リアル拠点と不動産DXのシナジーで「地域社会で最も人によりそう住まいのデザインカンパニー」を目指しているハウスコム株式会社〔所在地:東京都港区 代表取締役社長執行役員:田村 穂 スタンダード市場 コード番号:3275、以下ハウスコム〕は、『2024年度“部屋選び”に関する調査』を実施しました。
ハウスコムは、ポストコロナの部屋選び調査を皮切りに2022年より毎年“部屋選び”に関する実態調査を実施しているほか、2023年からは卒業・就職など、部屋選びをする機会の多い「Z世代※1」に特化した調査も追加し、世の中の変化や世代などの違いで「住まいに求めるものがどう変わっているのか」、時代とともに日々変化する“部屋選び”に関する価値観や動向を見える化しています。
※1:Z世代は1990年代中頃から2000年代終盤までの間に生まれた世代とされており、この調査では調査時点で15~26歳の男女を対象にしています。
■調査の結果
1)経年調査からは、物価高や都心回帰の影響で「家賃」が上昇傾向であり、その結果、より手頃な間取りである「1LDK」が2位に浮上するなど「希望間取り」にも変化が出ていることが見て取れます。一方、単純な物件のスペックではなく、自分のライフスタイルに合っているかを重要視する傾向が、一層色濃くなっている点が特徴です。具体的には、「学校や会社から遠くても広い家に住みたい」と考える人の割合が45.0%と、前回結果(37.2%)を大幅に上回り、2年前の46.2%の水準に回帰しているほか、「家賃が高くても自分の好きな街に住みたい」も46.5%と2年前のコロナ禍に近い数値となりました。自分の「好き」を優先して住む街を選んだり、趣味や推し活など「好き」を考慮した広さの部屋を選んだりしている様子がわかる結果といえます。
2)Z世代の「部屋選び・家具家電選び」調査からは、かけた費用に対する効果など、「お金・時間・空間」の効率を追求する意識が特に高く、若者の部屋探しの3大要素は「コスパ」「タイパ」「スペパ」と言い切れる結果となりました。特に、コスパへの意識は92.5%と顕著で、好きなものにお金や時間を惜しみなく投資する一方で、無駄なものにコストをかけることは回避したい思いが他世代より強く、「失敗したくない意識」の表れだと推測しています。
ハウスコムでは、部屋選びや家具家電選びにおいて、住まいの効率のよさを意識する新しい価値観を「住まいパフォーマンス(略して“住みパ”)」と定義し分析したところ、Z世代では8割以上が“住みパ”を重視しており、他の世代に比べて高い割合であることが分かりました。その他、“住みパ”を高めるために活用している家電についてや、関東・関西・東海での“住みパ”意識の比較など、様々な切り口から“住みパ”に関するデータをまとめました。
(Z世代の部屋選びに関する詳細や“住みパ”の解説は後述)
<経年調査>
Ⅰ. 2024年度の“部屋選び” ~経年比較~
15~49歳の男女のうち1年以内(2023年5月以降)に賃貸物件に引っ越しをした、または今後1年以内(2025年4月まで)に引っ越す予定の人600人を対象に、部屋選びの条件やライフスタイルについての調査を行いました。
2. 2年連続で「築年数」の重視度が上昇
引っ越しの際に重視した(している)ことの1位は「家賃」(73.2%)でした。3位の「最寄り駅の路線/交通アクセス(勤務先、学校、都心部などに行きやすいか)」(52.3%)は昨年より3.2ポイント微減しています。
一方「築年数」(39.5%)は昨年からは1.7ポイント微増し、2022年の33.7%から2年連続で上昇しています。近年耐震基準が変化していたり、最新物件にオートロック、宅配ボックス、温水洗浄便座、IHコンロなどの設備が充実してきたりしている背景から、築浅物件の需要がより高まっているといえそうです。
また「建物の構造/遮音性」(26.3%)も4.8ポイント増加しました[図2]。働き方の変化や、住まいの満足度の要素として「音」を意識する人の増加によって、部屋選びでの「防音対策」の重視度は今後も上がっていきそうです。
4. “部屋選び”で「不動産ポータル/ウェブサイト」を見る人は約7割
部屋選びの際に利用したメディアや情報源について聞くと、「物件検索ができるウェブサイト※1」(65.0%)が圧倒的1位となりました。続いて「物件検索ができるアプリ※2」(32.3%)、「不動産仲介会社などの店舗(相談や内見)」(17.5%)がトップ3項目となりました。「物件検索ができるアプリ」は昨年より4.8ポイント増加しており、アプリ機能の充実などで利用者が増えていると考えられます。
「YouTube」「Instagram」「TikTok」がそれぞれ昨年より利用率が微増する中、「X(旧Twitter)」は微減しています。「SNSいずれか」を利用している人を見ると、2024年度全体では14.2%で、昨年度(12.2%)より2.0ポイント増加しています。こちらも今後物件探しにおける定番ツールとなりそうです[図4]。
Ⅱ. 家での過ごし方/ライフスタイルの変化 ~経年比較~
1.「学校や会社から遠くても広い物件」「家賃が高くても好きな街」の重視率がアップ
引っ越し時の考え方について聞いたところ、「学校や会社から遠くても広い物件に住みたい」(「とてもあてはまる」「ややあてはまる」の合計:45.0%)は、昨年度より7.8ポイント増加。「家賃が高くても自分の好きな街に住みたい」(同46.5%)は、7.3ポイント増加しました。2年前(2022年度)と比較すると、「学校や会社から遠くても広い物件に住みたい」は1.2ポイント微減、「家賃が高くても自分の好きな街に住みたい」は2.9ポイント微増し、同水準かそれ以上となりました。昨年はコロナ禍が明け、リモートワークやオンライン授業などが解除になった影響で、会社や学校の近くの物件を優先する人が増えましたが、今年は物件の広さや周辺施設など「好きな街」であることの重要性が再確認されたといえそうです[図5、6]。
3. 家の周辺にあって欲しい施設で「ドラッグストア」が躍進
「銀行・ATM」や「郵便局」は、「コンビニ」等のサービス拡充から需要減か
家の周辺環境について、あって欲しいと思う施設や場所を聞くと、1位は昨年同様「スーパー」(78.2%)となり、日常的な買い物に欠かせない存在であることが分かります。2位と3位は昨年度と順位が入れ替わり、2位「ドラッグストア」(67.5%)、3位「コンビニ」(63.5%)となりました。コロナ禍の食品購入拡大などを受け品ぞろえが多様化しスーパー化したドラッグストアが、人気を高めています。特に30代でのドラッグストア重視率が高く、「スーパー」と同率1位となる85.3%が回答しており、利便性を感じている人が多いようです。
「コンビニ」は昨年度より6.2ポイント減少しており、外出機会が以前の水準に戻っている今、箇所数が多くアクセスしやすい「コンビニ」については、必ずしも「行きつけ」が家の近くになくても良いという人が増えているのかもしれません。「銀行・ATM」(44.8%)は7.7ポイント、「郵便局」(37.3%)も6.3ポイントそれぞれ減少しており、こちらもスーパーやコンビニ、ドラッグストア内でのATM機の設置が進んでいることや、キャッシュレスの浸透、荷物の発送サービスの多様化などが影響していることが考えられます[図8]。
<Z世代が意識する“部屋選び”の新基準【住みパ】>
関東、関西、東海エリアに在住の人のうち、1年以内(2023年5月以降)に、自身で部屋選びをして「賃貸物件」に引っ越しをした、または今後1年以内(2025年4月まで)に引っ越す予定の、Z世代の男女505人と27~49歳の男女190人を対象に、部屋選び・家具家電選びの際に意識することに関する調査を行いました。
1.8割以上のZ世代が“住みパ”を意識、部屋選びにおける新トレンドの兆し
Z世代が部屋選び・家具家電選びの際に、「コストパフォーマンス(以下、コスパ)」「タイムパフォーマンス(以下、タイパ)」「スペースパフォーマンス(以下、スぺパ)」をどれだけ意識しているかを見ると、Z世代はそれ以外の世代と比較して、いずれも「意識していた/いる」と回答した人の割合が高い結果となりました。
特に「コスパ」(92.5%)は9割以上と大多数が意識しており、「Z世代以外」(88.1%)より4.4ポイント高い結果となりました。また、「タイパ」は「Z世代」(88.1%)が「Z世代以外」(80.1%)より8.0ポイント高く、最も大きな差がみられ、時間を効率的に使うことへの意識が他の世代と比較して高いことが分かりました。「スぺパ」も、「Z世代」(84.8%)は「Z世代以外」(80.7%)より4.0ポイント高い結果となりました。
「住みパ」を構成する「コスパ」「タイパ」「スぺパ」について、世代にかかわらず重視する人が多い中、とりわけZ世代はより高い割合で“住みパ”を意識して部屋選び・家具家電選びを行っていることが分かりました。デジタルネイティブ世代でもある「Z世代」は、何かを買ったりどこかへ行ったりする際もインターネットやSNSを活用して素早く情報を集め、なるべく短時間で選択にたどり着くことを重視していると考えられます。そしてそれはデジタルの中だけでなく、オフラインで行われる行動でも同様で、家事や移動といったオフラインでのアクションに際しても無駄を避け、省略しても支障がないものはやらない、同時にできることは同時にやる意識が強いと思われます。部屋選び・家具家電選びにおいてもそういった「タイパ」を重視する傾向が強く出る結果となりました[図9]。
多数のZ世代が意識していることが明らかになった“住みパ”ですが、具体的にどのようなことが意識されているのでしょうか。部屋選びと家具家電選びそれぞれにおける詳細の結果に加えて、“住みパ”を高めるための家具家電、エリア別の“住みパ”意識、自由回答で聞いた「住みパを上げるために工夫していること」を紹介します。
1. “住みパ”を上げるための部屋選びのコツ3選
★コスパ対策:「割安物件(穴場エリア、リノベ物件、家具家電付物件など)」から選ぶ(68.7%)。
★タイパ対策:「移動時間」(47.3%)、と「手間」(29.6%)を減らす。
★スペパ対策:「DIY可能物件」(14.2%)や「ロフト付き物件」(11.6%)で空間を有効活用する。
I.コスパをあげる部屋選び -まずは家賃相場と仲介手数料の安さを意識-
部屋選びの際にコスパを上げるために意識していた/していることとしては、Z世代とZ世代以外のどちらも共通して「家賃相場が安い(穴場)エリアを意識」が最も高い結果となりました。
穴場エリア・リノベ物件・家具家電付き物件・ソーラーパネル付き物件のいずれかを回答した(割安物件を意識した・計※1)Z世代は68.7%、Z世代以外は49.4%で19.3ポイントの差に。初めての一人暮らしである場合が多く一つの物件に住む期間も短いと考えられるZ世代は、リーズナブルな価格でデザイン性の高い特徴を持つ「リノベーション物件」や、初期費用を安く抑えられ入居時と退去時にかかる手間が少ない「家具・家電付き物件」などの割安物件を意識する傾向が強いといえそうです。また、「防音対策」の重視度は、Z世代が11.3%、Z世代以外は6.3%で約2倍の差に。Z世代の方が相手との距離感やプライバシーを重視する傾向にあることが分かりました。マンションで発生するトラブルの中でも多いのが騒音ですが、自分では騒音を出していないつもりでも、聞こえ方によっては苦情につながることもあります。また、過度な騒音は、ストレスや不眠といった健康被害を招く危険性もあり、相手との距離感やプライバシーを重視するZ世代はより、部屋の遮音性を気にしていると考えられます[図10]。
※1:【割安物件を意識した・計】…「家賃相場が安い(穴場)エリアを意識した/している」「相場より安く住むためにリノベーション物件を見た/見ている」「費用節約のため家具・家電付き物件を見た/見ている」「光熱費節約のためソーラーパネル付オール電化物件を見た/見ている」のいずれかを回答した人の割合
Ⅲ.スペパを上げる部屋選び -同じ6畳でも、広く感じられる構造を意識-
部屋選びの際に意識したスペパ項目として、天井が高い・ロフト付き物件のいずれかを回答した(部屋の構造を意識した・計※4)Z世代は20.6%、Z世代以外は12.7%となりました。さらに「DIY可能物件」への関心はZ世代14.2%、Z世代以外7.3%と約2倍の差となりました。近年はマンションの住宅面積が減っていたり、テレワークの普及によって部屋に求められる役割が増えたりといった社会背景から、空間の有効活用で住まいの「スぺパ」を上げたいと考える「Z世代」が多いと考えられます[図12]。
※4:【部屋の構造を意識した・計】…「部屋が広く感じられるよう、天井が高い物件を意識した/している」「部屋を広く使うため、ロフト付き物件を意識した/している」のいずれかを回答した人の割合
3. “住みパ”をあげるための家具家電選びのコツ3選
★コスパ対策:「逆にいいものを買う」(30.8%)
★タイパ対策:選択肢を絞って「素早く決める」(28.3%)、家事時間を減らせる「最新家電の活用」(26.8%)
★スペパ対策:サブスクなどのサービス活用を含めた「物を減らす」工夫(40.2%)をする。
Ⅱ.タイパを上げる家具家電選び -選択肢を絞ることがタイパへの近道-
家具家電選びの際に意識したコスパ項目として、1店舗で購入・ブランドを絞って選ぶのいずれかを回答した(選択肢を絞って素早い決定を意識した・計※6)Z世代は28.3%、Z世代以外は16.3%となり大きく差がつきました。また、料理時間・家事時間を減らせるのいずれかを回答した(最新家電を意識した・計※7)Z世代は26.8%、Z世代以外は14.4%でした。Z世代は、Z世代以外に比べて「選択肢を絞った素早い決定」や「最新家電の活用」をかなり意識していることが明らかになりました。選択肢も多く、インターネット上でさまざまな情報があふれている中で、「選ぶ時間」も無駄と感じるZ世代は実店舗を利用したり、信頼できるブランドに絞って選択を行ったりすることでタイパを稼いでいると考えられます[図14]。
※6:【選択肢を絞って素早い決定を意識した・計】…「購入にかかる時間を減らすため、なるべく1店舗で購入することを意識した/している」「選ぶ時間を減らすためブランドを絞って選ぶことを意識した/している」のいずれかを回答した人の割合
※7:【最新家電を意識した・計】…「料理時間を減らせる家具・家電(自動調理鍋、電気圧力鍋、オーブンレンジなど)を意識した/している」「料理以外の家事時間を減らせる家具・家電(衣類乾燥機、食器洗い乾燥機、ロボット掃除機など)を意識した/している」のいずれかを回答した人の割合
4.“住みパ”を高める最強家電「電子レンジ」。コスパ・タイパ・スぺパにおけるZ世代の味方
家具家電に対する価値観について、①「必要だと思う家具家電」②「コスパ重視で選ぶ家具家電」
③「移動や家事のタイパが上がると思う家具家電」④「多機能で便利な家具家電」を聞きました。
Z世代が①「必要だと思う家具・家電」のトップ3は「電子レンジ」(86.9%)「冷蔵庫」(84.1%)「エアコン」(83.4%)となりました。一方、Z世代以外ではトップ3は項目としては同じですが、「冷蔵庫」(95.4%)が最も支持を集めています。
②「コスパで選ぶ家具・家電」でもトップ3項目は同様となり、必要なものをしっかりとコスパを見極めて購入している様子がうかがえます。③「移動や家事のタイパが上がると思う家具・家電」④「多機能で便利な家具・家電」では、「電子レンジ」「洗濯機(乾燥機能あり)」「冷蔵庫」がトップ3となりました。Z世代以外では、タイパが上がる家電の1位は「洗濯機(乾燥機能あり)」で、洗濯における時短や手間の短縮がより支持されているようです。
全てのランキングで「Z世代」の1位となったのは「電子レンジ」で、「Z世代」の生活に最も根付き、活用されている家電であることがうかがえます。昨今、「電子レンジ」を活用した簡単・時短レシピを紹介するショート動画などがSNS等で多数紹介され人気を集めており、鍋やフライパンを使う必要がなく、調理時間や洗い物も時短できることから、“住みパ”の観点でも「電子レンジ」は今後も重宝されそうです。
6.Z世代が行っているその他の“住みパ”を上げるための工夫
Z世代が「住みパ」を上げるために行っている工夫を自由回答で聞いてみると、コスパを上げるために、「なるべく日光で生活」(女性18歳)などの光熱費を抑える方法や、「ひとつの家電量販店で全ての家電を買い、値引き交渉を行った」(男性21歳)のような、まとめ買いでお得に購入をしている様子も見られました。
タイパを上げるためには、「通勤路に沿ってスーパーなどがあるかを意識」(女性26歳)など移動時間の短縮につながる工夫のほか、「家事が効率よくできるように家電の配置を考えた」(男性26歳)といったように、手間の短縮や効率アップにつながる工夫をしているようです。「いつでも使えるように収納はしない」(男性18歳)という大胆な発想もありました。
スぺパを上げるためには、「突っ張り棒を使って上の空間も有効活用している」(男性18歳)のように、通常では活用できない空間を道具やアイデアを使って活用できるようにしているといった声や、「圧迫感が出ないよう、膨張色の家具を選んでいる」(女性25歳)など、家具の色やスタイルを工夫することで狭い空間でも圧迫感を出さず、広く見せるというアイデアも寄せられました。
■参考:過去の調査リリースについて
・2023年度“部屋選び”に関する調査 Z世代による動画を活用した部屋選び(発表日:2023/6/7)
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000215.000029713.html
・2022年度“部屋選び”に関する調査 ~ポストコロナの部屋選び~(発表日:2022/6/7)
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000167.000029713.html
■ハウスコム会社概要
不動産テックを積極的に取り入れ、働き方改革と業務効率の向上を推進するとともに、EX(従業員体験)とCX(顧客体験)の最適な連携を追求することにより、リアル拠点と不動産DXのシナジーで「地域社会で最も人によりそう住まいのデザインカンパニー」を目指しています。
会社名:ハウスコム株式会社(スタンダード市場 コード番号:3275)
代表者:代表取締役社長執行役員 田村 穂
所在地:〒108-0075 東京都港区港南2-16-1品川イーストワンタワー9階
資本金:4億2463万円