへの問題意識と実情が噛み合わない事態に
・アルバイト従業員が多く活躍する7業種に勤める管理者を対象とした調査では、社員側も概ね半数が個人SNSでのアルバイト従業員とのやり取りに問題意識を持っていることがわかった
・一方で、現実には主にLINEを中心とした個人SNSでのやり取りが幅広く行われており、最も割合の多かった飲食業では、ほぼ半数が個人SNSを介してアルバイトとやり取りしていると回答した
アルバイトコミュニケーションのEXが向上しない理由は「合意に関する認識のズレ」と「コスト」
・アルバイト従業員とのコミュニケーションに個人SNSを利用する理由の上位は、様々なリスクを回避するビジネスチャットツール利用が促進されない理由が複数挙げられた
・その1位は合意の取得。反面、ノーと言えずに個人SNSを交換させられているアルバイトが3割もいることから、本来個人SNSだからこそ合意が必要であることについての認識のズレが感じられる
・理由2位はコスト。ビジネスチャットツールは一人あたり数百円から2,000円弱程度の月額費用がかかるものが多く、利用頻度や期間も流動的なアルバイトに対し全員分契約するのはハードルが高いことが推察できる
・アルバイトコミュニケーションツールに求める機能は、1位が「シフト表も確認できること」(36.3%)、2位が「分かりやすく簡単に操作できること」(36.1%)だった
・特に個人SNSでのやり取り割合の大きかった飲食業では、一度回収した後のシフトの調整や交代・ヘルプ要請など、シフト関連の需要が全体に比べても高かった
コメント
調査では、働き方の多様化、物価高騰などを背景にアルバイトに励む人が増える中、3人に1人が意に反して個人SNSを業務ツールに取り込まれ、半数近くがプライベートな時間に業務連絡に煩わされるなど、「つながらない権利」を侵害されていることがわかりました。
アルバイト従業員のメンタリティに配慮しつつ、できるだけプライベートな空間に立ち入らないよう、管理者と有期雇用者との対話を通して、どのようなやり取りが適切なのかを話し合う環境を作れると良いでしょう。人が集まり、定着する職場づくりのためには、使用するツールやサービスをはじめ、連絡する時間帯や休日対応など、双方の合意を基に検討を行うことが重要なのではないでしょうか。(ディップ総合研究所 専任研究員 森 亜由葉)
ディップおよびアイリッジは、企業・アルバイトともにサステナブルな環境づくりに向けて、「つながらない権利」への理解促進やサービス開発を進めてまいります。
調査概要
調査名 |
コミュニケーションにまつわるアルバイトのEXに関する調査
・アルバイト向け:①就業状況・SNS見解調査 ②アルバイトコミュニケーション状況調査 ③夏休みのアルバイト調査 |
対象 |
①15歳~49歳の現在アルバイトをしている人 / ②①で個人SNSの業務利用を望ましくないと回答した、下記対象7業種でアルバイトをする人 / ③①で夏休みのアルバイトを増やす予定と回答した人 ④15歳~49歳の、アルバイトが中心の職場で働く社員 / ⑤④で個人SNSの業務利用を望ましくないと回答した、下記対象7業種での管理者 ※対象業種:飲食業、販売業、製造業、物流・軽作業、接客・サービス業、レジャー・エンタメ、教育・学習支援業 |
調査期間 |
①④2024年7月8日~2024年7月10日 / ②③⑤2024年7月12日~2024年7月16日 |
調査方法 |
インターネットリサーチ |
サンプル数 |
アルバイト:①7,016名 / ②656名 / ③335名、社員:④7,679名 / ⑤586名 |
ディップ株式会社
ディップ株式会社は、労働市場における諸課題を解決し、誰もが働く喜びと幸せを感じられる社会の実現を目指す“Labor force solution company”をビジョンに掲げ、人材サービス事業とDX事業を運営しています。企業理念「私たちdipは夢とアイデアと情熱で社会を改善する存在となる」のもと、事業活動を通じて持続可能な社会の実現に貢献してまいります。
社 名:ディップ株式会社(dip Corporation)
代 表: 冨田 英揮(代表取締役社長 兼CEO )
本 社:東京都港区六本木3-2-1 六本木グランドタワー31F
電 話:03-5114-1177(代表)
設 立:1997年3月
資本金:1,085百万円 (2024年2月末現在)
従業員数:2,964名(2024年4月1日現在の正社員)※契約・アルバイト・派遣社員除く
事業内容:求人情報サイト「バイトル」「バイトルNEXT」「バイトルPRO」「はたらこねっと」看護師転職支援サービス「ナースではたらこ」などの運営、DXサービス「コボット」の開発・提供、他
上場証券取引所:東京証券取引所(プライム市場)
売上高: 537億円(2024年2月期)
https://www.dip-net.co.jp/
株式会社アイリッジ
株式会社アイリッジは、企業のアプリビジネス支援とビジネスプロデュース支援を軸に、リテールテック、フィンテック、MaaS、業務支援等、幅広い領域でDXを支援しています。
アプリビジネス支援ではOMO*アプリの企画・開発における業界トップクラスの実績があり、手がけたアプリの月間アクティブユーザー数は国内最大級の約9,000万。開発から機能拡張、マーケティング施策まで行えるアプリビジネスプラットフォーム「APPBOX」が主力プロダクトです。
*Online Merges with Offline:オンラインとオフラインを統合したマーケティング
ビジネスプロデュース支援では、アプリに限定しない、コミュニケーションデザインの戦略立案からデジタルとリアルを統合した施策の企画・実行までを支援可能。グループ会社のQoilと連携し、プロデューサーとプランナー、クリエイティブディレクター等から成るチームで、”点”の相談を”面”の課題解決に導く独自の価値提供を行います。総合電機メーカーや金融サービス事業者、電気通信事業者等、業界トップ企業の幅広い実績を持ちます。