近年、知の循環を求める教育変革の流れの中で、企業等において貴重な実務経験を積まれた人を教員として大学に迎え入れる実務家教員制度が導入され、その結果、実務家教員と研究者教員が協働することを通して、大学における人材育成は大きく変化を遂げつつある。
文部科学省の中央教育審議会では、教育の質保証システムの改善・充実の中で、クロスアポイントメントにより企業や団体内における身分を維持したまま大学に出向する教員(基幹教員)など多様な働き方を制度化している。このような動きの中で、大学実務家教員は確実かつ加速的に増加する傾向にある。
その一方で、大学の教育や研究に参画したいが、教授能力や知見に不安をもつ人も多いという現実もある。
一般財団法人全国大学実務教育協会が行った実務家教員へのアンケート調査では、「豊富な実務経験があるにもかかわらず教育経験の不足のために苦労したため学問体系として理論的に講義内容を構築する訓練を事前に受ける機会があればよかった」との意見や、「研究者教員と比較すると、論文数も少なく、今の大学の評価システムでは評価されない可能性がある」と危惧する意見もあった。
同協会では大学の教壇に立つことを希望している人や寄付講座等で講義をする人を対象に、大学における教育および研究実践力の修得を目的とする「大学実務家教員養成講座」を開発し、今年度で第6回を迎える。所定のカリキュラムを修了すれば、同協会から修了認定証が交付される。また、大学・短大の教員を希望する人には、実務家教員を募集している同協会の会員校を紹介する。
「大学実務家教員養成講座」は次の日程で行われる。
10月 26日(土)、27日(日)10時~17時30分 市ヶ谷カンファレンスセンター
テーマ「大学理解と教育力の準備」
12月 7日(土)、 8日(日)10時~17時30分 アルカディア市ヶ谷(私学会館)
テーマ「授業と授業力の高め方」
問い合せ先
一般財団法人全国大学実務教育協会 講座担当
TEL 03-5226-7288, FAX 03-3263-8633
E-mail:kouza@jaucb.gr.jp