株式会社Fixstars Amplify(東京都港区、代表取締役社長CEO:平岡 卓爾)が提供する、量子コンピューティング向けソフトウェア開発環境「Fixstars Amplify SDK」が、大日本印刷株式会社(東京都新宿区、代表取締役社長 :北島義斉、以下DNP)がオンプレミス環境で提供している「DNPアニーリング・ソフトウェア」と連携されたことをお知らせします。
DNPが提供する組合せ最適化問題[注1]を高速に解くソフトウェアエンジン「DNPアニーリング・ソフトウェア」に、Fixstars Amplify SDKから接続できるようになりました。DNPアニーリング・ソフトウェアは、GPU搭載のPCで動作するオンプレミス環境向けのソフトウェアであることが特徴です。
Fixstars Amplify SDKと接続することで、ユーザーは製造業や物流業等のDX推進で必要とされる実運用レベルのアプリケーションをより手軽に開発できるようになります。
Fixstars Amplify SDK(Software Development Kit)は、組合せ最適化問題を解決するシステムを開発できる、ソフトウェア開発環境です。個々の問題に合わせて、汎用性の高いアプリケーション開発が可能です。非常に使いやすいインターフェースが評価され、多くの企業のサービスと連携し、広く利用されています。
高速コンピューティング技術の進化に伴い、オンプレミス、クラウド、ハイブリッドなど、お客様が手にできる計算環境の選択肢は増えました。その一方で、複雑な最適化問題を解くアプリケーション開発の現場では、最適化計算を行う数式を組み立てる知見、それを実現するプログラミング技術、安定稼働させるシステム設計のノウハウなど、高い専門性が求められることが普及の障害となっています。
Fixstars Amplify SDKは、通常のアニーリング[注2]システムのプログラミングで必要となる「論理モデルの変換」「物理モデルの変換」「求解の実行」の3つのステップを自動化することで、より直観的なプログラミングのワークフローを実現しています。これにより、実装の難易度を下げ、開発時間の短縮に貢献します。
両社の連携により、Fixstars Amplify SDKからDNPアニーリング・ソフトウェアに直接接続してアプリケーション開発ができるようになりました。
GPU搭載のパソコンがあれば、ネットワーク環境に制約のある工場や倉庫内のオンプレミス環境でも動作させることができ、生産計画やピッキング計画等を最適化するシステムの開発と運用を容易にします。
DNPの岩口和裕 ABセンター事業開発ユニット長は、次のようにコメントしています。
「DNPが提供する組合せ最適化問題を支援する「DNPアニーリング・ソフトウェア」と「Fixstars Amplify」が連携することで、幅広いお客様に利用いただける環境が整い、大変うれしく思います。
DNPは、製造・物流部門でデジタル化を推進しており、量子アニーリング技術を活用して生産計画や倉庫のピッキング計画を最適化し、業務の効率化を実現しています。
Fixstars Amplifyを通じてDNPアニーリング・ソフトウェアが多くの課題解決に貢献できることを期待しています。」
Fixstars Amplifyの平岡卓爾 代表取締役社長CEOは、次のようにコメントしています。
「この度、「DNPアニーリング・ソフトウェア」の連携先として、「Fixstars Amplify」をご採用いただき大変うれしく思います。DNP様には組合せ最適化を用いたDX推進の実証実験を積み重ねられた実績があります。そのノウハウとともに、手軽にアプリケーション開発ができる環境を広くお客様にお届けいただけると期待しています。これからも更なるユースケースの拡大に対応できるソリューションを開発していきます。」
両社は今後も、さまざまな分野で社会が抱える最適化問題の解決に向けてお客様に寄り添い、実務課題を解決できるソリューションを提供してまいります。
■大日本印刷株式会社 について
DNPは1876年の創業以来、幅広い事業分野で多様な製品やサービスを提供する世界最大規模の総合印刷会社です。独自の「P&I」(印刷と情報:Printing & Information)の強みを掛け合わせ、社外の多くのパートナーとの連携を深めて、社会課題を解決するとともに、人々の期待に応える「新しい価値」を創出しています。
量子関連技術分野においては、生産計画の立案や物流のピッキング計画の最適化など、膨大な選択肢から最適な解を抽出し、意思決定を支援する「組合せ最適化ソリューション」を提供しています。
https://www.dnp.co.jp/
■株式会社Fixstars Amplify について
量子コンピュータ等の最先端技術と社会をつなぐ架け橋となるべく、量子コンピューティングクラウド事業で社会課題に取り組んでいます。組合せ最適化問題に特化したクラウドサービスの提供とシステム開発サービス、コンサルティングによって、最適化された社会への歩みを加速していきます。
https://amplify.fixstars.com/ja/
注1:組合せ最適化問題
組合せ最適化問題は、製造、物流、金融など様々な業界で計算ニーズの高い問題です。考えられる組み合わせのパターンの中から、目的に対して最適な組み合わせを探します。例えば、物流の輸送計画や製造計画などの最適なパターンを計算できれば、事業活動の効率化や投資対効果の予測に役立ちます。一方で、考慮すべき変数や条件が増えるほど組み合わせパターンが急増する特徴があります。
注2:アニーリング
アニーリング(annealing)とは、金属を加熱した後、徐々に冷却して安定した状態にする「焼きなまし」という金属加工の工程を指す言葉で、組合せ最適化問題においては、解の候補を少しずつ変化させながら、最も安定した状態、つまり指標を最も満たした状態を探索する技術を指します。
最適解を厳密に探索する従来の技術では、非常に長い計算時間がかかる場合があるのに対して、アニーリングは最適解を近似的に求める手法であるため、高速に良い解を得ることができます。
■量子コンピューティング向けソフトウェア開発環境「Fixstars Amplify SDK」(株式会社Fixstars Amplify)
https://amplify.fixstars.com/ja/sdk#workflow
■DNPアニーリング・ソフトウェア(大日本印刷株式会社)
https://www.dnp.co.jp/biz/products/detail/20172671_4986.html